アインズ、水なし印刷によるカーボンオフセット訴求
水管理不要で色調が安定、独自技術も開発
UV水なしエコダンプリント×グリーンアイ×脱プラ印刷
空気も水も汚さない水なし印刷と鉱物油不使用により、VOC成分の飛散抑制や省電力型のLED-UVをベースに、95%以上の高いリサイクル率を誇る段ボールにダイレクトに水なしオフセット印刷する「ecoDAN(エコダン)」プリントというものがある。そこで同社では、これまで取り組んできた特に環境負荷の低い省電力UV水なし印刷と、環境メリットが高い段ボール資材の中で、現有する自社のリソースで加工が可能なG段を組み合わせることで、さらなる環境対応型印刷として、アインズの「ecoDANプリント」と称し、クライアントに提案している。
フルカラーインキを使用した同社の「ecoDANプリント」は、インクジェットプリンタやレーザープリンタと比較し、写真や文字が格段に精細な印刷が可能である。松岡氏は「クライアントから評価される高品質な仕上がりとなっており、環境面でも品質面でも新たな価値を生み出している。さらに段ボールパッケージの堅牢性対応には欠かせない絵柄面の耐傷性対策にも、エコな表面加工としてプラ原料素材から作られた。PP貼りを廃止し、同水準の堅牢性を得るための脱プラニス印刷の複合により、今もなお、プラ成分を徹底して削減させる開発を継続しつつ、新たな環境負荷軽減の可能性を実現させている」と説明している。
「UV水なしSFC(スーパーファインカラー)」を提案
松岡氏は水なし印刷の持ち味として、「湿し水に起因する障害はゼロで、ドライダウンも抑制されるなどの特性を活かせば、網点再現のシャープさは格段に高いものがある。湿し水に影響されやすいFM高精細印刷のような微細な網点品質再現を要求されるのであれば、水なし印刷にアドバンテージがあると考えるのは容易である。高精細なフェアドットで安定的に再現したい7色のスーパーファインカラー印刷をUV水なし印刷と複合させることは、新たな価値と考えられる」と話す。
さらに同社では、UV水なし専用温調装置を自社開発(特許出願済)している。水なし印刷を管理する上で、最も欠くことができないのが、水なしの版面温度をいかにコントロールできるかである。「そこで同社では、風量と温調を計算した温調ダクトを空調機メーカーとタイアップし、各ユニットに設置させることで、水なし印刷条件に適した機上安定性を確保している」(松岡氏)
近江商人の精神で。総合力でソーシャルグッドプロデュース企業に進化
同社では、2009年よりクライアントの環境負荷低減を支援するため、カーボンオフセットに取り組んでいる。「印刷物を材料調達からお手元にお届けし、廃棄・リサイクルするまでのライフサイクルにおけるCO2排出量を計算し、カーボンオフセットするシステムとなる温室効果ガス排出権付き水なし印刷『GREENeye』を地域のクライアントへ環境商品として継続して推奨してきた」(林田氏)。これは日本WPAと連盟で、印刷物のCO2排出量を実質ゼロで制作する滋賀県カーボンオフセット「びわ湖カーボンクレジット」に登録している。
同社は今後、企業の持続的な成長・地域の持続的な発展・日々の幸せを実現するため、総合力を持って「ソーシャルグッドプロデュース企業」へと進化していく。企業としての社会的存在意義を認められるため、社会的責任を積極的に追求し、同社と同社のステークホルダーが共栄できる持続可能な社会関係の構築を目指し続けていく。
「『売り手良し、買い手良し、世間良し』の近江商人の精神を私たちも意識しながら、今後も環境に配慮した取り組みを継続していきたい」(林田氏)。企業としての社会貢献を果たし、持続可能な社会の実現に向け、サステナブルな取り組みを進める同社の今後の展開が期待される。