土岐ダイナパック、「GEAR-SHIFT」シリーズで持続可能な社会に貢献
「違和感」なく切り替え〜化管法対象物質改定に対応
ダイナパックグループで印刷紙器・アソート事業を担う土岐ダイナパック(株)(岐阜県土岐市)は、2023年4月に改訂された化管法対象物質改定に対応するため、同年5月から(株)日研化学研究所の環境配慮型製品シリーズ「GEAR-SHIFT」を採用している。従来品からエッチ液を「アストロギア344プラス」に切り替えた。当初は法令遵守のための止むなくの切り替えであったようだが、同社生産部 生産第一課の吉田和功課長は「結果的にダイナパックグループが掲げるサステナビリティ方針の実現に向けて前進することにつながった。また、資材性能も従来製品と同等で、違和感なく切り替えることができた」としており、今後も同シリーズを使い続けていく考えだ。
SDGsを推進するダイナパックグループでは、サステナビリティ方針として「人に、モノに、地球にやさしい企業」を掲げている。包装のイノベーションを通じて、あらゆるニーズに応えることで社会的課題の解決に取り組み、および地球環境保全、持続可能な社会の形成に努めている。
同グループの土岐ダイナパック(株)は、印刷紙器のプロダクトデザイン・グラフィックデザインの提案から刷版・印刷・合紙・抜き・貼りまでのパッケージ製造を手掛けると共に、アソート事業も展開しており、内容物を詰めるセットアップまでのプロセスを社内一貫生産により短納期、そして安定品質を実現している点を強みとして強調している。ISO9001と14001の認証を取得しており、品質管理を特に強化している。吉田課長は「当社は食品業界のクライアントが多いため、今後も品質管理を追求していきたい」と話す。
そんな同社が環境配慮型製品シリーズ「GEAR-SHIFT」の採用を決めたのは、化管法対象物質改定にともない、2023年4月1日より、当時使用していた「アストロマーク44UVプラス」はPRTR法非該当から第1種指定化学物質になるため、排出量を把握し、取扱量によっては行政機関に年1回届出が必要となるという案内を受けたことだ。吉田課長は「日研化学研究所の担当営業の方から、PRTR法非該当、消防法非該当の環境配慮型エッチ液に移行しませんか?との案内されたことをきっかけに、従来の『アストロマーク44UVプラス』から『アストロギア344プラス』にテスト移行した」と経緯を説明する。
環境対応と性能を両立。湿し水サンプル分析などサポート体制も評価
テスト移行したものの、当初、吉田課長は本音として「環境配慮型製品は性能が落ちるのではないか」という不安があったことを明かす。そのような中、その不安を払拭してくれたのが日研化学研究所の手厚いサポートだ。
「担当営業の方に定期的に足を運んでいただき、湿し水をサンプリングし、何度も分析を行ってくれた。その結果、従来品と何の遜色ない性能であることを確認でき、違和感なく切り替えることができたと感じている。現場は、資材の扱いやすさなどに敏感な反応を示すので、使いにくい製品についてはすぐに不満の声を上げてくる。それが何もないということは、現場も納得して使っている証明と言える」(吉田課長)
そして、テスト移行を終え、実運用を開始してからもこのようなサポートは続いており、吉田課長は、「湿し水をサンプリングし分析を行なってくれることは、水の状態を把握し、管理する上での重要なファクターとして参考になっている」と評価している。
「オフセット印刷は水が命で、『水を制するものは印刷を制す』と昔から言われているが、それだけオフセット印刷では水が重要である。厳密に言えば『水を制するものは印刷品質を制す』と私は教わった。まさにその通りで、印刷障害の多くは湿し水が起因しており、それゆえにエッチ液を変更するには何か水に関するトラブルが起きていない限り、現場は安易に切り替えることに抵抗を示すが、環境対応と性能を両立する『アストロギア344プラス』は、いまやダイナパックグループのサステナビリティ方針を進めていく上でも欠かすことができない存在となっている」(吉田課長)
環境に配慮した資材で安全、クリーンな職場づくりへ
同社は今後、企業として持続して社会に貢献していくためにも、生産性と品質の向上にさらに努力していく。
吉田課長は「ありきたりな目標かも知れないが、これが永遠のテーマであると考えている。しかしながら、これも働く人材あっての話である。昨今は人材確保が難しい状況であり、その問題を解決するためにも、いかに働きやすい環境を作っていくかが今後の課題である。今でも印刷業界は3K職場的な印象を持っている方も多いため、そのような印象を払拭するためにも、環境に配慮した資材を選定していくことは不可欠である。印刷現場は安全でクリーンな明るい職場だと思われるように、職場改善に取り組み、若者たちが働いてみたいと思えるような職場づくりを目指していきたい」としており、環境に配慮した資材の採用は人材不足の問題解決にもつながることを強調している。
そして、その実現のためにも、今後、必要に応じて他の環境配慮型製品シリーズ「GEAR-SHIFT」も使用していきたいということだ。同社の考え方は、サステナビリィな資材の活用は単に環境保全だけに止まらず、業界が抱える諸問題の解決にもつながることを示している。