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TBM、新素材「LIMEX」でサステナブルの第一歩を

紙・プラスチックの代替活用が可能〜資源保全・リサイクルを実現

 世界人口の増加にともない、資源消費量も増加の一途を辿っている。資源・気候・水など、あらゆる側面で地球の持続可能性の危機が迫っており、2050年には、世界人口の50%以上が何らかの水リスクを抱えるという予測も出ている。もはや環境保全への取り組みは、「待ったなし」の段階に突入していると言えるだろう。そんな中、枯渇資源の保全やCO2排出量削減、マテリアルリサイクルにより資源循環を実現するとともに、優れた機能性により紙やプラスチックの代替として活用できる環境配慮の新素材「LIMEX」が注目されている。そこで今回、先頃のプレミアム・インセンティブショーで特別講演した(株)TBM LIMEX事業本部 マネージャーの岡澤友広氏の講演内容から「LIMEX」の可能性を紹介する。


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岡澤 氏


人類は「地球の使いすぎ」。顕在化するグローバルリスク

 現代社会は環境が求められる時代であり、そこに違和感のある人は少ないと思うが、それでは今なぜ、環境配慮が求められているのか、はじめにマクロトレンドなデータを紹介したい。

 まず、世界人口の増加により、資源の消費量も右肩上がりになっており、資源・気候・水など、資源を中心にあらゆる側面でグローバルリスクが顕在化している。地球温暖化や、日本にいると実感しにくいと思うが、2050年までには世界人口の51%が何らかの水のストレスを抱えるという予測も出ており、そしてその中に実は日本も入っている。

 これらは将来的な話ではない。すでに「地球の使いすぎ」というデータが出ている。地球の資源再生産量・CO2吸収量と、人類の資源消費量・CO2排出量を天秤にかけると、後者の方が重くなっている。人類は1.75個分の地球が必要な暮らしをしており、地球の生態系サービスの原資に手を付けながら、未来から前借りしているという状況である。これを止めなければならない。

 そのような中、枯渇する資源を循環していこうという動きはあるが、現在の世界の資源消費量のうち、循環された資源の割合はわずか9%である。高まる資源枯渇および気候変動のリスクに対して、企業への対応は強く求められてきている。

環境配慮は企業イメージ向上、購買意欲の向上につながる

 環境配慮の新素材「LIMEX」を活用することで、これらに様々なアプローチができると我々は考えている。ただ、このような現実を知り、世界目線では環境配慮の必要性を感じても、一企業として、今すぐ始める必要があるのかと思う人もいるかも知れない。我々も環境配慮に取り組む意義として、その価値と伝わり方も大切と考えているので、エシカル商品が企業イメージにどのようにつながっていくのかを説明したい。

 消費者庁のアンケートによると、「環境配慮は企業イメージ向上につながるか?」という質問に対して「はい」と回答したのは、2016年は65%程度であったが、2019年には約80%が企業イメージ向上につながると回答している。これは3〜4年前の統計になるため、現在はさらに向上していることが予測できる。

 また、購買意欲という観点でも「環境に配慮した商品・サービスへの購買意欲があるか?」という質問に対して、80%以上が「はい」と回答している。環境配慮は、消費者の購買意欲にも大きく関わっている。

 さらに、BtoBの観点から見ても、取引先の選定基準として、地球温暖化、水質汚染、天然資源の枯渇などの環境問題に取り組んでいることを重要なポイントとしている企業は70%と、環境問題への意識を重視している傾向にある。環境配慮への取り組みは、消費者だけでなく、取引先にも見られている。

「素材を変えるだけ」ですぐに始められる販促物の環境対応

 今回のプレミアム・インセンティブショーでも、環境配慮の素材を使用した様々な販促物が紹介されているが、「LIMEX」もその選択肢の1つに位置付けられる。


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プレミアム・インセンティブショーのTBMブース

 「LIMEX」は、石灰石を主原料としており、紙やプラスチックの代替となるリサイクル可能な素材となっている。石灰石は英語で「limestone(ライムストーン)」と呼ばれており、それと無限の可能性を意味する「X」を組み合わせ、「LIMEX」と命名した。国内を中心に、すでに企業・自治体など1万以上の事業所で採用されている。

 「LIMEX」の特徴は大きく3つあり、1つは水や森林、石油などの資源の保全につながるということ。プラスチックに使う石油原料や、紙に使うパルプや水などの代替として石灰石を使うことで、地球資源の保全につながる。

 2つめは、従来のプラスチックと比べ、製品のライフサイクル全体で温室効果ガス(CO2)排出量を削減できる。企業の取り組みとして減プラ、脱プラと合わせてCO2排出量を抑えていくことができる。

 そして3つめは、モノからモノへのリサイクルという「マテリアルリサイクル」というカタチで資源循環が可能であるということである。

 そもそも、なぜ「石灰石」なのかということも重要なポイントになるが、石灰石という資源は世界中に豊富に存在し、気候変動にも貢献できる鉱物資源となっている。日本において自給自足できる鉱物資源は石灰石だけとも言われている。もちろん、だからと言って無限に使えるというものではないが、セメントの原料や紙、漂白剤など、様々なマテリアルに使用されている。


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紙・プラスチックの代替として活用できる


石灰石は価格変動が少なく、「価格安定性」に優れた素材

 石灰石を使用するもう1つの理由として、価格変動が少ないことが挙げられる。紙パルプと比べると変動はかなり少なく、変動しても一定の幅の中で前後する程度である。

 また、汎用的なプラスチックとして使用されているPP(ポリプロピレン)の樹脂との価格差になると、価格変動はより少ない。資源というものには、当然ながら価格変動があるが、その中でも影響を受けにくい素材であるため、モノを作るときに安定供給できるというのも「LIMEX」の優位性となる。

 その特性を活かし、カタログや冊子、ポスターなどの大判印刷物、クリアファイル、商品タグ・名刺やラベル、パッケージなど、幅広いアイテムに採用されている。

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