新生、表面加工から「サステナブル」〜バイオマス素材や再生材使用
サンプル帳「新生サステナブルサンプル帳」を配布
「塗る」「刷る」「貼る」のすべての印刷物表面加工を手掛ける(株)新生(大阪府八尾市竹渕東3-90-1、廣崎正人社長)では、バイオマス素材や再生材を使った環境配慮型表面加工のサンプル帳「新生サステナブルサンプル帳」を作成して配布している。

同社は、インラインプレス機、UVLC機(UVプレス・ホログラム転写)、ロールコーター機、オフラインプレス機、ラミネート機、ラミネート窓貼り機、シルクスクリーン印刷機など、豊富な設備と多彩な加工バリエーションを強みとする表面加工会社。先代社長・廣崎正史氏の「技術への探究心」をDNAとして受け継ぎ、素材と加工技術の組み合わせをはじめ、光沢加工の前後の工程についてもアドバイスできる「現場力」が大きな強みとなっている。
また、さらなる技術開発を目的に移転統合(平成25年)した本社工場は、医薬品、食品、化粧品などのクライアントも認める徹底した品質・衛生管理でも知られる。

近年、「脱プラ」への関心が高まっており、バージンPETの使用抑制などが叫ばれる中、同社では「本来の目的は如何に生態系を保全し、温暖化を抑制するためにどのように取り組むかを考え、追求していくことである」との観点から、バイオマス素材や再生材を使った表面加工サンプル帳を作成し、表面加工からの「サステナブル」を訴求している。
廣崎社長は、まず「表面加工はサステナブルである」と訴える。
「『リサイクル』という面では、コーティングした加工品はすべて古紙として再生できる。ラミネートについても技術的にはリサイクルできるが、その手間とコストが課題である。一方、『素材』という面では、バイオマス素材と再生素材を採用することで、バージン素材の使用量を削減し、製造工程でのエネルギー削減にも貢献できる」(廣崎社長)
また、サステナブルサンプル帳の取り組みの背景について廣崎社長は、「インキでは、バイオマス認証を取得し、商品に『バイオマスマーク』が付与されているものもあるが、表面加工の材料自体にバイオマス認証のものは少ない。FSC認証紙も普及する中、インキだけでなく表面加工まで対応することで、本当の意味での『サステナブル』に繋がる」と説明する。
ただ、これらを採用するメーカーやクライアント側でも「バイオマスがいいのか、リサイクルがいいのか、生分解がいいのか...」と選びかねている状況で、「過渡期」にあることは否めない現実のようだ。
「『サステナブル』は形容詞。表面加工において、その後に求められる名詞が『安定供給』なのか、『コスト』なのか、『素材』なのか...。『脱プラ』のトレンドについても、ただ単に敬遠するのではなく、もう少し広い意味で捉えれば見方は変わってくる。ラミネートをやめれば、その加工品の耐久性、寿命はどうなるのか。教科書なども耐久性が落ち、本としてのサステナブルはどうなるのか。ここを冷静に判断してほしいと切に願っている」
「新生サステナブルサンプル帳」のラインアップは、「バイオマス プレスコート」「バイオマス 食品コート」「バイオマスブリスター糊引き」「バイオマス UVコート」「バイオマス SUP」「バイオマス マットSUP」「バイオマス PP貼り」「バイオマス PET貼り」「リサイクルPET貼り」の9種類。これらはバイオマス、リユース、リサイクルに関連する材料を集めた加工で、今後もラインアップを順次拡充していく考えだ。
「これら材料は、その市場に安定的な需要がなければ開発も進まないし、コストも下がらない。我々が少しでもこの需要を喚起して市場を作り、結果として表面加工業界の活性化や地位向上に繋がればと考えている」(廣崎社長)
【問い合わせ】電話06-6709-2270
