PROSPER ULTRA 520プレス、「Hunkeler Innovationdays」で欧州初公開
「唯一無二」のポジション〜ULTRASTREAM技術を搭載
コダックジャパン 河原一郎氏に聞く
コダック社は、スイス・ルツェルンで2月27日から4日間開催された「Hunkeler Innovationdays 2023」に出展し、高速デジタル輪転印刷機「PROSPER ULTRA 520プレス」をヨーロッパで初公開した。同プレスは、ULTRASTREAM技術を採用した初のコダック社製デジタル印刷機。600×1,800dpiの解像度、150メートル/分の生産速度で、オフセットに匹敵する200線相当の印刷品質を提供する。そこで今回、スイスから帰国したばかりのコダックジャパン・河原一郎氏(プリント事業部デジタルプリンティング営業本部長)に、同プレスの特徴や市場性などについて聞いた。
ヨーロッパでは初公開
「Hunkeler Innovationdays」は、スイスの世界的な後加工機メーカーであるフンケラー社が主催するデジタル印刷ショー。世界でローンチされている最新のロール系インクジェットプレスが一堂に会し、その前後に、フンケラー社の加工機がアプリケーションごとに接続されて展示実演される。開催周期は2年に1度だが、パンデミックの影響で前回は中止を余儀なくされたことから、今回は4年ぶり、14回目の開催となり、会期4日間で前回を上回るおよそ6,700名が来場した。
この「Hunkeler Innovationdays」において、ホール2にブースを構えたコダック社の「目玉」となったのが、高速デジタルプロダクション印刷機「PROSPER ULTRA 520プレス」だ。これまで、米国・デイトン工場でのプライベートショーでの展示披露はあったものの、公式の場、かつヨーロッパでは初公開である。
「今回のショーを皮切りに『発売』もアナウンスされた。私も含め、市場が首を長くして待ち続けてきた『PROSPER ULTRA 520プレス』がようやく開発を終えて登場した」(河原氏)
展示機は、フンケラー社のUW8アンワインダーおよびRW8リワインダーを前後に接続。さらにはオープンアーキテクチャのインターフェイスを介してフンケラーWI8ウェブ検査システムと統合されたものだ。実演では、事前にプレコートしたロールのコート紙(130gsm)を米国から持ち込み、最高速度150m/分で印刷。1日に4〜5回のデモンストレーションを実施した。
また、会場では実際にデモンストレーションとしては実施されなかったが、巻き取ったロール紙をフンケラー社のシーターでカットし、ホリゾンの中綴じ機で製本した、編集内容やマーケティングコンテンツが異なる3種の「マガログ」(商品カタログ雑誌)をサンプルとして配布した。
ULTRASTREAMを採用した初のコダック製印刷機
PROSPER ULTRA 520プレスは、ULTRASTREAMコンティニュアスインクジェットテクノロジーを採用したデジタルインクジェット輪転機。600×1,800dpiの解像度、150メートル/分の生産速度を誇り、オフセットに匹敵する200線相当の印刷品質を提供。グロスコート紙にも高いインクカバレッジでの印刷を実現する。
45〜250g/平方メートルまでの標準的なオフセット印刷用紙に対応し、一般的にロールtoロールの印刷機が最も売れている520ミリの印刷幅で、2アップ両面印刷にも対応。各イメージングステーションは、5つのジェッティングモジュールで構成され、1分あたり2,000ページ以上のA4用紙を印刷できる。
「ULTRASTREAM」は、drupa2016で発表された技術。当初は、プリントヘッドとDFE、インクを自社開発し、そのコンポーネントをOEMベンダーに供給するというビジネスモデルからスタートしている。そのトップバッターがUTECO社のデジタルパッケージング印刷機「SAPPHIRE EVO Wプレス」で、同プレスは先行してすでに全世界で受注が開始されている。
そして、満を持してULTRASTREAMインクジェットテクノロジーを搭載した初のコダックオリジナルのデジタル印刷機「PROSPER ULTRA 520プレス」が登場した。
その特徴について河原氏は、「これまでのPROSPER6000/7000プレスは、頁ボリュームとスピードを追求してきたが、PROSPER ULTRA 520プレスは『高品質化』を明確に追求している。最大の違いは言うまでもなく第4世代のULTRASTREAMを搭載していることにあり、150メートル/分というスピードで200線相当の品質を担保できる画期的なマシンである」と説明する。
