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カミヤアートパッケージ、アルミ蒸着紙で新たなメタリック表現を演出

Revoria Press PC1120導入事例-九州から全国市場へ〜オリジナル貼箱で需要創出

 「箱作りに誇りを持って」。創業以来、箱作り一筋に事業を展開してきた(株)カミヤアートパッケージ(本社/長崎県東彼杵郡波佐見町、前田智崇社長)は、このほど富士フイルムビジネスイノベーション製の1パス6色プリントエンジン搭載のプロダクションカラープリンター「Revoria Press(レヴォリア プレス)PC1120」を導入し、主軸事業である貼箱のさらなる高付加価値化を推し進めている。今回、同社・前田社長にRevoria Press PC1120を導入した狙いや今後の展開などについて聞いた。


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前田 社長

 同社は、昭和46年に地場産業である伝統工芸陶器「波佐見焼」を入れる段ボール小箱や、貼箱の製造販売を手がける紙谷紙器として創業した。以来、地場産業の発展とともに歩んできた。しかし、時代の流れとともに陶器の出荷数も減少。それに比例するように、同社の箱生産数も減少していく。

 陶器用の箱生産だけでは、新たな成長は見込めないと判断した同社は、平成12年にデジタル印刷機を導入。同時に「onlyone-box」というブランドを立ち上げ、デジタル印刷機による貼箱生産のパイオニアとして、菓子箱やギフトボックスなど陶器業界以外の市場への進出を開始した。

 貼箱とは、厚紙で作った芯材となる箱に様々な色・風合いの貼り紙(化粧紙)を貼り付けて作成する化粧箱。同社では、貼り紙に顧客の要望に応えたデザインを印刷することで、オリジナルパッケージとして提供している。

 貼箱加工では、大・中ロット向けには製造ラインを設備し、効率化を図っている一方で、同社の強みである小ロットの貼箱については、オペレーターによる手貼り作業が今も行われている。


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小ロットは手作業での貼箱加工

 「貼箱は、デジタル印刷機と非常に相性がいい商品といえる。その理由の1つは、小ロット生産の有用性が高いこと。首都圏をはじめとするお客様が抱える課題に箱の保管がある。成形された箱は、折りたたむことができないので、広い保管スペースが必要となる。この保管スペースの確保に多くのお客様が苦労している。しかし、小ロット生産に切り替えることで保管レス、あるいは最小限のスペースでの保管が可能となる」

 さらに試作品の制作も簡単にでき、デザインや形状を含め、企画・打ち合わせから最終確認、生産までの一連の工程を一気通貫で行うことができることも強みの1つとなっている。

デジタル印刷機で貼箱生産における優位性を確立

 同社のデジタル印刷機を活用した貼箱生産は、品質面のほか、小ロットでオリジナル印刷ができる柔軟性が市場で高く評価され、急成長を遂げていった。そして平成25年には、Color 1000 Pressを導入し、高品質・高生産性体制を構築。現在、同社の商圏は、地元・九州だけでなく、全国にまで拡大している。売上比率では、全体の約7割が関東・関西をはじめとする九州エリア外で、九州エリアは約3割と全国規模で大きな成果を上げている。

 そして令和4年7月、Revoria Press PC1120を導入し、小ロットのオリジナル貼箱に高付加価値という新たな強みを融合させた取り組みを開始していく。


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Revoria Press PC1120

 同機導入の背景として前田社長は、「きっかけは 既設機の部品供給が終了することだった」と説明。また、その後継機としてRevoriaを選択した理由については、「既設機以上の品質と生産性を有すること。さらに付加価値創造の機能を有していること。この2つを兼ね備えていたのが、Revoriaであった」と説明する。

 また、初めてのデジタル印刷機導入から、同社のパートナーとして、さまざまな課題解決に取り組んできた富士フイルムBIとの信頼関係も機種選定の後押しとなった。

タント紙などの凹凸用紙にも高品質印刷が可能

 しかし、Revoria導入前の検証段階では大きな問題も生じていた。それは既設機では、問題なく印刷できていたタント紙に対し、Revoriaでは、同社が納得できる品質を担保することができないという現象だ。その理由の1つとして、高品質化にともないRevoriaに搭載されているトナー粒子が既設機よりもさらに細かくなったことが挙げられる。

 オリジナル貼箱を生産する同社では、一般的な用紙ではなく、タント紙など表面に凹凸がある用紙に印刷することが圧倒的に多い。そのため、この事象については、より細かくなったトナー粒子と用紙表面の凹凸との定着適正に何らかの影響を及ぼしていることが考えられた。

 同社の貼箱生産に欠かすことができないタント紙への印刷。Revoriaで同社が求める品質が実現できないのであればと前田社長は、苦渋の決断ではあるが他社メーカーのプロダクションプリンターも選択肢として検討することとなる。しかし、それでも同社が納得できる品質を提供できる機種はなかったという。そんな時、富士フイルムBIの担当営業から、ある改善提案があった。それはテクスチャード紙トナーを用いることで、タント紙などの凹凸な表面でも既設機以上の高品質印刷を実現するものだ。テスト検証の結果、この改善案で問題なく印刷できることを確認。正式導入が決定した。


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Revoria Press PC1120で印刷された貼箱

 「近年は、印刷品質だけでなく紙自体の風合いを生かした貼箱が求められている。タント紙は、色や紙厚など多岐にわたる紙種があり、これらすべてに高品質な印刷ができることが導入機の条件である。当社にとって絶対に妥協できない問題を解決してくれた富士フイルムBIには本当に感謝している」

 本稼働後は、生産性が格段に向上。さらに操作性も向上したことで担当オペレーターの残業時間も大幅に減少した。これにより前田社長が後継機の条件として挙げた「既設機以上の品質と生産性」は、クリアすることができた。

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