ゴードー、パッケージ印刷分野で「刷版の無処理化」- G段印刷で新市場創出
[SONORA採用事例]予備版削減でコストメリット
オリジナルパッケージの(株)ゴードー(本社/埼玉県川越市、橘東吾社長)は、コロナ禍においてオフセット印刷紙器事業における生産工程の見直しを進め、「刷版工程の無処理化」に着手。昨年10月からコダックのプロセスフリープレート「SONORA CX2」を全面採用している。「G段印刷」という新たな事業領域への参入に名乗りを上げた同社に、SONORAの採用がどのような効果、経営メリットをもたらしたのか。橘社長をはじめ、製造部の菊池由修課長、小山和仁係長に話を聞いた。
「G段」に新たな事業領域を見出す
同社の創業は1949年。東京・品川区で産声をあげた同社は当初、大手弱電メーカー向けのダンボール印刷加工を手掛け、その後、中国やタイ、フィリピンといった海外展開もはかるなど、クライアントの事業拡大に寄り添う形で自らも成長を遂げてきた。一方、1989年には社名を「合同紙工」から「ゴードー」に変更するとともに、現在本社を置く埼玉県川越市に製造拠点を移し、オフセット印刷紙器事業を本格化。現在は菓子ギフト用のパッケージ印刷を主軸としている。
同社の最大の強みは、設計からデザイン、印刷、加工、納品までの一貫設備によるワンストップ対応だ。とくに2015年頃からは小ロット・多品種物の受注体制を強化し、利益構造を重視した経営へと大きく舵を切っている。橘社長は「小ロット多品種対応を強化することで、お客様に柔軟な納期対応が可能になり、非常に喜ばれている。価格競争が激化する市場において、ここに差別化を見出した」と説明する。
一方、同社が主力とする菓子ギフト用パッケージ印刷の事業は、コロナ禍で大きなダメージを受けた。この苦境の中で新たな事業領域を模索した同社だが、既設の海外メーカー製UV5色印刷機の老朽化がひとつの経営リスクだったという。既存の仕事においても品質や生産性の維持に苦慮する状況では新事業進出は難しいと判断。結果、従来ビジネスである板紙印刷を継続し、かつ既設の後加工設備を活用できる新たな事業領域として「G段へのダイレクト印刷」という市場への参入を決め、その分野で実績のあった菊全判6色LED-UV機「RMGT1020LX-6」(薄厚兼用印刷機)を導入。奇しくも創業当時のダンボール印刷加工事業に回帰する形となったわけだ。

「コロナ禍においてテイクアウトや通販の分野でG段の需要は伸びていた。とくに関東ではG段への印刷を手掛ける印刷会社が少ない状況にあったことから、新たな事業領域をG段市場に見出す判断を下した。単なる機械増設ではなく、新たな事業領域開拓の戦略機という位置付けで導入したことで営業も奮起してくれている。加工食品の外箱や飲料系のキャリータイプパッケージなど、徐々に受注を伸ばしている」(橘社長)
