swissQprint Japan、フラットベッド第4世代が日本上陸
改良を重ねた「集大成」〜品質、生産性が向上するなど進化
ワイドフォーマットプリンタメーカーのswissQprint(スイス)が昨秋の「FESPA2021」で発表したフラットベッド第4世代が満を持して日本に上陸した。3月初旬にswissQprint Japan(株)(本社/横浜市港北区新横浜3-2-6、大野透社長)の本社ショールームに設置された。第4世代は新たなプリントヘッド採用による高解像度の実現、ワンタッチバキュームなど、日進月歩で細かな改良を重ねてきた、いわば「集大成」となり、これらの新機能により、出力品質と生産性を高めている。swissQprint Japanは3月下旬〜4月下旬、本社ショールームでオープンハウスを開催し、このハイパフォーマンスな第4世代を公開する。
ヨーロッパでは、当該カテゴリーで7年連続販売台数トップ
「2022年はswissQprintにとって節目の年になる」(大野社長)。2007年に設立したswissQprintは今年で創業15周年。日本法人のswissQprint Japanも設立5周年となる。わずか5名のエンジニアでスタートしたswissQprintの従業員は、今や海外子会社も含めると200名近くの陣容になった。販売も好調で、設立翌年の2008年の販売台数はわずか10台であったが、今年、2022年の販売台数は200台を超える見込み。世界の累計販売台数は1,500台を大きくを超えた。UV印刷ブームなどの市場の成長も後押しし、まさに右肩上がりの成長を遂げている。
swissQprintの製品は2021年で7年連続、UVフラットベッド/ハイブリッドプリンタの当該カテゴリーでヨーロッパにおける販売数ランキングでトップを獲得している。多くのユーザーから選ばれるポイントについて大野社長は、「耐久性の良さが大きく評価されている」と話す。耐用年数が長いことにより、収益アップにもつながってくるからである。
また、近年はアメリカでも販売実績が伸びてきているようで、大野社長は「日本、アジアも負けてはいられない。これに続いていきたい」と競争心を燃やしながらも、販売だけでなく、手厚いサポートを続け、ユーザーと良好な関係を構築していく姿勢を示す。
「我々の製品を購入していただくということは、長年にわたりお付き合いしていくことになる。このため、swissQprintのことをよく知って頂き、お互いの関係を構築し、ユーザーのお役に立っていきたい」(大野社長)
日本においては、メンテナンス担当の社員が受け持つユーザー数をヨーロッパと比べると、かなり少なくなる。このため、1社1社をより丁寧に見ることができるようになり、「より手厚いサポートが可能になる」(大野社長)。もちろん、ヨーロッパでは手が回らず、きちんとサポートが行えていないという意味ではない。
また、部品交換が必要な場合も、swissQprint Japanでは、常にストックを在庫しているため、スイス本社から部品が届くのを待つという心配もない。
このあたりの安心感もあるのだろう。コロナ禍においても、「昨年秋頃から、日本においても案件、設置台数が増えている」と大野社長は話している。
新プリントヘッド、ワンタッチバキュームを開発
第4世代は、従来の基板をベースにしながらも、第3世代の開発以降、細かな改良を加えていった、ここ数年間の「集大成」となっている。
まず、新しくなったプリントヘッドは、インク滴を極めて精密に着弾させる技術に加えて、最大解像度は1,350dpiになっている。ImpalaとNyalaでは出力品質が大幅に向上。さらに、Oryxは旧モデルに比べて約40%高速化し、「かつてのImpalaと同等の生産能力になった」(大野社長)。Oryxは、swissQprintのフラットベッドでは入門機と位置付けられているが、十分すぎる生産性を備えたことになる。
そして、新ヘッド搭載による高解像度、高精細印字が可能になったことが、大きな改良点である。swissQprintの画質にはすでに定評があるが、飽くなき品質改良を進めていくメーカーとしての真摯な姿勢が感じられる。
また、「使い勝手が良い、としてユーザーからは評価が高い」(大野社長)というのが、特許申請中の「ワンタッチバキューム」である。テーブルは最大256のセグメントに分割されており、各セグメントは指1本で簡単にON/OFFの切り替えができるため、面倒なマスキングは不要である。ボード間やデュアルロールの間でも問題なく、空気の漏れがなくなることでバキュームは最大の威力を発揮し、扱いにくいメディアもしっかりと固定する。音が静かになることも、評価のポイントであるようだ。
環境配慮の「グリーン大判プリント」による収益アップを提案
swissQprintのフラットベッドプリンタは、環境に優しいUVプリンタ。同社では環境に配慮した「グリーン大判プリント」は、収益アップにもつながるとして、大判プリンタを評価する際に用いるサステナビリティに基づく5つのアプローチとコンセプトを提案している。
(1)汚染物質を排除
(2)エネルギーを効率的に使う
(3)耐用年数の長いマシンを使う
(4)メンテナンスが容易
(5)助成金を活用する可能性も広がる
大野社長は「新しい大判プリンタを購入する際には、サステナビリティの側面を多面的に考慮することが必要である。環境保護に積極的に貢献することは、イメージアップやマーケティング戦略にもつながる」としており、swissQprintのフラットベッドプリンタでこれを実現して欲しいとしている。
オープンハウスでは「ネオンインク」を使用して実演
swissQprintが2021年3月に販売開始した「ネオンインク」は、メディアに明確な付加価値を提供できるものである。ネオンカラーは広告や看板に輝きを与え、ブラックライトにより蛍光色となる。
カラーは、ネオンイエローとネオンピンク。この2色でネオングリーンとネオンオレンジの2つのカラーバリエーションが使用可能となり、数え切れない用途を生み出すことが可能になる。大野社長は「ネオンインクにより、swissQprintのユーザーは様々な種類のリジッドメディア、ロールメディアにアイキャッチプリントが可能になる」と話す。
3月下旬〜4月下旬のオープンハウスでも、ネオンインクを使ったデモンストレーションを予定しており、大野社長は多くの来場を呼び掛ける。
第4世代は、swissQprintの最新の技術力を結集したモデルと言える。IGAS2022に先立ち公開されるオープンハウスに注目が集まりそうだ。
