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ホウユウ、美しい縦組み宛名印字を実現:宛名印字サービス「清書*あてな」

 1975年の創業時から四十余年にわたり、「文字を扱う」技術を深めてきたホウユウ(株)(本社/大阪府堺市堺区、田中幸恵社長)。同社は約8年前に、縦組みの美しい宛名組版を自動組版するプログラムを開発。宛名印字データの整理から美しい縦組みレイアウト、宛名印字の出力、封入封緘・発送までを一貫して行うサービス「清書*あてな」として展開しており、印刷会社のDMビジネスを強力にサポートしている。

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美しい宛名印字の組版が可能


自動組版により短期間で大量処理が可能

 縦組みの宛名印字は横組みと比べると文字組みの体裁を整えるのが難しく、「筆まめ」のような市販ソフトでは細かい指示ができないため、美しい文字組みは難しい。同社でも自動組版プログラムを開発するまでは「筆まめ」を使用して縦組み宛名印字の組版を行っていた時期もあったが、同プログラムを開発した松下氏は「今考えると、とても法人用に耐えられる品質ではなかった」。社内からも「これはあかんやろー」というダメ出しの声が数多く出ていたようで、「作ればいいんやろ!と半ば怒りのままに作った」と松下氏。Excelをベースに、InDesignでプログラミングを進めた。当時はInDesignの日本語情報がJavaScriptベースのものくらいしかなかったため、開発には苦労したようだが、ベースは1週間で作成。そこから細かい機能を継ぎ足し、1年後には現在のプログラムに近いものを完成させた。

担当者の「好み」も満足させる微調整が可能

 繰り返しになるが、市販ソフトでは細かい指示ができないため、「印刷会社クオリティ」と言える美しい文字組みは難しい。このため、フォーマルな案内状など、体裁にこだわる縦組みの宛名印字は印刷会社に発注されることが多いが、DTPソフトで1枚1枚の宛名を組んでいくことは、制作現場においても大変な作業となっていた。

 同社の自動組版プログラムでは、はじめにExcelで数字の全角・半角、縦組みの場合は漢数字にするなどの自動変換と微調整を行い、あとはそれをIndesignに流し込めば、自動的に美しい縦組みの宛名印字が完成する。

 「何万件という宛名の組版であっても、夜中に自動で組版作業が行われていくため、翌朝には宛名印字の出力ができる状態になっている。普通の宛名はもちろん、差出先が部署毎に何百種類とあるような特殊な宛名にも対応できる」(松下氏)

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InDesignに流し込むだけで自動組版するため短時間で大量処理が可能


 昨今は部署名や肩書き、会社名が長いものが増えている傾向があり、担当者の好みで「ここは改行せずに1行にしてもらいたい」などの細かい要望がでることも多いが、「プログラムは固定のものに加えて、注文内容ごとにカスタマイズもできるため、細かい要望にも対応できる」(松下氏)

 また、フォントについても市販の宛名ソフトの場合、外字が使えないことがネックになるが、もちろん「作字」にも対応している。なお、使用できるフォントは、基本的には楷書体・ゴシック体・毛筆体・明朝体の4つから選択が可能。差出人別にロットが異なる宛名の仕分けにも独自システムにより対応している。また、サイズはハガキだけではなく、洋2/長3/長4/角2/角3封筒ほか、洋長3など変形封筒にも対応している。

新たなカラーPODによる生産性向上に期待

 同社は4月、厚紙にも対応するカラーPODを導入。これにより出力のための下準備時間の手間と時間が削減された。
「宛名印字に多く使用されるダイヤ封筒を従来のように開く手間がなくなった。また、これまで宛名印字に使用していたPODよりも出力スピードは早いため、宛名印字サービスの全体的な生産性向上につながることを期待している」(田中社長)

 同サービスの主な受注内容は、取引先への転勤や部署移動の挨拶状、選挙の支援ハガキ、葬儀のお別れの会や結婚式の案内状など、体裁にこだわるフォーマルな縦組みの宛名印字が多いが、輸入車やジュエリー関係など、一部の格式の高さにこだわるクライアントからは、横組みであってもさらに綺麗に仕上げて欲しいという理由で、横組みの宛名印字の受注もあるようだ。

 さらに、縦組み宛名印字の美しさと処理能力の高さを買われ、現在は役所関係の仕事も受注するなど受注先は拡大している。田中社長は「現在の年間受注は約60万件。宛名印字は『すぐにやって欲しい』という要望がほとんどのため、これまでは近場の大阪府内が中心だったが、現在は近畿一円にまで受注先が広がっている」と話す。

 DTPによる手作業で縦組み宛名印字の組版を行っている印刷会社にとって、同サービスを利用することは、時間コストの大幅な削減になることはいうまでもなく、利用する価値は大きい。同社は4月の部署移動挨拶の繁忙期を終え、6月からは株主総会案内の繁忙期に入る。

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