太成二葉産業、嗅覚に訴えるSPツール「コスメルパック」
フィルムに香料を密封
嗅覚からの情報は、視覚・聴覚などと違い、直接「感性」に訴えかけるとされている。太成二葉産業(株)(本社/大阪市東成区深江北3-17-15、荻野隆社長)の「CosmellPack(コスメルパック)」は、そんな人間のメカニズムを利用したSPツール。香水や化粧品などに含まれる香料をフィルムで密封しているもので、フィルムを剥がすと香りが広がる。DMや商品パンフなどに添付して送付すれば、視覚と嗅覚に訴える強力な販促物となる。匂いを嗅ぐだけで食欲をそそる食品から、飲料・その他(森林・ヒノキ・ユーカリなど)植物まで、アイデア次第で様々な商品の販促に活用できる。
「本物」の香りを届けることが可能
印刷物に香りを付けるという場合、香料インキを使用するという方法が従来からあるが、これは香りの出る特殊インキ、マイクロカプセル香料インキ(以下「香料インキ」)を使用し、カプセルを破壊することで香りを放つインキになる。軽く指で擦ると香りを放出するため、場合によっては意図していない間の軽い摩擦や衝撃で匂いを出してしまう。香水などの香りが苦手な人、その香りを必要としない人にとっては、不快に感じる可能性もあるかも知れない。その点、「コスメルパック」はDMや商品パンフに添付して送付することもでき、視覚による情報を得た上で、「その香りを知りたい」という人だけが自発的にフィルムのシールを捲って香りを嗅ぐため、そのような心配は無用だ。
また、香料インキの場合は、対応する香料にも限界がありそうだが、同社の堀内靖之常務取締役は、「コスメルパックは市販の香水や芳香剤(液体)をそのままダイレクトに密封するため、幅広い香りに対応できる」と話す。
また、昨今の香り商材に対するニーズも様々だが、ペーパーメディアとして用いられる手段としては、香料インキが一般的とされており、「香料インキの製作には時間がかかり、同時にインキ化できない場合や、試作費用も発生するため、時間やコストの面から採用を見送ることが多い。また、オリジナルインキの製作も難しくなる。一方、コスメルパックはどのような香りも、ニアリーではなく『本物』の香りを届けることができる」と、香りの再現性に優れていることを強調している。
インライン生産で低コストを実現
同社が「コスメルパック」を企画・開発したのは約5〜6年前。当時、ロールtoロールのラベル印刷機を導入したばかりで、同機の活用方法を思索する中、「香料インキではなく、フィルムを二重にして香りを閉じ込めることで、嗅覚という感性に訴えるSPツールができるのではないかと考えた」と製造部 技術開発室の泉雄作室長は話す。
コスメルパックは香料そのものを塗布するため、無駄な開発や作業は基本的にはなく、発注すれば短期間で製作が可能。発注は基本的には1,000枚以上で受けており、大量ロットになるほど低コストでの生産が可能だ。
「例えば、1万枚の場合は1枚当たりの単価は20円、10万枚の場合は7円と、大量ロットになるほど単価は安くなる。閉じ込めた香りは一定期間保持することができ、目安として3ヵ月は香りが薄くなることなく使用できる。香りの種類によっては1〜2年もつものもあるため、大量ロットでの発注をお勧めしたい」(泉室長)
また、同社に印刷からコスメルパックの生産までを発注した場合、本体(印刷物など)+コスメルパックをセパレートまたはインラインで製作することができるため、数量や内容によって最適な選択が可能となる。

アイデア次第で様々な商品に活用が可能
これまでの実績としては、化粧品や香水のブランドメーカーが圧倒的に多いが、カレーや焼肉など、匂いを嗅いだだけで食欲をそそるような香りも可能だ。実績にはならなかったものの、「キムチの香りのサンプルを作ったこともある」(堀内常務)ということだ。このほか、日本酒やワイン・ブランデーなどの酒類にも活用できるかも知れない。
「スーパーの実演販売のように、視覚だけではなく、嗅覚にも同時に訴えることで、潜在意識への働きかけを強め、行動へと導く。今後は食品関係の実績も増やしていきたい」(堀内常務)
また、コスメルパックの基本仕様は、直径5センチ(円形or四角を選ぶことができる)のため、情報スペースの少ないハガキサイズのDMなどでも複数の香りを同時に混ざることなく、消費者に届けることができ、色々な香りを楽しめる。
このほか、用途としては名刺に貼る、店頭販促のテスター、見本帳、試供品などにも活用できる。アイデア次第で様々なジャンルやメディアに活用することができる。
視覚+嗅覚で強力なSPツールに
同社が女性200人に行ったアンケートによると、85%が「香りが付いている販促物のほうが関心度が高まる」と回答したという。また、嗅覚は視覚や聴覚などの他の感覚よりも記憶に長く留まることが実証されているようで、香りは思い出しやすいという効果もあるようだ。
「ペーパーメディアが縮小する中、差別化につながるユニークなSPツールを世の中に出していきたい。今後も印刷加工技術をコアに、さらに挑戦を続けていく」(堀内常務)
DMや商品パンフに貼ることで、「視覚」+「嗅覚」に訴える強力なSPツールを生み出す「コスメルパック」。販促物に大きな付加価値を与えることは間違いなく、利用する効果は大きそうだ。
