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田中手帳、ノートブランド「TETO」- オンラインストアに集中

直営店は3月20日に発展的にクローズ

 ノートブランド「TETO」を展開する田中手帳(株)(本社/大阪市住之江区、田中尚寛社長)は、2018年2月にフラッグシップショップとしてオープンしたTETOの直営店(大阪市中央区谷町6-4-15)を3月20日に発展的な展望のもとクローズする。今後はオンラインストア(https://te-to.jp)に集中することで、さらに販売を強化していく考えだ。田中社長は、「WEB、SNSを積極的に活用し、国内市場はもとより、中国やアセアン諸国など海外市場に本格的に打って出ていきたい」と今後を展望している。

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直営店にて田中社長(左)と有元店長

 「TETO」は、80年にわたり手帳を作り続けてきた田中手帳が3年前に開発したノートブランド。田中社長は「企業手帳や学生手帳など様々なユーザーに合わせて培ってきた技術をもとに、『書くことがもっと素敵であるように』をコンセプトにしている」と話す。ブランド名の由来は、手帳とノートを作っていること、そして手帳が糸綴じ製本で作られることから「手」と「綴」を取り、TETOと名付けたようだ。

 オンライン販売を2017年11月にスタートし、2018年2月にはTETOの直営店をオープン。田中社長は「書くことの素晴らしさを訴求したかった。また、実際に使うものなので『試筆』してもらうスペースが必要だと考えた。直営店には、TETOのすべての商品ラインアップを置いており、また、それぞれのノートの筆記に適したボールペンや万年筆なども一緒に置き、書き味を試してもらえるようにしている」と、TETOの直営店をオープンした経緯と目的について説明する。

 現在、「TETO」のラインアップは全27種類。この大きな枠組みの中に、シーンや好みに合わせて厳選した紙を使用した「COCOCHI(ココチ)」、インデックス加工を施した「CLUE of PAGE」、女性をメインターゲットにした「a little bit」などのシリーズが用意されている。

 また、TETOとは別に「カク手帳」という手帳ブランドもラインアップしている。

用途に応じて様々なタイプのノートを用意

 TETOの商品ラインアップには、用途や目的に応じて使い分けられる様々なノートが用意されている。次に、TETOの有元佑里店長に紹介してもらった売れ筋商品の一部と、筆者が気になったノートの一部を紹介したい。

 まず、「a little bit」のシリーズは600円のものからあり、比較的、低価格であるため選ばれやすい商品とのこと。「中でも人気なのは『ひと言日記』。1日分の1ページが100文字程度で埋められるので、スペースが空くというプレッシャーから解放され、挫折しにくくなっています。気軽に日記を始めたい人にお勧めです」(有元店長)。また、本格的な原稿用紙フォーマットをそのままノートにした「RETRO」は、売れ筋の定番とのこと。「肩肘はらずに文章を書くことができます」と有元店長。文学部の学生などに人気がありそうだ。

 また、縦罫の文庫本に文字を埋めていく「文庫本ノート」は、小説家の気分になれるノート。心の片隅に置いておきたい記憶に残るフレーズなどを自由に書きとめる場合などに適している。「自伝を書く場合などにもお勧めです」(有元店長)。

 さらに、授業や講演会などで"思考のおかたづけ"に活用できるものとして田中社長が推奨するのが「CLUE of PAGE」シリーズの「TIDY UP」だ。「前半部分はラフ紙となっているため、講演などを聴きながら殴り書きし、後半部分はまとめやすいように方眼の入ったノートになっている。この2つの作業により理解が深まることは脳科学的にも証明されているようで、電子媒体ではなされないものである」(田中社長)

 また、絵日記のフォーマットで作られた「PICTURE DIARY」は、コロナ禍の巣ごもり需要にも対応したノートだ。「緊急事態宣言で学校が休みになっていた頃、小学生の子供とお母さんが来店され、絵日記を始めてみますと買っていかれました」(有元店長)。日付を記入する部分がインデックス加工されており、開きたいページをすぐにめくることができる。デザインも洒落たものになっているため、大人でも使用できる。さらに「COCOCHI」のシリーズでは、営業など外回り用、内勤者用、編集者・記者用など、様々な職種に適したノートも用意されている。

 また、前述の「カク手帳」は、有元店長が美大生の頃に教授と一緒に田中手帳を訪ねて卒業制作として製造した手帳を製品化したもの。有元店長は、「カクッとしたアイコンが特長。マンスリーページには、太さの違う線で区切ったメインとメモのスペースがあり、書くことを押し付けず、ゆるく使うことができ、手帳初心者にもオススメのレイアウトとなっています」。田中手帳が得意とする両面インデックス加工が施されている。大阪の枚方や樟葉などに店舗を展開する水嶋書房など、一部の書店でも販売されているということだ。

 なお、TETO、カク手帳のすべてに共通する特長は「開きが良い」ということだ。「手帳製造の会社として80年にわたり培ってきたノウハウが生かされている」(田中社長)

WEB、SNSを活用して海外展開へ

 「直営店はTETOのフラッグシップショップであるとともに、ショールームとしての役割も果たしてきた」(田中社長)

 このようなリアル店舗をクローズするのは非常に残念な気持ちもあるようだが、「もともと実験的なものとして3年を目安としていた」(田中社長)。今後はオンラインストアに集中し、WEBやSNSを積極的に活用しながら国内市場はもとより、コロナ禍で一時的にストップしていた中国をはじめとしたアセアン地域への展開を再開する考えだ。


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「TETO」のオンラインストア

 「新型コロナが世界中を騒がせることになる少し前まで、すでに中国への進出を図り、上海市の久光という百貨店2店舗にTETOのシリーズを什器とともに置いていた。しかしその後、コロナ禍で連絡も取れなくなり、今ではどうなっているか分からない状況になっている。今後、暦なども海外向けのものを制作し、オンラインストアで本格的に海外展開を進めていきたい」(田中社長)

 なお、繰り返しになるがTETOの直営店の運営は3月20日まで。気になるノートがあれば、実際に見に行くことをお勧めしたい。

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