新盛インダストリーズ、凸版輪転ラベル印刷機「TCR-200 Tutti」で現場環境を「劇的」に革新
生産性向上、簡単操作とメンテナンスを評価
「ついに理想の小型輪転機が現れた」。(株)新盛インダストリーズ(本社/東京都北区堀船4-12-15、斎藤豊社長)は2024年3月、老朽化した印刷機を刷新し、(株)太陽機械製作所の凸版輪転ラベル印刷機「TCR-200 Tutti(トゥッティ)」を2台同時に導入した。小型輪転機市場に「待望の革新機」として登場した同機は、生産性向上と作業環境改善を現場にもたらし、これまでは生産能力を超えた数量で断らざるを得なかった注文を受注していくことで収益を改善していくための戦略機と位置付けられている。
自社開発プリンターと純正ラベルのマッチングが築く「揺るぎない信頼」
同社は、自社開発するラベルプリンター用の純正ラベルを手掛け、スーパーマーケットや食品専門店向けに安定供給を続けている。価格表示ラベルや食品表示ラベルなど、消耗品としての需要は堅調で、同社事業の中核を担っている。総務部長の比護真裕氏は「自社開発のラベルプリンターと純正ラベルを一貫して提供しているからこそ、最適なマッチングが実現する。印字品質や消費電力面でも優位性があり、安定した品質が信頼につながっている」と話す。
しかし、市場はコスト競争が激化し、必ずしも純正品が選ばれるわけではない。それでも「純正のラベルは印字品質が圧倒的に優れており、最終的には品質で選んでくださるお客様も多い」と比護部長は自信を覗かせる。さらに、同社は短納期のニーズにも応え、信頼を積み重ねてきた。
「従来の市場になかった印刷機」。長年の取引にも安心感
同社が20年以上にわたって使い続けてきた他社製の印刷機は、経年劣化とともにメンテナンス面での不安が顕在化していた。さらにメンテナンスを担ってきたベテラン社員の退職も重なったことから、設備刷新に踏み切った。
「私たちが求める200ミリ以下のコンパクトな輪転機は、市場になかなか存在していなかった。そんな中、太陽機械製作所から『Tutti』が発表され、これしかないと感じた」(ラベル製造部の橋本誠一課長)。
同社は2016年に太陽機械製作所のセンタードラム式ラベル輪転印刷機「TLC-250」を導入しており、その時からの迅速なサポート体制にも信頼を寄せていた。「長年の取引がある太陽機械製作所が開発した印刷機なので、メーカーとしての安心感も導入を後押しした」と橋本課長は話す。
生産性が20〜30%向上、直感的作業で新人でも簡単操作を実現
「Tutti」の導入により、同社の生産性は大幅に向上した。従来機は印刷速度が30メートル/分であったが、「Tutti」は50メートル/分を実現する。また、従来機は2列印刷が限界であったのに対し、3列の多列幅取りが可能になり、これにより生産量は20%〜30%の向上を実現した。
「これまで1ヵ月に20時間ほどあった残業時間が半分の10時間に減少し、作業に余裕が生まれた」(橋本課長)。「生産性向上により、これまでは生産能力を超えた数量で断らざるを得なかった注文を受注していくことで、収益改善にもつなげていきたい」(比護部長)
さらに、操作が簡単であることも評価する。従来機では、ダイヤル式で調整が必要であった見当合わせが、「Tutti」ではモニター操作により直感的に調整が可能となり、コンマ1ミリ単位の精度でも誰でも簡単に操作できる。「熟練技術者に頼る必要がなくなり、新人でもすぐに戦力になれる環境が整った」と橋本課長は話す。
また、ローラー洗浄も従来と比べると格段に楽になり、現場の負担が軽減された。「設備の手入れがしやすくなったことで、稼働率が安定し、長時間の連続運転にも耐えられるようになった」と現場オペレーターも高く評価している。
なお、2台の「Tutti」のうち1台は「裏抜き」に対応し、もう1台は非対応という仕様で、用途に応じて使い分けているという。
「待望の革新機」によりさらなる合理化と収益性の向上へ
「Tutti」の導入で劇的な生産性向上を実現した同社。次なる目標は、後工程の合理化であるという。「印刷スピードが向上したことで、後工程のロール仕上げが追いついていない。ここを合理化することで、さらに効率化を図りたい」(橋本課長)。同社は現在、ロール仕上げ加工機の増設を検討しており、これまでは生産能力を超えた数量で断らざるを得なかった注文を受注していくことで収益改善を目指していく。
その一方、太陽機械製作所への期待感も高まっている。「当社の生産方法は独自性が強く、柔軟なカスタマイズ対応が欠かせない。今後も迅速なサポートと技術革新を期待している」と比護部長は信頼を寄せる。
小型輪転機市場の「空白」を埋め、現場の生産性と効率を大きく引き上げた「Tutti」。ラベル市場の激しい競争を勝ち抜くための"待望の革新機"は、同社の未来を力強く支え続けていくことは間違いなく、今後の展開が期待される。