コダックジャパン、オフとデジタルで印刷業界にコミット
デジタルでも特色再現
プリント事業部デジタルプリンティング営業本部 河原一郎本部長
インクジェット事業では、高速デジタル輪転印刷機「PROSPER ULTRA 520プレス」がdrupa2024でローンチされ、「デジタルのコダック」というブランドを進展させることができたと感じている。
プリントヘッド事業においては、各国によって売れるアプリケーションが異なる。日本でプリントヘッドビジネスを牽引してきたのはダイレクトメールの宛名印字だが、大手にはほとんど採用されており、リプレイスや増設の需要はあるものの市場としては飽和状態にある。
そこで伸びしろのある市場としてパッケージの分野がある。すでに日本でも「紙器グルアーにプリントヘッドを付ける」といった実例や、「フレキシブルパッケージにQRコードを印字する」といったプロジェクトもスタートしている。また、新しいアプリケーションとしてはパーソナルケア分野もある。プリントヘッド事業は、これら如何に新しいセグメントに訴求していくかというフェーズに入っている。
一方、日本以外のアジア地域では事情が異なる。日本ではピンとこないと思うがインドやベトナム、中国、韓国では宝くじの市場が成長分野であり、2024年度は多くの引き合いをクローズし、ここでコダックのPROSPERヘッドが圧倒的なシェアを誇っている。
PROSPER ULTRA 520プレスは「踊り場」にある。日本においてインクジェットプレスはトランザクション分野で先行し、ローカバレッジ・アンコート紙の世界では採用され尽くした感がある。この分野が次に狙っているのがハイカバレッジの領域だ。また、商業印刷に関しては「オフセットからデジタルへの置き換え」というテーマがある。ただ、技術的なツールは揃っているものの、それを具現化してビジネスに繋げていくという部分ではまだまだ日本は保守的と言わざるを得ない。
一方、昨年のトピックスとして、10月に開催されたTOKYO PACK 2024が挙げられる。ここで当社は、特色を4色に置き換えるソフトウェア「Spotless」を訴求し、大きな反響を得た。これは、オフセットでの特色をCMYK+αの多色に置き換えることを想定した製品だが、武田薬品の「特色廃止」の発表を受けてデジタル印刷分野での応用を試みている。
具体的には、パッチを読み込んでカラーガモットを測定し、自動的に特色をプロセス4色、あるいは+3色で置き換えてくれるもので、オフセット印刷の場合、CMYKにオレンジ、バイオレット、グリーンと色数を増やすにつれて色の再現率は高まることからオフセット枚葉機による7色印刷の提案となる。
そこで、4色のPROSPER ULTRA 520プレスの印刷物を測定すると、色の再現率はオフセットの6色と7色の間に位置することが分かった。TOKYO PACKでは、オフセット4色よりも4色のPROSPER ULTRA 520プレスの方がガモットが広いことを訴求できた。コダックが提唱する「オフセットとデジタルの共存」において、オフセット印刷のカラーマネージメント技術をインクジェットに応用できたというひとつの事例になる。将来的には特色が多用されるパッケージや軟包装の世界でも応用できると考えている。
なお、コダックは今年2月24〜27日の4日間、スイス・ルツェルンでデジタル印刷ショー「Hunkeler Innovationdays 2025」への出展も決まっている。ぜひご期待いただきたい。