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FFGS、「マーケットイン」時代の真の総合ベンダーへ

「お客様に寄り添う」- グループシナジーで価値共創
安田庄司技術本部長に聞く

SDLは「課題解決の検証の場」

 我々は2025年においても、お客様の状況を可視化、分析することからアプローチし、そこで顕在化しているもの、あるいは潜在化しているものをできるだけ引き出しながら、お客様に寄り添う形で課題を解決していきたいと考えています。ここでは前述の周辺ソリューションを組み合わせながら存在価値を高め、強みとしていく考えです。

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6月にリニューアルオープンした「Solution Design Lab.」

 一方、デジタル印刷に関しては、後加工機への展開も重要だと考えます。ただ、個人的にはもう少しバリエーションを含めた補強が必要だと認識しています。ここでは後加工機メーカーとの「連携」が結果を左右すると考え、連携強化に努めてまいります。

 また、昨年6月には西麻布にあるショールームをデジタル印刷に特化した「課題解決の検証の場」としてフルリニューアルし、新名称「Solution Design Lab.(略称SDL)」(東京都港区西麻布2-26-30 富士フイルム西麻布ビル)として運用を開始しています。これもデジタル印刷分野を強化する当社にとって大きなイベントでした。西麻布のショールームは、これまでも実機展示による様々なソリューション提案の場として機能してきましたが、とくにFFGSがデジタル印刷分野に注力する中で、お客様のPOD投資に対する判断材料を、さらに具体的な形で提供する必要性がありました。単に機械をお見せするだけでなく、お客様が抱える課題をじっくりとお聞きし、設備導入までの技術課題を「検証・実証」によってクリアにする場としてSDLを機能させていきます。2月に開催されるpage2025への出展では、より現場をイメージし、より体感できるようなコンセプトの展示を目指していますが、この出展内容をSDLでも具体的に検証、体感できるような流れを作りたいと考えています。

人材不足でデジタル化が加速?

 2024年のPOD機出荷台数は、お陰様で当初の計画を上回る結果で終えることができました。ただ、まだまだデジタル印刷市場は未知数であり、より市場を知る必要性を感じています。2025年はその精度がより求められてくるでしょう。

 デジタル化進展の過程において、「スキルレス化」がひとつの起爆剤として期待されています。高齢化が進み、人材の確保が難しくなるなか、「スキルレス化」を理由にデジタル化を推し進めるという波がこの先5〜10年の間に来るのかもしれません。現在のデジタル化率は10〜11%。ようやく2桁に達した段階です。これは10年前の市場予測からすると、かなり遅れていると言わざるを得ません。その理由については様々な議論があるようですが、その真相は結果が教えてくれることになるでしょう。その起爆剤のひとつとして人材不足というのも十分考えられるのではないでしょうか。

 一方、drupa2024でのトピックスとして、軟包装印刷市場を対象とした水性インクジェットプレス「Jet Press FP790」が想像以上に好評を博したことが挙げられます。やはり欧州と日本では環境に対する考え方や対応の仕方、バリアブル、小ロットに対する考え方がかなり違うように感じます。日本においてデジタル軟包装印刷の市場を広げるには、やはりブランドオーナーに対して、デジタル軟包装印刷でできることやメリットをより明確に伝えることから始める必要があるように感じます。昨年10月に開催されたTOKYO PACK 2024において当社は、ブランドオーナーに対して「デジタル印刷活用」を促すことに軸足を置いた展示を行い、いわゆる「パッケージ印刷分野におけるデジタル印刷の普及活動」で需要喚起を試み、そこで非常に手応えを感じました。今後も地道な活動を継続していきます。

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drupa2024で展示実演されたJet Press FP790

 これからは、プロダクトアウトではなく、マーケットインの時代。お客様が必要とするものをタイムリーに提供していくことが「真の総合ベンダー」としての役割だと考えます。「困り事があれば、まず我々にお声掛けください」。これがいま一番伝えたいことです。「寄り添い、ともに考えていく」、2025年は、この姿勢をより鮮明に訴求していきたいと考えています。

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