帆風、生産性と品質の向上へ〜リスロンGX40RPアドバンス導入
竹橋プリンティングセンターの機能強化
(株)帆風は、都心に24時間稼働の印刷工場(竹橋プリンティングセンター/東京都千代田区一ツ橋)を構え、受注から印刷、加工、出荷までワンストップの生産体制を構築している。「小ロット印刷」・当日受注当日発送も可能な「短納期生産」は、同社の立地を生かした最大の強みだ。さらなるサービス強化のため、自動化・省力化を推進している。2023年1月、リスロンGX40RPアドバンス(菊全判両面オフセット枚葉印刷機)を導入し、本稼働させた。その経緯や稼働状況、導入効果などについて、須藤高幸社長、次長の山野晋氏、生産管理課長の引地望氏、印刷課 課長の松田卓也氏に聞いた。
お客様の要望を最優先し、お客様主体のサービスを提供
帆風は、1980年に写植製版会社として創業し、DTPの隆盛とともに、製版部分をショップ形態にしたサービスビューローを、プロユース向けに都内で立ち上げた。その後、DTPのノウハウをもとに、本機校正ビジネスに挑戦。現在は、受注から印刷、加工、出荷までのワンストップサービスを提供している。
同社には、「営業」「ショップ」「インターネット」の三つの営業窓口があり、ユーザーは用途に合わせて窓口を選べる。
須藤社長は「当初から、『必要な時に必要な分を必要な場所に』という、サステナビリティにも通ずる考えのもと、『小ロット・短納期』をコンセプトにしてきた。約2万社の会社と取り引きがあり、9割以上が都内のお客様となっている。都内のお客様にとって、時間は重点項目であり、そのため当社には『機械取り』の概念がなく、つくったものをすぐに届けられる生産体制をとっている。いかにしてお客様の要望を完遂できるかを、全社員がモチベーション高く常に研究してくれている。これは短納期を実現する絶対条件である」と、仕事への取り組みを語る。
人と機械の仕事を明確に分担〜自動化・省力化を積極的に推進
数多くの案件に対応するため、生産の自動化・省力化には、とくに力を入れているという。
「データが入ってくるところから納品にいたるまで自動化を進め、人と機械の役割を分けている。例えば、お客様からいただいたデータは自動でチェックしている。また、インターネット案件は、独自の技術により紙種・納期・斤量、色味、仕上がりを含めて自動でギャンギングされるようになっている。お客様に短納期、ローコストな印刷サービスを提供できるよう努めている」(須藤社長)
さらに須藤社長は、「『どのような案件も受ける、お客様の要望を断らない』をモットーにする当社では、取り扱う商材が多岐にわたっている」と説明する。
リスロンGX40RPアドバンスの導入効果
複数台の他社製反転機を所有している同社が今回、リスロンGX40RPアドバンスの導入を検討したきっかけは、つくばプラントの内覧会だったという。
「RP機の表裏見当精度に衝撃を受け、当社で難しかった仕事と同じ条件で、RP機を使って印刷テストを行った。RP機の印刷準備時間の短さと圧倒的な品質の良さを実感し、魅力的だと思った。別の観点では、機械をつくる工程を見学し、『このメーカーはすごい』と感心すると同時に、KOMORI機なら、当社の仕事量の多い使用状況にも耐えられると確信した」(須藤社長)
導入後、須藤社長は「KOMORI機を選んでよかったと実感している。まず、サポートが心強かった。初めての機械のため想定外のこともあったが、それらをクリアして実稼働するまでKOMORIがしっかりとサポートしてくれた。また、新台の導入はオペレーターのモチベーションアップにつながった。メンテナンスが習慣化され、機械を大事に使おうという意識が品質にも良い影響を与えてくれている」と語る。
片咥えの両面印刷や自動化装置による生産面の変化
山野次長は、「リスロンGX40RPアドバンスは、忠実に色が出るので、営業案件専用機として使用している」と現在の稼働状況について説明した上で「『誰でもできる』を意識しており、今はベテランが操作しているが、将来的には若手にも担当させていきたいと考えている」と今後の運用方針について語る。
生産管理責任者を務める引地課長は、「片咥えで、反転切り替え作業がないので、生産性向上にも寄与している。また品質面は、格段に向上した。営業案件専用機として使用しているが、顧客からの品質評価も高くなっている。本稼働開始から半月で迎えた繫忙期では、どの機械よりも生産性が高かった」と話す。さらに「A-APC(全色同時版交換装置)は、版交換とブランケット洗浄が並行作業のため、3分ほどでジョブ切り替えも完了し、切り替え時間も短縮できている。また、品質保証の観点では、PQA-Sが役立っている。検査レベルも細かく設定でき、コマドリによるマーキングも正確である」と、導入効果を話す。
印刷課の松田課長は「片咥えの見当の入りやすさや調整のしやすさは、大きな利点だと感じている。ボタン一つ押せば、表裏見当も自動で合わせてくれるため、オペレーションの負担が減った。とくに抜き文字、細かい文字など、見当が厳しい案件はKOMORI機で印刷している。また、PDC-SX(色調管理装置)の測色しながら補正をかける機能は、人間が行うよりも精度が高く、非常に助かっている」と評価した。
自社工場での価値創造と最適なプリントマネジメント
須藤社長は、「印刷機の機能・性能の向上は、製品品質を高めるとともに、オペレーターや営業にとってのやりがいや自信にもなる。今は薄紙メインだが、小ロットの紙器印刷にも広げていきたい。当社のノウハウと新しい要素の組み合わせで、この工場じゃないと創れない価値を生み出していきたい。そしてVOCやカーボンフットプリントなど、サステナビリティへの取り組みも始めている。さらには、お客様にとって最適な印刷を提案する『プリントマネジメント』に、さらに力を入れていく予定である」と展望を語った。