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DI Palette、妥協なき検査体制構築〜「極み印刷」のさらなる高みへ

第一印刷所からDI Paletteに社名変更〜CorrectEye SIS導入事例

 2024年1月1日、(株)第一印刷所(新潟県新潟市、遠山亮社長)は、(株)DI Palette(ディーアイパレット)と社名を変更し、新たなスタートを切った。同社が、新社名後も変わらず追求しているのが「極み印刷」への取り組みだ。その同社では、このほど(株)SCREEN GP ジャパンを介して(株)ジーティービー製の非接触スキャナー入力印刷物検査機「CorrectEye SIS(コレクトアイ シス)」を導入。各印刷機に搭載されたインライン検査装置とオペレータによる目視検査にCorrectEye SISによるオフライン検査を加えた究極の品質管理体制を構築し、「極み印刷」のさらなる高みを目指し、運用を開始した。


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CorrectEye SIS

 同社は、昭和18年(1943年)12月に創業した新潟県を代表する総合印刷会社。創業以来、主軸事業である印刷を中心に業務を展開する一方、紙メディア以外のコンテンツビジネスへの進出を図るため、企画から製造までのさまざまな機能をもつグループ企業7社とネットワークを構築し、Webサイト制作や動画制作など、印刷に捉われない多彩なメディアコンテンツの企画制作・提供を実践している。

 さらに新潟県内数拠点のほか、東京に「情報工房DOC」というショップ展開を図り、オンデマンド印刷を中心に、顧客の伝えたいコトモノをカタチにするサービスを実施している。

 同社・志田征二郎氏(取締役執行役員 製造管理部長)は、「さまざまな拠点に店舗を置くことで、より地域に密着した地域笑(商)社として顧客のあらゆるニーズをカタチにして提供していくことが情報工房DOCを開設した狙いである」と説明する。

 情報工房DOCでは、地元新潟に根付いたオリジナル商品の開発・販売を通じて、地域活性化を推し進めており、現在では、印刷の枠を超えて、感性・情報価値創造企業として、顧客の期待以上の価値創造への取り組みを加速している。

 そして2024年1月1日、社名を「第一印刷所」から「DI Palette」に変更。創業以来、印刷を核としてそれぞれの時代の社会ニーズに応じた製品やサービスを提供してきた同社では、社会環境の急速な変化の中で、より多くの価値を生み出し、成長を続け、新たな時代に貢献するという強い決意とともに、社員一丸となって新たな社名のもと、顧客や地域社会のニーズや期待に応えていく方針だ。


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新社名は株式会社DI Palette

 その同社がコアビジネスである印刷において展開しているのが、「極み印刷」だ。「極み印刷」とは、「印刷の美しさは、世界最高水準」「印刷物を作るのは、国家資格を有するプロ集団」「『印刷』からSDGsを意識」の3つのポイントを実現する同社の印刷生産コンセプト。CorrectEye SISは、この「極み印刷」のさらなる進化を狙い導入された。


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左から、志田氏、南氏、伴内氏

クレームゼロを目指して

 オフセット枚葉機やオフセット輪転機を有する同社では、インライン検査装置を印刷機に搭載し、品質管理を徹底した稼働を実践している。その同社がCorrectEye SISを導入した背景について同社の南清人氏(製造本部 プロダクトD,sNET推進室 室長)は、「当社の製造部門のクレーム発生件数は、年間でも一桁台となっているが残念ながらゼロではない。印刷機には、インライン検査装置が搭載されているが、あくまでも実際に刷った印刷物をマスター登録して検査をするもの。つまり印刷物と印刷物で比較検証を行うため、仮に基準となる刷り出し絵柄に不備があった場合、大きな事故につながる。当社が推し進める『極み印刷』では、クレームゼロを目標としており、その実現には不良が一切存在しないマスターデータと印刷物を比較検証できる体制が必要であった」と振り返る。

 加えてオペレータ間のスキル格差の是正も導入理由の1つだ。同社では、インライン検査装置による品質管理のほか、オペレータによる目視検査のダブルチェック体制で品質管理を行っている。ベテランから若手まで、幅広い年齢層が従事する製造現場では、目視検査に若干の差異が生じることもある。その年齢差を補うための体制再構築も導入理由の1つであると南氏は説明する。

 機種選定にあたっては、複数のメーカーの検査装置の検証を実施。南氏は「検査という工程は、あくまでも黒子の役割を担っており、当社に直接的に利益をもたらすものではない。そのため可能な限り効率的な作業が行えることが最重要と捉えていた」と、機種選定にあたっての基準について説明。加えて枚葉機とオフ輪を有する同社では、この2つの印刷方式の印刷物の検査に対応できること、プロセスカラーのほか、特色仕事の多いことから、それらの検査にも柔軟に対応できる万能性も必要な機能として挙げていた。そして、「極み印刷」を展開する同社にとって当然であるが、高い検査精度を有していることも機種選定における必須の条件とした。

効率的な検査機能を高く評価〜3台体制へ

 テスト運用の結果、「CorrectEye SIS」は、他の検査機と比較して検査時間が速く、とくに両面印刷では約半分と効率化を実現できることを確認。さらに特色絵柄も問題なく検査できることやオフ輪で刷った折り目のある印刷物でもしっかりとエア吸引して検査できるので、枚葉機、オフ輪でも検査体制を強化できると確信し、導入を決断したという。

 同社・伴内賢一氏(製造本部 プロダクトD,sNET推進室 課長補佐)は、「オフ輪にもインライン検査装置を搭載しているが、ライン速度の関係から大きめな欠陥は検知するが検査精度に関しては若干の不安があった。しかし、CorrectEye SISは、枚葉機とほぼ同等の検査が確立できると実感した」とその機能を評価している。

 さらに伴内氏は、操作性や使いやすさもCorrectEye SISを選択した理由の1つだと説明する。

 「検査機の角度や画面操作における作業負荷の軽減、さらに両面印刷の検査でも表面の検査と同時に裏面も検査してくれるので、検査作業時間を大幅に削減できることは大きな効果と感じている」

 そして同社は2022年9月、「CorrectEye SIS」を導入。インライン検査装置とオペレータによる目視検査に加え、CorrectEye SISによるオフラインでの検査を開始した。

 導入当初は、多少戸惑う場面もあったが、その都度、メーカーであるジーティービー社からのサポートを受けることで、その課題を克服。1台目導入後、その検査精度や運用面における効率化が評価され、2台の増設を行い、現在では、枚葉機の印刷工場に2台、そしてオフ輪工場に1台の計3台のCorrectEye SISを導入し、運用を開始している。


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オフ輪工場にもCorrectEye SISを設置

品質管理のセーフティネットとして活用

 現在の運用方法としては、インライン検査装置による品質管理およびオペレータによる目視確認を経て、最終的な検査体制のセーフティネットとしてCorrectEye SISでマスターデータと実際の印刷物の比較検証を行い、不良品の流出を防ぐ仕組みを構築している。

 南氏は、「当初は、刷り出し印刷物をCorrectEye SISで検査し、問題がなければ本印刷を開始するという運用を考えていたが、先ほど説明したように当社の不良発生率極めて低いので、効率化をバランスさせた検査体制の強化を実現するためには、最終的な検査をCorrectEye SISに託し、不良品を顧客に届けない仕組みを構築することが最適な運用方法であると判断した」と現在の運用方法について説明する。

 現在の運用成果として伴内氏は、「人の目では気づかないような薄い汚れや目視では、ぼやけやすい黄色系の不良なども本当によく検知してくれる。そのため目視検査におけるオペレータの心理的な負担を取り除くことができたはず」と品質管理という側面のほか、オペレータに安心感を与えることで作業環境の改善にも貢献していると説明する。


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オペレータの心理的負担を大きく軽減

 インラインおよびオフラインの検査装置による品質管理を行っている同社では、これまで同様に人の目による検査工程を省くことなく実践している。導入後も目視検査を実施している理由について志田氏は次のように説明する。

 「感性を確認できるのは、やはり人の目だと思う。色味や用紙と絵柄の相性など検査装置では判断できないことを確認するには、目視検査は欠かせない工程と言える。品質については、上を目指せばキリがないかもしれない。しかし、モノづくりの企業としての成長を遂げていくためには、これからも品質を追求し続けることが重要である。それが当社の品質に対するこだわりであり、『極み印刷』の考え方である」

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