富士フイルムBI、DX実証の場へと進化した「Future Edge」
自動化のあり方をさらに深堀り〜最適生産環境を具現化して提案
[シリーズ - 印刷の未来を体感・創造する「ショールーム」]
最新の大型インクジェットプリンターなどの生産設備と、IoT技術を活用した最先端の生産工場「FUJIFILM Smart Factory」を体感できる「Future Edge(フューチャー・エッジ)」は、富士フイルムビジネスイノベーション(株)(本社/東京都港区、浜直樹社長・CEO)が顧客とともにグラフィックコミュニケーションの新たなビジネス創出に向けた検証を行うための活動拠点だ。2018年の開設から約6年が経過した現在、Future Edgeは、その機能をさらに進化させ、自動化を基軸とした最適生産環境の構築に向けた印刷DXの実証に取り組んでいる。
Future Edgeは2018年5月、神奈川県海老名市の同社・海老名事業所内に開設された。Future Edgeの特徴の1つは、印刷から最終成果物までの生産工程を検証できることだ。実際の印刷工場を想定した設備の配置がなされているほか、広大な敷地面積を有する海老名事業所の立地条件を活かし、同社製の高速ロール紙カラーインクジェットプリンターとパートナー企業の後加工機器をインライン接続した印刷から無線綴じ製本までの生産をワンパスで完了するシステムなどを常設。都心部では設置できないような大型生産システムの稼働状況を体感できることから開設当初から多くの関心を集めてきた。
技術検証を主軸とした施設として再スタート
少子高齢化に伴う労働人口の減少や働き方改革への対応、付加価値創出によるビジネス領域の拡大など、印刷業界に山積する課題の解決策に顧客とともに取り組んできたFuture Edge。しかし、現在では、技術検証を主軸とした施設として再スタートを切っている。
Future Edgeの高橋昌史チーム長(グラフィックコミュニケーション事業本部デジタルプリンティング事業部プロモーショングループ)は、「開設当初のFuture Edgeは、ショウルーム機能を有した検証センターとして位置付けていたことから、幅広い顧客層から多くの来場があった。しかし、2020年に『グラフィックコミュニケーション東京(GC東京)』という新たなショウルームが開設されたことから、顧客接点としてのFuture Edgeの活動は、『検証』に重点を置いたものとなった」と説明する。
これまでもFuture Edgeでは、スマートファクトリーやDXを見据えた提案を行っていたが、2020年以降は自動化・省力化のあり方を、より具現化させることで印刷会社のDXを体感できる場に変貌している。
高橋チーム長は「自社のデジタル印刷機とロボットアームを連携させた自動化システムや印刷後の後加工機への搬送にAGVなどを活用した工程間のDX化などにチャレンジしている。加えて印刷・後加工の自動化だけでなく、梱包・仕分けや出荷までの最終工程に及ぶ自動化にも取り組んでいる」と現在、Future Edgeで具現化を進めるDXの内容について説明する。
オフセット印刷とデジタル印刷を融合したソリューション提案へ
2021年からは富士フイルムグループとして新たな取り組みを開始。これまでのデジタル印刷を中心とした提案からオフセット印刷にまで踏み込んだ最適生産環境の提案に領域を拡大している。
FUJIFILM Smart Factory推進プロジェクト責任者の丸林一憲氏(グラフィックコミュニケーション事業本部 DX事業部 ソリューション開発統括グループ 統括グループ長)は、「オフセット印刷が主流の国内印刷業界において、オフセット印刷とデジタル印刷を融合した最適生産こそが印刷会社が求めていることであり、一番期待していることだと思う。その期待に応えるためには、入稿など上流工程から、ロジスティックなどの下流工程までを網羅した最適提案が必要となる」と、オフセット印刷とデジタル印刷が混在した生産環境を前提とした価値提供の必要性を説明。さらに印刷方式に関わらず最適生産環境の提案を行うためには、自社完結での価値提供にこだわることはない丸林氏は強調する。
「顧客のビジネスや課題を深掘りし、自社の持っている製品だけではなく、パートナー企業の技術や製品を積極的に活用することによって、その顧客により最適な価値を生み出すソリューションを提供することが不可欠であり、我々の使命でもある」(丸林氏)
