電通グループ「世界の広告費成長率予測」:2024年は4.6%成長
米州の大幅な成長を想定
電通グループは、世界58市場から収集したデータに基づき、「世界の広告費成長率予測」を取り纏めた。
同レポートによると、2023年の広告費成長率予測は、不透明な経済状況による消費活動の減少などにより、6月時点予測(3.3%)から0.6pt下方修正の2.7%となる見込み。ただ、市場規模は、市場成長に加えて為替の影響により、初の100兆円超え(約106兆円)となる想定であり、デジタル広告は引き続き成長し、世界の総広告費に占める割合は過去最高の57.7%に達する見込みである。
さらに、2024年の世界の広告費成長率予測は4.6%、市場規模は7,528億米ドル(約111兆円)となる見込み。この背景には、UEFA欧州サッカー選手権やパリで開催されるオリンピック・パラリンピック大会といった大型スポーツイベントや米国大統領選挙を始めとして多くの国で実施される国政選挙などによる広告機会の創出、および媒体価格のインフレーションの継続が想定されるためである。
地域別では、全地域でプラス成長となり、とくに市場規模で世界第1位のアメリカを含む米州(北米とラテンアメリカの合計)は、2024年は広告費成長率でも第1位となる見通しである。
媒体別では、デジタル広告費が2024年においても6.5%の高成長を維持し、世界の総広告費に占めるデジタル広告費の割合は58.8%に達する見込みだ。その成長を牽引するのは、リテールメディア(+20.8%)ソーシャルメディア及びデジタルを含むディスプレイ広告(+6.9%)、探索連動型広告(+7.0%)である。
テレビ広告は、2023年はマイナス4.0%の成長となるが、2024年以降は再びプラス成長に戻る見通し。2024年の成長率は2.9%の予測であり、とくにコネクテッドTV(+30.8%)が大きく成長する見込みである。継続して減少傾向にある新聞・雑誌はマイナス3.3%となる見通しで、OOH(屋外/交通)、シネマ、オーディオはそれぞれ4.4%、6.4%、1.1%の成長を予測している。
2024年の日本は2.5%成長
日本は世界第3位の広告市場であり、2024年は前回2023年5月発表の予測(3.2%)から0.7pt下方修正した2.5%の成長を見込んでいる。
広告費全体に占めるデジタル広告の割合は45.8%を占め、主に探索連動型広告、動画広告、ソーシャルメディア広告が牽引する。テレビ広告は、広告費全体の23.5%を占め、2024年以降は徐々に回復が期待される。
また、OOHは新型コロナウイルス感染症の影響から回復し、3Dや大型デジタルOOHなどの新たなフォーマットの寄与もあり今後も拡大が見込まれる。
日本の広告市場は、今後も成長が継続し、2025年は3.6%の成長が見込まれる。
デジタル広告の割合が60%超えへ
2025年、2026年にかけても、世界の広告市場は堅調に成長し、それぞれ4.2%増の7,846億米ドル、4.3%増の8,184億米ドルを予測している。また、総広告費に占めるデジタル広告の割合は、2025年に59.9%、2026年には61.1%と、初めて60%台に達する見通しである。
