圧倒的な品質と信頼性を強みに世界を席巻するスイス発の大判UVインクジェットプリンタメーカー・swissQprint。その日本法人であるswissQprint Japan（株）（本社/横浜市港北区新横浜3-2-6）の新社長に2025年1月、スイス本社在籍のアドリアーノ・グット氏が就任した。さらに同社の創業に携わったメンバーの1人である岡部則之氏が副社長に就任し、新たな体制で始動している。今回、グット新社長就任後の初来日に合わせ、グローバル視点とローカル密着の融合でさらなる飛躍を目指す同社の現在地と未来について話を聞いた。

グローバル視点と日本市場を熟知したグット氏が新社長に就任

　「11年間、日本市場を見続けてきた経験が、今回の人事につながったと認識している」。このように語るのは、2025年1月にswissQprint Japan（株）の新社長に就任したアドリアーノ・グット氏である。印刷業界で20年以上のキャリアを持ち、2014年にスイス本社のswissQprintへ入社。その直後から日本市場を担当し、同社日本法人の立ち上げにも関与してきた人物だ。グローバルな視点と日本市場の現場感覚を併せ持つ存在としてスイス本社からの信頼も厚く、今回の任命に至った。

　これまでの来日は20回以上。グット社長は「今後は最低でも毎年4回は日本に足を運び、パートナーやユーザーと直接対話していきたい」としており、日本市場に対する関与をさらに深めていく考えだ。「日本のお客様は品質に対して非常に敏感であり、我々の製品に対する理解も深い。だからこそ、スイス本社・日本支社・ユーザー企業が一体となったチームとしての意識を、これからさらに強化していきたい」と力を込める。

　グット社長は、日本法人をアジア地域の中核拠点と位置付けており、「swissQprint Japanは、アジア各国の技術サポートを担う重要な存在である」と強調する。単なる販売拠点ではなく、技術のハブとしての機能を強化しながらアジア地域をサポートしている。

　日本市場の現状については、「円安などの影響で経済的には厳しい局面もあるが、UVプリント市場の伸長などポテンシャルは非常に大きい。今後も成長が見込める市場であると考えている」としており、強い期待感を示す。

　一方で、新体制のもとで何か大きく変えることがあるのかという問いに対しては、「我々は劇的な変化を目指しているわけではない。むしろswissQprintグループの一員であるという意識を、より明確に再認識していく。世界各国の拠点と緊密に連携し、各地域のノウハウを日本市場に還元していきたい」との認識を示す。

　この姿勢からは、継承と革新の両立を志向するグット社長の経営スタイルが感じられる。

日本とスイスの架け橋役の岡部氏が副社長として日常業務を管轄

　今回、グット社長とともに新体制を担うことになったのが、副社長に就任した岡部則之氏である。同氏は2017年にswissQprint Japanを立ち上げた創業メンバーの1人。設立当初からスイス本社と日本市場との間に立ち、言語と文化の壁を越えた調整役として手腕を発揮してきた。

　「創業当初からスイス本社と日本の橋渡し役を担ってきたことが、今回の任命につながったと考えている。今後も、日本市場の生の声を直接本社に届けるというスタンスを続けていきたい」と語る岡部氏。現場の声に基づく柔軟な対応力と、技術に裏打ちされた高品質なサポート体制は、日本市場におけるswissQprintの評価を確実に押し上げてきた。

　とりわけ、日本のユーザーが求める要求は、世界でも群を抜いて厳しいという。「プリントクオリティ、色の再現性、故障時の迅速な対応、そしてダウンタイムの最小化など、どれも日本市場特有の"当たり前"だが、それをクリアできてこそ信頼は築ける。swissQprintは、それらの期待に真正面から応える製品力とサポート力を備えている」と岡部氏は自信を示す。

　その象徴的な取り組みの1つが、2024年から開始した「36ヵ月部品保証」である。業界の常識を覆すこの保証制度は、同社製品の耐久性と信頼性への強い自信の表れと言えるだろう。

　「我々はプリンタの堅牢性に自信があるからこそ、36ヵ月保証を打ち出すことができた。発表当初、競合他社は12ヵ月が一般的だったが、徐々に追随する動きも出てきた。それでも、我々が最初に示したという事実は変わらない」と強調する。

　実際、スイス本国には2008年製の機械が現在も稼働中であり、製品寿命の長さは顧客にとって大きな投資価値となっている。swissQprint製品の高価格帯は、単なるコストではなく"長期的な安心"と"絶対的な信頼"の裏付けとなっているのである。