昇文堂、ロゴライセンス商品「江戸トランプ」の販売を開始
大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の放送を機に開発
(株)昇文堂(本社/東京都千代田区、田中眞文社長)は、オリジナルカードゲームを軸に、多彩な紙製販促アイテムを展開するメーカー。同社は3月、大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の放送を機に、江戸文化の魅力を凝縮した新商品「江戸トランプ」を開発し、ロゴライセンス商品として、同社ホームページにおいて販売を開始した。蔦屋重三郎ゆかりの地である千代田区に拠点を構える同社ならではの企画と言えそうだ。

独自のノウハウと営業力でカード印刷をリード
同社はトランプやカルタ、トレーディングカード、花札や百人一首、パズル、観戦グッズなど多彩なオリジナル紙製品を手がける企業。自社開発のオリジナルカードゲーム「SAi」ではグッドデザイン賞も受賞しており、その開発力は業界でも定評がある。
同社の製品力を支えるのは、印刷品質と加工技術への徹底したこだわりだ。とくにトランプやカルタの製作では、カード全面に均一な色を印刷する必要があり、わずかなムラも許されない。長年培ってきた印刷ノウハウにより、高品位な仕上がりを実現するだけでなく、カードゲームに欠かせない「滑り」にも独自のニス開発によって対応している。「当社のカードは、カジノレベルのクオリティを誇っている」と同社の田中千佳子常務取締役は自信を見せる。
営業面でも、カード印刷という専門性の高い分野において、豊富な知識と柔軟な対応力が評価されている。「一般的な印刷会社では難しい案件でも、当社では丁寧かつ分かりやすく提案できる。そうした対応力が仕事につながっている」と田中常務は話す。
遊びながら江戸文化を感じる「江戸トランプ」
今回、新商品として発売された「江戸トランプ」は、スペード・ハート・ダイヤ・クラブの4スート構成をベースに、富士山や桜といった日本的なモチーフをあしらい、カード1枚1枚から日本の四季や美意識が感じられるデザインが魅力だ。

絵札には、蔦屋重三郎が支援した名絵師たちの作品を再構築。東洲斎写楽「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」や、喜多川歌麿「ポッピン娘」など、江戸の粋と華を伝える浮世絵がふんだんに取り入れられている。「今でいうと広告代理店のような存在であった蔦屋重三郎が築いた世界観を、現代に蘇らせた商品である」と田中常務は語る。

価格は税込1650円。全54枚の高品質な「メイド・イン・ジャパン」の製品であり、遊ぶだけでなく、鑑賞用・ギフト・インバウンド向けのアイテムとしても独特の存在感を放つ。
トランプは情報量・保存性に優れた販促ツール
一方、同社は会社案内などのツールとしてもオリジナルトランプを活用することを推奨しており、田中常務は「捨てられにくい販促ツール」であることを強調する。
「トランプは54枚構成なので、1枚ずつに情報を載せることで、パンフレットやカタログと同等、あるいはそれ以上の情報量を盛り込むことが可能になる。また、展示会などで配布した際の反応も非常に良く、面白みのあるツールとして受け取ってもらいやすく、捨てられにくい点も強み」と販促トランプの効果について説明する。
実際、有名ブランドの販促物としてトランプやカルタを制作した実績も多いようで、企業ブランディングやコレクターズアイテムとしての価値も高まっているという。
販促アイテムを「工芸品」の領域へ
同社は現在、オリジナルカードゲームの特徴を活かした販促ツールのさらなる高付加価値化を目指し、パッケージとアクセサリー類などの融合や、カード側面への箔押し加工など新たな表現技術にも挑戦している。「販促アイテムとはいえ、工芸品や美術品と呼ばれるレベルのものを提供していきたい」と田中常務は将来を見据える。
「遊び心」と「美」を融合する同社のオリジナルカードゲームは、販促アイテムという枠を超え、プロモーションの未来を切り拓く存在になりつつあると言えそうだ。