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第一印刷、小ロットからの裏カーボン印刷サービス開始

一貫生産で短納期に対応、「カーボン屋本舗」として全国に提供

 伝票印刷ではノーカーボン化の流れが加速する一方、裏カーボン伝票の需要は依然として一定量残り続けている。しかし裏カーボン印刷を請け負う業者の減少により、発注先の確保が困難になっているのが現状だ。こうした中、(株)第一印刷(本社/静岡県浜松市中央区大瀬町529、大見信二専務取締役)が新たに打ち出したのが、小ロットからの裏カーボン印刷の全国対応サービス「カーボン屋本舗」だ。昨年に導入した平台カーボン印刷機を完全オーバーホールし、1冊からでも印刷、カーボン印刷、製本・加工まで行える一貫生産体制を確立。納期の確実性とコストメリット、安心感を強みに、全国の印刷会社からの発注を受け付けている。

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完全オーバーホールした平台カーボン印刷機

 昨今の帳票印刷業界は、環境対応やデジタル化の流れにより、ノーカーボン紙が主流となっている。しかし、油や薬品の影響を受ける工場伝票や、長期保存が必要な経理書類などでは、裏カーボン紙の優れた複写濃度と保存性が求められ続けている。しかし、裏カーボン印刷を請け負う業者は、職人の高齢化や採算性の低下によって減少し、全国的に供給不足が深刻化しているのが現状だ。

 そこで今回、同社はこのような市場環境に対応するため、今年から小ロットからの裏カーボン伝票サービス「カーボン屋本舗」を全国的に展開することを決断。大見専務は「裏カーボン伝票は発注先が少なく、かつての当社のように困っている企業が全国にたくさんあるはずだ。大量に発注される仕事ではないため、東海地区だけでは採算が合わないが、全国に販路を広げれば事業としても成立すると考えた」と話す。

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大見 専務

 今年1月の(株)光文堂PrintDoors2025第61回新春機材展に出展したところ、その判断に間違いはなかったようで「当社のブースを目指して十数社が裏カーボン印刷のサービスについて問い合わせに来てくれた。その中には北海道の印刷会社もあり、全国に需要があることを確認することができた」(大見専務)。さっそく商談に訪れた来場者もいたようだ。

内製化でスピーディーな対応と安心サービスを提供

 同社は、軽オフセット印刷機とデジタル印刷機を保有しているが、今回新たにカーボン印刷機を導入したことで、印刷からカーボン印刷、製本、加工、そして梱包までを自社工場で一貫生産することを可能にした。これにより、外注先の納期遅延リスクを排除し、短納期で対応することが可能となった。

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デジタル印刷機の活用で極小ロットの裏カーボン印刷にも対応

 「当社も従来は裏カーボン印刷を数少ない外注先に依頼していたが、年配の職人が多いため、納期や見積もりなどもアバウトで、取引先に迷惑をかけそうになったことも多々あった。その場合、当社は前後の工程をつめることで納期に間に合わせていたが、内製化によりそのような心配もなくなり、自社だけでなく、裏カーボン印刷でお困りの全国の印刷会社の仕事を請けていこうと考えた」(大見専務)

 カーボンインキを乾燥させる時間を考慮しても、急ぎという場合は2日程度で仕上げることも可能ということで、従来はカーボン印刷だけで2〜3週間を要していたということを考えると、驚くほどの短納期サービスとなる。

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オフセット印刷機も活用

 さらに、同社の強みは納期の確実性だけではない。品質管理やユーザー目線でのサービス強化にも注力している。大見専務は「工程の一部を担う下請けという感覚ではなく、『カーボン屋本舗』という高いブランド意識を持って取り組んでいる。見積もりのスピードや梱包など、細かな部分にもこだわっており、安心して発注できる環境を整えた」と強調する。

印刷DX展「JP2025」に出展し、さらなる周知

 同社は今後、裏カーボン印刷の全国からの注文に対応していくための体制を強化していく。大見専務は「裏カーボン印刷分野において、全国を代表して業界の安定化に貢献する企業を目指したい」と展望を語る。先頃の「JP2025」では、「荷札屋本舗」と「カーボン屋本舗」を関西の業界にアピールした。

 また、同社はインターネットを活用したPRにも注力し、全国の印刷会社に新サービスを周知していく。大見専務は「裏カーボン印刷をどこに発注すればいいかわからない...という悩みを解消し、信頼できる発注先として帳票印刷業界の課題を解決していきたい」と意気込みを見せる。同社の新サービスは、裏カーボン印刷の未来を支える新たな選択肢となりそうだ。