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エコスリージャパン[社員座談会]- 30代の中間管理職が考える印刷業界とは

お客様の良き「パートナー」になれるように

■中野 先ほど高坂さんから新人研修の話がありましたが、最近では役員、営業、経営企画室向けに経営論を学ぶ研修がスタートしました。これも「お客様のよきビジネスパートナーになる」という会社方針のもと行われています。表現は悪いかもしれませんが、これまでは義理と人情や「しがらみ」に偏重した取引も多かったと思います。しかしそういった慣習もコロナ禍を機に次第に薄れてきました。印刷需要の減少、原材料高騰など大きな印刷環境の変化で今までの習慣を変える必要がでてきていると感じています。それに合わせて、メーカーである私たちも考え方を変えなければいけません。単なるモノ売りではなく、お客様のビジネスを十分に理解し、本当に価値ある提案ができるようになることが求められています。

■大山 確かに義理と人情は人間関係の基本ではありますが、それだけではなくビジネスの潜在的な課題やニーズを引き出す力の必要性を感じています。以前、あるお客様に印刷会社とメーカーの付き合い方のベストは「50:50」だといわれたことがあります。お客様とお客様のコアビジネスについてしっかりと向き合えるくらい自分の能力を上げていくことを求められていると感じました。エコスリージャパンの経営論の研修はまだ始まったばかりですが、経営の基礎からビジネスモデルの作り方、財務諸表の見方、財務改善の目の付け所、リーダーシップ論など多岐にわたります。自分のビジネスに当てはめて考えていくと、すごく参考になります。しっかりと学びお客様から信頼されるパートナーになれるよう頑張りたいと思います。

■高坂 エコスリージャパンは「厳しい状況を乗り切るためには変革が必要」とメッセージを出していますが、我々自身もお客様にあわせて変わっていかなくてはいけないということですよね。

■大岡 お客様のよきビジネスパートナーになるという点においては、私は今年からエコスリーユーザー会の事務局長を任せていただくことになり、300社を超えるお客様が参加するユーザー会で何ができるかといろいろ考えています。コロナ禍で課題が一気に押し寄せましたが、正解が見えない時代に正解を見つけ出す構想力が必要になると思っています。私にとってユーザー会は「お客様にとって本当に価値のある情報提供の場」として、お客様が今後印刷業界で勝ち残っていけるような「正解」が見つかるようなユーザー会にしたいと思っています。そして、お客様同士の交流の場としても有効活用していただけるように様々な企画をしていきたいと思います。そのために私自身が常にアンテナを張って業界内問わず情報や企画を取り入れていきたいと思います。

■高坂 私も積極的な情報発信の必要性を感じています。仕事柄ヨーロッパ事情に触れることがありますが、各国の課題に対する解決策を見ると、日本でもまだまだやれることがあると感じます。ヨーロッパではかなり自動化・省力化が進んでいて8色機2台を1人で回しているという事例もあります。私も現地でユーザー見学に行きましたが、工場にほぼ人がいないことに驚きました。その背景には、ドイツは日本よりも労働者不足が早くかつ深刻にあることが考えられます。1960年ですでに今の日本のように移民を受け入れ、10年以上も前からインダストリー4.0を導入して限られた労働力で生産性を上げていくことで人手不足問題の解決を目指しました。というか、そうせざるを得なかったのです。ドイツが先進的で合理的な考えが発展しているのは日本よりも早くこの問題に直面していた背景があるからでしょう。エコスリーがいち早く省力化を推進するソリューションを開発してきたのもヨーロッパを本拠地として展開してきたからです。「エキスパート・ローダー」や「PTS」は日本のお客様でも導入いただいていますが、最近は最新鋭のロボット技術を使った「ロボット・ローダー」はプリプレス工程を無人で運用することを可能にし、海外の導入事例も増えてきました。エコスリーでは、導入実績も十分にありますのでこうした知見と製品を活かしながらより日本市場に適したご提案をしたいと思っています。

これからの印刷業界を考え、お客様に提案する

■中野 お客様とお話しさせていただく中で、「オフセット印刷は今後さらに厳しくなる」という意見を聞くことがありますが、私は紙の本が好きなので少し寂しく感じます。一方で、電子書籍より紙の方が記憶力や読解力が高まるという研究報告もあり、まだまだオフセット印刷は「いける」と思っています。その中で、私たちが提案している速乾印刷(エコスリーの現像レスCTPプレートによる極限まで水を絞った印刷方式)は、印刷機の入れ替えといった大型投資をせずにプレートの切り替えだけで効率的にコストを抑えることができます。この速乾印刷は必ずお客様のお役に立つソリューションであると自信を持って提案しています。営業が自社のソリューションに自信が持てないと提案できないですからね。

■大山 私も中野さんと同じ思いで営業活動しています。一方で、最近の業界の流れとしてはメーカーのひとりよがりになっていると感じることがあります。その新製品は本当にお客様が求めているものなのか?価値のあるものなのか?また、CTPプレートは機上現像プレートが注目を集めており、従来のアルカリ現像プレートがメーカー主導で市場から少なくなっていますが、その判断は本当に正しいのか疑問があります。営業活動していても耐刷が高く、比較的安価な現像ありプレートを求められるお客様はまだまだたくさんいます。メーカー主導でお客様の選択肢を少なくしているのではないかと思うほどです。私はそうした状況を変えたい。お客様にとって本当にメリットのある提案なのかを常に考えながら、ガム洗浄プレートはじめ、アルカリ現像プレートも提案し、お客様のニーズに答えていきたいと思います。

■高坂 コロナ禍で業界問わず生き残る会社や撤退する会社が明確になってきました。今後も印刷需要は減り続けるとは思いますが、中野さんの言う通りまったくなくなることはないと思います。印刷業界は他業種と比べても安定した業界であると思っており、私は悲観的にみていません。むしろ固い業界とみています。その中で勝ち残っていくために私はお客様に、ドイツのように徹底的な合理化を進めて今でいうDXを推進していただきたいと思っています。付加価値を生まない作業はロボット、またはシステムに置き換える提案です。先ほども話しましたが、近年のロボット技術は目まぐるしく進化し、高い精度をもって生産現場で活躍することができます。システムにおいては無人化、効率化向上を異次元で実現できるRIPのクラウド化やルールベースの自動プロセッシングです。コロナで世界は変わり、今までの習慣を見直す時期に「徹底的な合理化」はキーワードだと思っています。

■中野 私も同じように思います。差別化に関していうと、日本の印刷会社は品質を謳う会社が多い気がします。もちろん、日本の印刷品質は誇るべき点でありますが、各社が同じでは差別化とは言えません。

■大岡 確かにSublimaコンテスト(エコスリージャパン主催の印刷コンテスト)でも出品作品の品質水準が上がり、その品質が審査に与える影響が少なくなってきたと私も思っていました。一方で企画力・アイディア力といった付加価値のある印刷物に点数が集まる傾向にあります。

■中野 例えば富沢印刷様(東京都荒川区)では、エコスリーのXMスクリーニング「スブリマ」を用いて品質向上を実現されました。今ではその印刷技術を応用して偽造防止技術「ぎぞらーず」としてブランド化し、営業展開されています。また、Sublimaコンテストにも毎年出品していただき、クライアントと一緒に受賞を目指されています。これもクライアントとより強固な関係を作る営業手法であり、差別化の一例だと思います。富沢印刷様以外にもたくさん事例はありますが、生き残っている会社はずいぶん前から変化している印象です。

■大岡 様々な事例を通して、自信のポジションを見極めて得意なこと、差別化できるポイントを真剣に考える必要があります。まだまだ微力ですが、情報提供を行うメーカーとして私たちもともに挑戦し、エコスリージャパン発で業界全体、ひいては社会をより良くすることに貢献していきましょう。