統一印刷、「印刷業名人」によるデータ一元管理でDX加速
生産管理人員は5人から3人、作業時間は3分の1に
原価管理と生産性向上にも大きな成果。多能工化とスキルアップにも
そして、「印刷業名人」の活用は、同社の原価管理と生産性向上にも大きな成果をもたらしている。過去には見えにくかったジョブごとの損益分析が瞬時に行えるようになり、より正確な原価計算と価格設定が可能になった。これにより、不必要なコストの削減や利益率の最適化が実現し、経営の健全化に寄与している。
さらに、「印刷業名人」の活用は営業プロセスにも大きな役割を果たしており、内藤氏は「これまでは営業マンから進捗状況確認の連絡が入った場合、いったん電話を切って確認してからかけ直していたが、今ではその場で瞬時に状況を伝えられるようになった」。このため、営業担当者は出先からリアルタイムで受注状況や生産進捗を確認できるようになり、顧客からの問い合わせに迅速かつ正確に対応できるようになった。これは、顧客満足度の向上に直結しており、長年にわたる顧客との信頼関係を一層強固なものにしている。
また、「印刷業名人」は同社の販売管理にも効率化の効果をもたらしている。同社では「印刷業名人」の導入以前、Excelと市販の販売管理ソフトを活用していたが、データの手入力によるミスが起こりやすい状況であった。しかし、現在は自動で必要事項を処理できるため、入力ミスの問題を解決した。さらに、これによりオペレーターのストレスが軽減され、より質の高い作業に集中できる環境が整っている。
この業務を担当する長谷部都志子氏は、「1ヵ月あたり約60時間を売上入力の作業に費やしていた」と当時の労力を振り返る。それが現在は「印刷業名人」の販売管理オプションにより、データと連動させて処理が可能になったため、「作業時間は従来の3分の1の約20時間に減少した」(長谷部氏)と話している。
そして、余った時間は他の業務に費やせるようになり、現場の多能工化やオペレーターのスキルアップにもつながっている。同社にとって「印刷業名人」の導入は、単に作業の自動化を実現するだけでなく、オペレーターの働き方を根本から変え、組織全体の生産性向上に大きく貢献していると言えそうだ。
ユーザックシステムの顧客第一主義のサポートに信頼
ユーザックシステムの企業としての評価について、同社は顧客に対する真摯な姿勢とサービスの質の高さを挙げる。とくに「印刷業名人」の導入サポートにおいて、ユーザックシステムの顧客中心のアプローチを高く評価している。
また、「導入準備の期間はコロナ禍の中、ウェブ会議を活用してコミュニケーションを維持していただいた。大阪からサポートをして頂いたが、数回の訪問だけであとはWebで完結し、柔軟かつ継続的なサポート体制にも満足しており、距離的なデメリットは感じなかった」(雫石社長)ということで、今後もビジネスパートナーとして長期的な関係を構築していきたい意向を示している。
ユーザックシステムの企業としての姿勢は、ユーザーの要望を丁寧に聞き取り、それに応えることを心掛けることで高い信頼性を築いていくことにある。そのサポート体制は、ただ単に製品を提供するだけでなく、ユーザーの成功をサポートすることに重点を置いており、これが同社の評価を高める大きな要因となっていると言えるだろう。
女性中心に「Beauty Package」をさらに高める
同社の特徴の1つとして、現場を含めて女性が多いことが挙げられるが、雫石社長は、将来的には現場を女性で埋め尽くすことで、キャッチフレ--ズに掲げる「Beauty Package」にさらに相応しい企業を目指していく考えだ。
「女性は細かいところにも気配りができ、現場に向いていると考えている。とくに当社は化粧品パッケージを作っているので、女性中心の現場を構築することで、さらに高品質で上品なパッケージ作りに注力していきたい」と語り、これにより化粧品パッケージ製造における独自性と競争力をさらに高めていく考えを示している。
取材の最後に雫石社長は、「印刷業名人」の導入を通じて、従業員一人ひとりの能力や成長の機会を促進している点にも触れた。同システムの導入により明らかになった従業員の個々の能力を生かし、さらなる効率化と生産性向上を目指していくという。同社の取り組みは、単なる製造業からさらに一歩進んだ「美の創造者」としての自負を感じさせ、その姿勢が今後も業界内での同社の位置づけをより強固なものにしていくことになるだろう。今後の展開が楽しみな企業の1つである。