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統一印刷、「印刷業名人」によるデータ一元管理でDX加速

生産管理人員は5人から3人、作業時間は3分の1に

EXCELでの管理に限界を感じ、管理システムの導入を決断

 同社が業務効率化と品質の向上を実現するために「印刷業名人」という画期的な業務管理システムを導入した背景には、長年抱えていた根深い課題があった。同社ではこれまで、受注から生産、出荷に至るまでのプロセスは、Excelに依存した分断されたフローで作業しており、これにより重複入力やヒューマンエラーが頻繁に発生していた。ただ、同社ではベテランオペレーターが社員の大多数を占めていたため、いわゆる「職人の勘」により、ミスは外部流出する前に発見していたようだ。エンジニアグループ課長 印刷チームの蒔田圭一氏は「社内でExcelのフォーマットはあったが、各自が使いやすいようにカスタマイズして使用していたため、情報の統一性を欠いていた。それでもベテラン社員が大部分を占めていたため、『おそらく、こういうことだろうな』という憶測で作業を行っていた」と振り返る。そのようなやり方は大きなリスクを伴うため、いつか改善する必要があると感じながらも、「それで問題なく仕事ができてしまうものだから、システムでの管理に変更しようと思っても、なかなか変えることができなかった」(蒔田氏)という。

 その一方、ミスの外部流出はゼロであったとしても、見積作成から受注入力、生産計画、工程管理、出荷指示まで、当時は、ほぼ同じデータを何度も重複して手動で入力していた。この反復作業は、膨大な時間と労力を浪費していた。


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左から、蒔田氏、内藤氏、比嘉氏、長谷部氏


 このような状況は、同社の成長と効率化を妨げる大きな障害となり、改善への強い必要性が必然と思われた。社員間でそのような気運が高まる中、カスタマーグループ グループリーダーの内藤絢也氏は、インターネットで自社の業務に最適な管理システムを検索。そこで発見したのが「印刷業名人」であった。

数社を比較し、「そのまま使える」ことから「印刷業名人」を選択

 「印刷業名人」を選択するまでの過程において、同社では5〜6社からの提案を検討。その中、「印刷業名人」はそのまま使えるという実用性に加えて、他のシステムとの比較で明確な利点を持っていた。

 「印刷業名人は、紙器・パッケージ印刷向け業務管理システムであり、現状の業務フローに適合し、ほぼそのまま導入が可能であると判断した。必要になれば導入後のカスタマイズも可能で、同業のパッケージ印刷業での多くの導入事例があることにも安心感を覚えた」(内藤氏)。これに加え、既存プロセスへの容易な統合、ユーザーフレンドリーなインターフェースなども重要な選定基準になったようだ。

 また、システムの機能だけでなく、同社を担当していた営業との関係も、この決断に不可欠な要素であったという。雫石社長は「担当されている営業の方は、頻繁な打ち合わせやウェブ上でのやり取りを通じて、その高い対応力と信頼性を示してくれた。営業の方の誠実さと、ユーザックシステムの企業としての価値観に信頼を置き、最終的な選択を下した」と話す。

 この決断は、同社にとって「印刷業名人」の導入が、単なるシステム導入以上の意味を持っていることを示している。社内業務の効率化、エラーの削減、最終的には顧客満足度向上につなげるため、メーカーとユーザーとの真のパートナーシップの始まりを意味していると言えるだろう。同社は「印刷業名人」の導入により、企業価値を高める未来への大きな一歩を踏み出したと言える。


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生産管理の人員削減とともに、担当者の作業負荷を大幅に軽減

 「印刷業名人」の導入を決定後、同社は生産性と効率性の大幅な向上を実現している。とくに生産管理部門では、従業員数を従来の5名から3名に削減することに成功し、さらに外注管理プロセスも大幅に改善した。これまでの手作業に依存したプロセスから、デジタル化による自動化への転換は、大きな時間の節約につながっている。雫石社長は「とくに当社は部分外注が多いため、それをシステム管理することで、手配調整の時間が概ね30〜40%程度縮減された」と効果を話す。

 また、同社ではフロントラインで活躍するオペレーターが「印刷業名人」を駆使することで、日々の業務に革命をもたらしている。とくに大口取引先の大手化粧品メーカーからのリピート注文が多いという背景のもと、同システムの導入は、効率化と精度の向上に大きく寄与している。

 取引先からは、Webにより毎週30件から多い時は100件近くの受注が入ってくるという。同社ではそれを週に1回、まとめて入力作業を行っていたが、Excelで入力していた頃は、それを1件1件、手入力で1人の担当者が処理していたため、その他の雑務もこなしながらだと、受注の入力作業だけで丸1日を費やしていたという。

 それが現在は、従来の手作業による入力から脱却し、自動化されたデータ処理により大幅な時間短縮を実現した。カスタマイズされた受注取込システムによって、ボタン1つでデータを受注表へと落とし込むことが可能となり、注文データの入力にかかっていた時間が大幅に削減され、オペレーターの作業負担が大きく軽減されている。

 同化粧品メーカーの受注入力を担当しているカスタマーグループ プランナーチームの比嘉祐一氏は「1件あたり5分〜10分の時間がかかり、さらに打ち間違いのないように気を付けながら行うので神経も使い、大変な作業であった」と振り返る。それが現在は、この取引先のWeb受注画面からダウンロードして取り込むだけのため、「確認作業のみで済むようになった」(比嘉氏)。短縮された時間を他の取引先の管理に回せるようになった。そして受注から外注先への指示までが一貫したシステム内で完結するようになったことは、業務効率だけでなく、情報の正確性と透明性の保証にもつながった。