ページの先頭です

統一印刷、「印刷業名人」によるデータ一元管理でDX加速

生産管理人員は5人から3人、作業時間は3分の1に

 「Beauty Package」をキャッチフレーズに、高品質な化粧品パッケージ印刷を得意とする統一印刷(株)(神奈川県藤沢市、雫石宏親社長)は、従来のExcelによる人海戦術の受注・工程管理に限界を感じ、2021年秋にユーザックシステム(株)の紙器・パッケージ印刷業向け業務管理システム「印刷業名人」を導入。2022年7月より順次本稼働を開始しており、煩雑な管理が必要なパッケージ印刷において、受注から製造、出荷指示までの作業の一元管理を実現している。これにより、生産管理部門の人員は従来の5人から3人に削減。また、入力業務などの作業時間も従来の3分の1に削減するなど、注力するDX化を大きく加速させた。


touitsup_usk_3.jpg

「受注データ取込」のボタンを押すだけのため、注文データの入力時間を大幅に削減


 同社は1951年に創業し、今年で73期目を迎える。社内の工場ではUV印刷から紙器加工(箔押し・エンボス・打抜・貼)から検査まで、一貫した独自の生産技術体制を強みとしている。創業当初の社名は「十一房印刷」で、雫石社長は現社名の由来について「当時の創業者が、印刷業界を統一し、その頂点に立とういう熱い想いを込めて、当時の社名の『十一』から『統一』として命名した」と説明する。同社では「統(みつる)」と「一(はじめ)」という名前のマスコットキャラクターを制作しており、これをInstagramや販促メモなどに登場させており、ここからも同社の社名への愛着が感じられる。

touitsup_usk_top.jpg

マスコットキャラクターを手に雫石社長


 そして、同社のもう1つの特色は、その社風である。「明るく、気負わずに働ける」環境を重視しており、社員一人ひとりが笑顔でいられる職場作りを目指している。これは仕事の効率だけでなく、社員の幸福感にも直結する考え方だ。実際に、同社を取材で訪問した際も、同社の社員から発せられる爽やかな挨拶や、気持ちの良い社風に感銘を受けた。

 ただ、そんな同社にも数年前まで、社内スタッフの高齢化という課題があった。「将来を見据えたとき、『若い力』が必要であった」(雫石社長)。これを解決するため、同社では一昨年より新卒者を積極的に採用。平均年齢は一気に10歳若返り、現在の平均年齢は30代後半になった。そして、そんな若手の活躍の場を提供すべく、同社では「DX」の取り組みを開始。製造現場ではタブレット端末での工程管理を行い、若手主体の改善プロジェクト「皆進プロジェクト」を発足。DXの推進には若手が、そして技術承継にはベテランが取り組み、両者の融合により、新たな価値を創出していきたい考えだ。製造現場でのDXの活用と、長年の経験に裏打ちされたベテランの知識の融合は、まさに同社の強みであり、その競争力の源泉となっていると言えそうだ。雫石社長は「これにより、独自技術の継承を確かなものにしていく環境を目指している」としている。


touitsup_usk_4.jpg

タブレット端末での工程管理を実現