ページの先頭です

岩倉印刷紙業、品質と生産効率を担保しながら「環境対応」[アダマス採用事例]

厚紙5万枚以上の耐刷性〜製造過程でのCO2排出量ゼロへ

 「大ロット・短納期対応特化型」のパッケージ印刷事業に強みを持つ岩倉印刷紙業(株)(本社/大阪市天王寺区東上町2-25、岩倉大介社長)は昨年末、品質と生産効率を担保しながら「環境対応」を実践できる刷版工程の構築を目指し、エコスリーの高耐刷性ガム処理プレート「Adamas(アダマス)」を採用。年始5日からの稼働というタイトなスケジュールの中で、エコスリーのサポートによって安定した生産で立ち上がり、耐刷性については従来使用していた現像ありプレートよりも向上しているという。


iwakura_azura_24_avalon.jpg

年始5日からアダマスを全面採用


大ロットを高い瞬発力で

 1967年に竣工した同社主力工場の郡山工場(奈良県大和郡山市池沢町321-16)は、800種類を超えるパッケージ印刷製品を手掛ける「大ロット・短納期対応特化型」の一貫生産工場だ。パッケージ印刷分野においても多品種、短納期化の流れが加速するとともに高レベルでの品質安定性が求められており、とくに納品先となる製造メーカーでも生産機の高速化を進めていることから、納期対応はよりシビアな状況にあるという。この流れを背景に同社では、大量生産のリピートオーダーに対し、品質を担保した製品を「如何に素早く、如何に効率良く、如何に低コストで応えるか」を追求することで、自社の強みを明確に打ち出すとともに、大手印刷会社との差別化をはかってきた。


iwakura_azura_24_sample.jpg

800種類を超えるパッケージ印刷製品を手掛ける


 この同社最大の強みについて、工場統括兼業務推進部長の梅本政資氏は、「大量生産に対応できる印刷会社はある程度大手に限定される。そこで財力にともなう設備や生産キャパシティでは太刀打ちできない。その中で当社が優位性を発揮できる強みは『小回りが利く』、いわゆる『瞬発力』の高さだと考える。仕様変更に対しても当社では工場で決裁できる『現場力』があり、クライアントにはこの『使い勝手』が高く評価されている」と説明する。


iwakura_azura_24_umemoto.jpg

梅本部長


 さらにグローバル企業である大手製造メーカーに対しては「環境対応」という視点は、もはや避けては通れない。そのため郡山工場は、環境ISO認証取得をはじめ、VOC放出量の低減を目指して2020年にUV専用工場へとシフトするとともに、産業廃棄物の徹底した分別とリサイクルの推進、都市ガスの閉栓、再生可能エネルギーの導入計画などに取り組み、製造過程でのCO2排出量ゼロを目指しており、クライアントの一歩先を行くサステナブル経営を実践していることでも知られる。

 現在、郡山工場では2台の菊全判7色コーターUV印刷機「Rapida106」(最高1万8,000枚/時)と9色+5つの加工ユニットを備えたフレキソ印刷機が2交代制のシフトで生産を行っており、とくにRapida106は、その高速性能を活かして毎時15,000〜18,000枚/時で運用、2020年に更新した打ち抜き機は毎時7,000〜8,000回転、糊付け機は220〜230m/分で、時間当たり約4〜5万個のパッケージ生産を行っている。

 「当社では、品質の安定を求めるがゆえに生産スピードを落とすようなことはしない。やはり営利事業を行う上で、どのような条件であっても品質を維持しつつ生産スピードを上げていくという姿勢が大切である」(梅本部長)

 UV専用工場への移行、高速機の導入、そして品質を担保した効率生産を追求してきた同社。機械台数を減らしつつも生産量を年々増加させることで、エネルギー消費量およびCO2排出量の削減効果を弾き出している。


iwakura_azura_24_rapida106.jpg

郡山工場では2台の菊全判7色コーターUV印刷機「Rapida106」が稼働


iwakura_azura_24_visioncut.jpg

2020年に更新した打ち抜き機