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デコラティブシステム、アフターコロナに「Nyala4」で反転攻勢へ

「流れを変える印刷機」として期待、2.5次元の印刷で新市場へ進出

 屋外広告の屋外用印刷業界での揺るぎない歴史に「印刷機が流れを変える」という説があるという。3Mジャパン特約店で車両ラッピング、内外装サインなどを主事業とするデコラティブシステム(株)大阪本社(大阪府吹田市)の杉森健一取締役CEOは、「例えば約30年前に発表された3Mジャパンのスコッチプリントは、日本だけでなく世界中の電車・車両のラッピングに変革を与えた」と説明する。同社はコロナ禍で12年右肩上がりであった業績が15%ダウン。アフターコロナに対応するために新市場に進出し、流れを変えたいという思いがあった。そんな中、事業再構築補助金を活用するという方針を鶴見芳令会長が打ち出した。そして同社の期待を一身に受け、今年5月に導入したのがswissQprintのUVインクジェットフラットベッドプリンタ「Nyala4」である。


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出力機初心者でも簡単操作を実現する「Nyala4」


 同社は創業44年の企業で、屋外広告業を主体に、車のフィルムマーキングや内外装・サインなどを手掛ける。2022年の売上高は24億円。従業員数150名、大阪・東京の二拠点で事業展開している。

 提案から製作・工事までの一貫したサービスと全国施工対応を強みとしており、杉森取締役CEOは、「それを極めるため、会社で『結束』という共通言語を作った」と話す。特にデザイン力・製作生産能力・工事力を高めながらセクション間の連携・結束を強めることに注力しており、工事スタッフは給与を含めた勤怠管理とライフワークバランスを考えた体制を構築しており、この取り組みにより、さらなる人員増を目指している。

 さらに、SDGsにも意識して取り組んでおり、フィルムの端材を活用して万華鏡を作成するワークショップの開催や、幼稚園に配布しているフィルムの端材は動物の形に切り取って画用紙に貼るなどして園児からも喜ばれているという。

 そんな同社は2019年に業績はピークとなり、東京オリンピックを見据えて人員を増加。設備投資し、東京にも生産工場を竣工したが、その矢先にコロナ禍が蔓延。さらに、屋外広告やフィルム業は現在、従来型の仕事の流れでは顧客の多様なニーズを満たすのにも限界がきている。そのような中、「顧客の期待を超える印刷物を製作したい」という思いのもと、大型プリンター9台に加えて、初のフラットベッドプリンターとして戦列に加えたのが、swissQprintのUVインクジェットプリンタ「Nyala4」であった。

高画質と生産性、国内では数少ない導入という差別化戦略で選択

 「Nyala4」は、最大出力範囲3.2×2.0m、最高解像度1,350dpi、最高速度206平米、インクは9色の搭載が可能な次世代型プリンター。従来の印刷機と比較し、高い表現力により提案型の仕事作りをサポートすることが可能になる。

 新市場進出のための戦略機として同機を選択したポイントとして、執行役員の井澤真也西日本営業本部本部長は「UVプリンタの中でも高画質を謳っていてスピードも早い。さらに、国内では導入企業もまだ少ないということで差別化につながると考えた。また、ボード系(板物)に展開していくきっかけとして、メディアにダイレクト出力できるフラットベッドプリンタを見渡したとき、突出していたのがswissQprintであった」と説明する。

 そして、実際に「Nyala4」を運用する中で感じているポイントとして、製作部の高雄政臣課長補佐は「発色の良さが圧倒的」であることを強調している。「他メーカーのUVプリンタと比較しても色域が広い。UV機はたいてい色が沈むイメージがあるが、オレンジのチャンネルを積んでいるため、色褪せることがない」(高雄氏)。


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大阪本社・ショールームにて杉森取締役CEO


 同社ではCMYKに加えて、ライトシアン・ライトマゼンタ・ホワイト、バーニッシュ・オレンジのチャンネルを搭載しているが、井澤本部長も「オレンジとバーニッシュにより色域と表現の幅が広がるため、提案できる領域も広がっている」と付け加える。同社では現在、アクリルやガラスの透明シートに「Nyala4」で出力し、さらにバーニッシュでの装飾、フィルムに出力してガラスに貼るなどして、ポスター作成から店内吊り下げバナーの作成、ディスプレイの作成やアート作品の複製出力などにも活用しているという。