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ハタヤ、ロール専用プリンタ「Karibu2」国内1号機導入

2台分のジョブを1台に集約、「瞬発力」ある高品位出力を実現

メッシュプリント、両面ターポリンもストレスなく出力可能に

 そして、沼田氏が「この機能のメリットは大きい」と高く評価しているのは、印刷テーブルにメッシュキットが装備されていることだ。印刷前の追加セットアップ、印刷後のクリーニングは不要で、ワンクリックで通常の位置からメッシュ印刷ポジションへ移動する。移動後は、ただちに印刷を開始することが可能になっている。

 「これまではメッシュ素材の場合、溝に落としていたのでセットも大変だったが、キャリッジをメッシュポジションに移動してプリントできる」(沼田氏)。メッシュポジションの下にレシート紙のような巻紙が走っており、ヘッドキャリッジと一緒に動いてインクを吸い取る仕組みとなっている。この紙はプリントの進行に応じて自動的に巻き取る仕組み。これにより「メッシュプリントにストレスなく移行できるようになった」(沼田氏)。また、ロール紙の場合、どうしても搬送のズレが起きることがあるが、ヘッドキャリッジの前後の動きを利用してこれも補正できるという。

 また、両面ターポリン出力の場合も、これまでにない効果を発揮している。片面を出力したときに、自動でQRコードを出力し、ひっくり返した時にセンサーで読み込み、ズレを補正してくれるという。沼田氏は「以前は定規で測って左から何センチなどと調整し、平行具合もマジックで線を引いて調整していたが、この機能により見当ズレもなくなり、楽に作業が行えるようになった」と大幅な作業負荷軽減を実感しているようだ。

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生産キャパとクオリティだけでなく、作業性も大幅に向上した

 さらに、プリントエリアの手前に装備されている「Light Box」により、バックリット出力の品質確認を即時に、また継続的に行うことが可能になった。この機能により、時間とメディアの無駄を最小限に抑えることができるようになったことも評価している。

 「これまでは出力後にメディアを広げて確認していたが、印刷しながらピンホールやスジなどをチェックできるため、作業負荷低減につながっている」(沼田氏)。

 必要な部分だけを照らすことができ、透明や薄いメディアなどもその場で品質チェックすることができるという。

UVインクジェットのメリットは「積層」が可能であること

 同社はこれまで、数種類のUVインクジェットプリンタを活用してきているが、swissQprintのプリンタの特徴であるUVインクジェット方式について、その一番のメリットであるのは「積層」ができることだと強調している。

 「色を重ねていけるため、透明素材に裏の画像を先に出力し、白と黒で重ねていくと両面表示が可能になる。ガラスに貼るグラフィックなど、当社はそのような仕事を多く受けているので、溶剤だと時間もかかるし透け感も出てしまうため、これがUVインクジェット方式の一番のメリットであると認識している」(吉川社長)

 そして、swissQprintのメーカーとしての評価として「今回初めての導入であったが、全体的に使いやすく、本当に色々なことを考えて製品を開発しているメーカーであると感じた」(吉川社長)と、ユーザー目線での開発姿勢を高く評価していた。

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神戸市西区の本社外観

 同社は今年8月中には、新規事業としてボックスパネルのECサイト「monocoto」をオープンする予定。完全データ支給だけでなく、デザイン知識の少ない一般の人でもサイト内でデータを作成できる仕組みになっている。吉川社長は「30cm角で約4,500円。子供や思い出の写真をボックスパネルにしていただくことができる」として活用を呼び掛けており、受注拡大に期待する。

 吉川社長は今後の抱負として「当社と関わる人が少しでも幸せになれるように、顧客に寄り添い、必要とされる会社を目指したい」としており、その実現に向けて今後も積極的な設備投資など企業努力を続けていきたいとしている。