共立アイコム、世界最速の毎時2万枚「Rapida106X」で電力消費30%削減へ
Koenig&Bauer社製菊全両面8色機「Rapida106X」導入
SDGs視点の新たな企業文化醸成へ
「想像以上を創造する」--「見える化」によって印刷経営の様々なプロセスを検証する(株)共立アイコム(本社/静岡県藤枝市高柳1-17-23、小林武治社長)は昨年12月、「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金(A)先進事業」(以下「省エネ補助金」)を活用して、毎時2万枚の印刷スピードを達成した世界最速のKoenig&Bauer社製菊全判枚葉両面8色オフセット印刷機「Rapida106X」を導入。「電力消費量30%以上削減」という採択条件の枠組みの中で、SDGsの視点に立った新たな企業文化の醸成に乗り出している。
「両利きの経営」
およそ70年にわたり、印刷媒体を中心とした顧客の「販促活動」「広報活動」「業務改善活動」を支えてきた共立アイコム。近年はニーズの多様化にともなって急速に進む市場変化に対し、Webソリューションやデジタルコンテンツ制作、さらにはセールスプロモーションやメディアサービスといった分野にその守備範囲を拡大。顧客が保有する情報資産を紙媒体だけではなく、「最適な伝達手段」によって発信する「情報価値創造業」を標榜することで、その企業価値を高めている。小林社長は、「『情報に関わることなら何でもやる』というのが当社のスタンス。これによりデジタルプロモーション分野の売上比率が急速に高まっている」と同社の現状を説明する。
一方、業界でも「見える化」をベースとした数値管理の経営で知られる同社。「健全なる赤字部門」だったこれらデジタル関連および制作部門は、いまや高収益率を弾き出す事業として売上比率を印刷と二分するまでに成長している。ペースは緩やかながら、事業の軸足は着実にデジタル関連事業へとシフトしつつあるという。
しかし、「レッドオーシャンには残念ながら仕事がある」と語る小林社長。「印刷」と「デジタル」、いわゆる「両利きの経営」を実践する中で、需要減少とともに小ロット化が加速する印刷事業での効率を高め、無駄をなくし、利益率を高めるための設備投資がひとつの課題だった。その課題解決の答えとして同社が導き出したのが、Koenig&Bauer社製菊全判枚葉オフセット印刷機の新モデル「Rapida106X」への投資である。
準備時間10分以内、常時1万5,000枚/時以上
今回の設備投資は、「省エネ補助金」の活用が起点となっており、同社はこの制度の枠組みの中で、新たな企業文化の醸成に乗り出している。
この採択条件となったのは、菊全8色機、同4色機、B3輪転機2台の計4台を廃棄し、新たに印刷機1台を導入することで生産能力を維持しつつも電力消費量を30%削減するというものだ。小林社長は、「印刷機は、アイドリング時でも1台当たり、家庭用電子レンジ数十台分の電力を消費する。つまり、仕事に空きを作らないことが重要になる」とした上で、「エネルギー・資源の無駄をなくすという国の施策とSDGsの観点に立った我々の挑戦が合致したことで、省エネ補助金の活用を前提とした設備投資に踏み切った」と説明。結果的に、この省エネ補助金の対象として採択された唯一の印刷機がRapida106Xだったということだ。
同機は、両面印刷時でも毎時2万枚の印刷スピードを達成した世界最速の新モデル。高生産性に加え、高度な自動運転のための数多くの機能が搭載されている。
このRapida106Xを活用した条件達成に向けた運用において、同社がフォーカスしたのは「準備時間の短縮」と「高速運転」だ。同社の試算によれば、準備時間を従来の1/3にあたる10分以内、加えて常に毎時1万5,000枚以上で印刷機を稼働させれば、印刷機の入れ替えによる「電力消費量30%以上削減」を達成できるという。もちろん「準備時間短縮=損紙低減」にも繋がる。