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国府印刷社、DM関連ビジネスに可能性見出す[ピツニーボウズ社インサーター導入]

封入・封緘作業を自動化〜大量受注でも短納期対応が可能に

 越前和紙の紙ファイルや色こより綴じなど、高付加価値商材の開発で差別化経営を打ち出す(株)国府印刷社(本社/福井県越前市、有定耕平社長)は、発送・郵送ソリューションのマーケットリーダーとして知られるピツニーボウズ社のインサーターを2023年1月に導入した。高速ダイレクト宛名印字機も同時に導入したことにより、大量受注時でも宛名印字から封入・封緘、発送作業までを短納期で誤封入なく対応が可能になった。さらに、将来的には越前和紙やバナナペーパーなどを使用したオリジナル封筒の開発を視野に入れており、DM関連ビジネスに新たな可能性を見出している。

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有定 社長

高付加価値商材の専門サイト「バリュアブルプリント.com」開設へ

 同社は社内に「企画部」を有しており、日常的に新商品開発を進めている企業。アイデアを出し合い、世の中に役立ち、興味を持ってもらえる商品づくりに全社一丸で努力している。「印刷+αのサービス」を提供することが同社の方針だ。新商品開発に注力する理由について有定社長は「展示会などで当社の新商品を知っていただき、それにより同業の印刷会社を含め、様々な業界の方との『横のつながり』を作ることを大切にしている。それが、最終的にビジネスにもつながると確信している」と説明する。

 これまで、同社は独自性のある高付加価値な商材として、色こより綴じによる「ポケットパンフレット」や、デジタル加飾により、自由度の高いメタリック表現を実現する「きらめき箔」などを企画してきた。さらに昨秋には、エコ.プレスバインダーを活用した名刺サイズの紙ファイル「エコファイル.ミニ」を開発。プレミアム・インセンティブショーで紹介し、来場者の注目を集めた。

 そして、同社はこれらの高付加価値商材をオンラインで販売するECサイト「バリュアブルプリント.com」を今年4月までに開設する。有定社長は「当初の予定よりも開設が遅れたが、エコファイル.ミニ、色こより綴じによるポケットパンフレット、きらめき箔、越前和紙やバナナペーパーなどを活用した高付加価値商材を専門とした通販サイトにする。エコファイルについては、印刷前の白紙での販売も計画している」と話す。販促ツールに悩む印刷会社をサポートするサイトになりそうだ。

 「コロナ禍で紙とデジタルの連携はさらに加速している印象がある。紙の役割が変わり、消滅する印刷物も出てくる一方、必要とされる印刷物は形を変えて残っていくと考えている。社内でアイデアを出し合い、他社にはないオリジナル商品の開発で差別化を図っていきたい」(有定社長)

 そのような中、同社が新たな可能性を見出したのがDM関連ビジネスだ。2023年1月に封入・封緘機とダイレクト宛名印字機を同時に導入したことで体制を構築し、page2023のテーマでもある「創注」を実現するためのパートナーとして活用していく。

検品のストレスから解放。大量受注でも短納期対応が可能に

 同社ではプライバシーマークの認証を取得しており、一般企業や自治体などから、毎年一定量のDMの仕事は受注していた。しかし、これまではそれほどの大量受注はなかったようで、封入・封緘、検品作業は製本部の女性社員が手作業で行っていたようだ。

 しかし同社は昨年、取引先から1万5,000部のDMを受注。これまでになかった大ロットであることに加えて、封入毎に条件が指定されているため誤封入は許されない。他の仕事も行いながらであるため、4〜5人で1週間かけて作業を完了したようだが、「何よりも大変だったのは検品作業である。4〜5人で丸1日かけて完了したが、社員も大変なストレスだったようである。そこで今後のことを考え、インサーターの導入を検討した」(有定社長)

 そして、いろいろ調べている中でヒットしたのが、ピツニーボウズ社の製品であったという。有定社長は「アメリカの会社であるが、世界130ヵ国以上、200万人以上のユーザーが採用しているということで、その抱負な実績に信頼感を抱いて導入を決めた」と話す。

 その中で、同社が選択した機種は「Relay7000」というデスクトップタイプの小型ながら、迅速処理、高い安全性を可能にするインサーター。自動化・機械化により作業者の負担を軽減し、人為的ミスを防止するだけでなく、バーコード照合による宛先単位の正確な封入、作業ログで稼働状況などを把握することもできる。角2や洋形封筒(ヨコ入れ)に対応しており、封入枚数やサイズでスピードは異なるが、最大で毎時5,400枚の封入・封緘が可能だ。このインサーターを活用すれば、同社が昨年に受注した1万5,000枚の封入・封緘作業でも数時間で完了できた計算になる。

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封入・封緘機「Relay 7000 inserting system」

 さらに、ペラの用紙をトレイにセットし、封入前に折り加工を行うことも可能である。二つ折り・四つ折り・内三つ折り・外三つ折りに対応している。トレイは全部で6つあり、最大で8枚まで封入できるという。有定社長は「上質紙やマット系の紙にも対応するので、マット系のチラシなども封入できる。返信ハガキなどの同封物を入れることもできるため、販促DMに活用できる」とその生産性の高さと幅広い用紙対応、そして同社の企画力と開発力を融合させ、DM関連ビジネスの受注を増やしていきたい考えである。

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折りユニット(右下)では二つ折り、四つ折り、内三つ折り、外三つ折りが可能