音羽印刷、自粛下の校正に効果[Webポータルシステム「EQUIOS Online」導入]
安心・安全と効率化を顧客と共有
印刷会社と顧客の双方にメリットを享受
顧客からのオンライン校正への強い要望を受け、同社はEQUIOS Onlineの顧客とのテスト運用を2020年6月より開始。同年11月には、無事に本格運用に漕ぎ着けている。
オンライン校正は、外出制限など直接対面が難しい場面において、大きな効果を発揮するとともに、今まで要していた移動時間もなくなり、その分を他の仕事に回すことができた。さらに従来の紙ベースの校正紙が削減できるので、ペーパーレス化を求める顧客からの要望にも応えている。つまり、オンライン校正は、印刷会社と顧客の双方に大きなメリットをもたらすものと言える。
実際に顧客からは、オンライン校正の導入により、在宅でのリモートワークでも安心して校正確認ができることが高く評価されている。
生産本部プリプレス部の水野純一氏は、「コロナ禍が追い風となった面もあるが、お客様もオンライン校正に大きな可能性を感じてくれたと思う。当社にとっても他社との差別化ができ、これによりビジネスの囲い込みもできる」と、EQUIOS Onlineのメリットについて説明する。
さらに水野氏は、「EQUIOS Onlineの導入により、プリプレス部門のオペレータは、原稿などを持ち帰ることなく在宅勤務でも通常業務を行うことができた」と自社におけるリモートワーク対応について説明する。
山岸氏は、「EQUIOS OnlineからEQUIOSにデータが直接入るので、お客様はRIP処理されたデータを画面上で確認できる。これまで校正紙と実際の印刷物の差異を指摘されることもあったが、オンライン校正では、画面上であるが本印刷と同等の内容を確認できるので、安心感を与えることができる」とまた、生産本部プリプレス部リーダーの佐藤直樹氏も「内容確認の上、承認がでれば、すぐに刷版に移行できるので、当社の作業効率も格段に向上した」と、校正から刷版までの工程における自動化が構築できたと語る。
入稿から下版まで2日間の短納期作業も劇的に改善
その導入効果を発揮した事例として山岸氏は、入稿から下版まで2日間しかない月刊誌の制作で説明する。
この事例では、データ変換後、RIP処理をして紙に出力し、その日のうちに社内便で同社・営業に届け、翌日には、顧客に提出するという非常にタイトなスケジュールとなっていた。しかし、「EQUIOS Online」によるオンライン校正移行後は、データ生成、出力、営業および顧客への納品といった一連の作業がすべて画面上で完結できるようになった。その結果、校了がでるタイミングによっても異なるが、従来と比較して作業時間は半減。佐藤氏は、「入稿から下版まで2日間というタイトなスケジュールが当たり前のようにできることで、作業負担を大幅に削減することができた」と「EQUIOS Online」の導入で劇的に改善されたと説明する。
導入後の成果として鹿野氏は、「実際のデータで検証はしていないが、EQUIOS Online導入後は、各工程間の待ち時間がなくなり、校了までに時間の余裕ができたと実感している」と具体的な数値はないものの、校了までに生じる不透明な「待ち時間」というタイムロスを完全に解消できたと効果を挙げた。
バックアップ機能で顧客に安心感を提供
また、オンライン校正とは別に顧客からは「EQUIOS Online」のバックアップ機能についても評価を得ているという。同社の主要顧客である金融機関では、過去に作成した校正履歴を官公庁に提出することがある。その対応のため顧客側では、校正履歴を保管しているが、その作業に苦慮していた。しかし「EQUIOS Online」では、過去の校正履歴をデータとして保存できるため、すぐに顧客に提供することができる。
現在、同社では6クライアントを対象に「EQUIOS Online」による運用を行っている。今後は、クライアント数を増やしていくことも検討している。
さらに同社では、将来的な構想としてEQUIOSとMISを連携した運用で、さらなる効率化の構築も視野に入れている。