ウイル・コーポレーション、インクジェット輪転機で新たなビジネスモデル構築
在庫・廃棄レスを実現〜適時・適量生産でSDGsに貢献
ドコモスマホ教室教材冊子で適時・適量生産の運用開始
同社では、2020年に全国のドコモショップで展開しているドコモスマホ教室の教材冊子を受注している。このドコモスマホ教室の教材冊子は大量ロットのため当初は、オフ輪で一括生産して倉庫に保管し、必要な部数を全国の各店舗に発送していた。しかしスマートフォンの特性上、アプリのバージョンアップなどの改訂が頻繁に発生する。当然、改訂が入れば、その冊子は教材として使用することができない。そのため、使用できない冊子は、最終的に破棄することとなる。
クライアント側も、この問題を重要視しており、その問題解決の方法を同社に相談してきた。その解決策として同社が提案したのがデジタル印刷機による生産だ。
オフ輪の仕事をデジタル印刷機にシフトすることはコストや生産性、また品質の相違など多くの障壁があった。しかし同社は、これまでに培ってきたデジタル印刷を活用したビジネスモデルを駆使し、最適な生産フローの構築に向け試行錯誤を続けていった。
その結果、生産をデジタル印刷機に完全移行し、一括生産ではなく、注文された部数だけを生産する「適時・適量生産」による運用を提案した。
オフ輪とのコストの差異については、必要部数だけを生産・出荷することで倉庫の保管料を完全に削除。また、必要部数のみをタイムリーに生産することで、アプリのバージョンアップなどによる印刷物の内容変更にもフレキシブルに対応できるため、内容改訂による印刷物の廃棄量も削減することができる。これらトータルコストで換算するとデジタル印刷機による生産にメリットがあることが確認できた。
発注の仕組みとしては、全国のドコモショップ各店舗の発注担当者が受発注専用のシステムを介して必要部数を注文。この注文締切時間は、夜中の12時とされている。受注を確認後、日付が変わった午前1時以降に印刷・加工を行い、同日の午後5時には出荷を完了するという驚異的な受発注フローで行われている。
中綴じ製本でスタートしたドコモスマホ教室冊子は、無線綴じ仕様の冊子や2つ折り仕様のパンフレットなど、新たな商材の受注獲得につながっている。これらの印刷物は、すべてデジタル印刷機で生産され、必要とする各店舗に必要数が直送される。つまり在庫・保管というフローを完全に排除した運用を実現している。
「倉庫に在庫している商材をピッキングして出荷するという従来作業とタイムスケジュールを同等にするためには、この運用法になる。これを実現できるのはデジタル印刷機であり、一番の強みと言える」