ニヨド印刷、「紙エコファイル」で脱プラ紙化商材の拡販加速
販促EXPOで来場者に製品サンプル配布
高知県にある印刷会社が「SDGs配慮型企業」を目指して脱プラ紙化商材の拡販を加速させている。環境に配慮した素材を活用したオリジナルノートやメモなどの紙製品を中心に事業展開するニヨド印刷(株)(本社/高知県吾川郡いの町、御庄康隆社長)は、今年4月に「エコ.プレスバインダー(紙ファイル専用機)」を導入し、針金や接着剤などを一切使用することなく、脱プラに貢献する紙ファイル「紙エコファイル」の量産体制を構築した。現在、ベーシックなコート紙やマットコート紙だけでなく、国産竹やバナナの繊維、食べられなくなったお米などを使ったエコペーパーを活用した紙エコファイルの開発に取り組んでおり、7月6日〜8日に東京ビッグサイトで開催される販促EXPOでは来場者に製品サンプルを配布する。
エコ.プレスバインダー導入で量産体制構築〜SDGs配慮型企業に挑戦
「展示会に出展するたびに、来場者のSDGs貢献につながる商材へのリクエストは強まる一方であることを感じている」(御庄社長)。
同社はここ数年、販促EXPOやP・Iショーなどに出展し、オリジナルで作成できるノートやメモ、カレンダーなどを紹介してきたが、昨今はこのようなニーズに対応するため、杉の間伐材を表紙に使った「木の中綴じノート」や、ヒノキの間伐材を表紙に使った「木のリングノート」、「ペーパーリング卓上カレンダー」など、環境に配慮したエコアイテムのバリエーションを増やしている。
御庄社長によると、SDGsへの関心の高まりは首都圏や関西などの大都市だけでなく、地方にもその波は確実に押し寄せているようで、「高知県でも『こうちSDGs推進企業登録制度』という制度が2021年4月からスタートしていることからも、地方レベルでもSDGsを意識した動きが鮮明に出てきている」(御庄社長)と話す。
同社では、このような社会ニーズに対応するため、環境マネジメントシステム「エコアクション21」の取得に向けてキックオフしており、早ければ今年度中にも取得していきたい考えだ。
御庄社長は「建設業界では、『エコアクション21』の取得は入札時に加点されるため、高知県の建設会社のほとんどが取得しているという。残念ながら印刷会社にはこのような直接的なメリットはないが、エコアクション21の取得により、数値目標をレポートにして公開しないといけないという義務や、廃棄物やミスを減らさなければならないという動機付けにもなる。そして何より公的な認証のため、SDGs配慮型企業として国からの『お墨付き』がもらえることになる」としており、取得企業に求められる条件をクリアすることで、SDGsに貢献する企業としての中身を充実させていきたいとしている。
環境負荷の少ない「紙」と共に歩む企業としての使命感がきっかけに
オフィスや学校の必需品である「クリアファイル」は、文具用品として大きなジャンルの1つに成長している。ただ、その多くはプラスチック素材の1つであるPP(ポリプロピレン)から作られており、昨今の「脱プラ」の観点からは素材を見直していく必要性に迫られている。
御庄社長は「このクリアファイルをプラスチック製から紙製に置きかえることができれば、環境への負荷を減らし、持続可能な社会づくりに貢献できるのではないかと考えた」と紙エコファイルに取り組んだ経緯について話す。
また、「当社は新型コロナが流行り始めた2020年の春頃から使い捨ての不織布マスクや持ち帰りの容器など、プラスチックごみの急増に危機感を覚え、紙製マスクケースの取扱いを開始したが、ここからの連想により、紙ファイルにも取り組んでいくべきとの思いがあった」(御庄社長)とのことである。
御庄社長が紙ファイル専用の「エコ.プレスバインダー」の存在を知ったのは2021年の秋頃。四国で開催された印刷商社のフェアにおいて、卓上タイプが展示されていたという。
「その時は触手が動かなかったのだが、社員に相談したところ思いがけず反応が良く、まずは卓上タイプを購入した。そして2021年秋のP・Iショーで紙エコファイルのサンプルを作成して展示したところ、来場者の反応が非常に良かった。そこで量産機を導入し、大量生産にも責任を持って受注できる体制を整えることにした」(御庄社長)
そして今年4月、同社は紙ファイル専用のエコ.プレスバインダー、またこれと同時にロータリーダイカットシステムを導入した。これにより、小ロットの受注でも素早くクリアファイルの形状にカッティングし、紙エコファイルを生産できる体制を構築した。
![](https://www.pjl.co.jp/pr/files/3s_machinery_ad.jpg)