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ユポ・コーポレーション、創業からの想いを「スーパーユポダブル」で実現

長年の課題を克服〜紙と同様に印刷できる「ユポ」開発

 1969年5月、森林資源を守るため、木材に頼らない紙を開発することを目的に誕生した(株)ユポ・コーポレーション(本社/東京都千代田区、渡邉真士社長)。その同社が創業当初から取り組んできたのが、「すべての印刷会社で紙と同様に印刷できる合成紙の開発」だ。創業から51年の時を経た今年9月、その目標を実現した新製品「スーパーユポダブル」が完成した。今回、同社・営業本部の細川大介氏(営業部営業2グループマネジャー)と岡﨑源氏(営業2グループ)の両氏に、「スーパーユポダブル」が印刷会社にもたらす可能性などについて聞いた。


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細川氏(左)と岡﨑氏


 選挙用ポスターや各種メニュー表など、その耐水性や耐久性から広く社会で使用されている「ユポ」。しかし、印刷業界では、UV印刷を得意とする印刷会社が主に使用する資材として認識されている。一方、油性印刷を主軸としている印刷会社にとって「ユポ」は、「乾きにくい」「印刷しづらい」などの理由から使用を躊躇するケースが多いのも事実だ。

 しかし、その状況を一変する、ある新製品が2002年に同社から発売された。それは、片面対応であるが紙用油性インキで印刷できる「スーパーユポ」だ。この製品の登場により、市場における「ユポ」のシェアに大きなインパクトを与えることとなる。
 「その当時、ハンドリングが難しい『ユポ』は、限定された印刷会社様で使用されることが多く、そのシェアは確立されていなかった。しかし『スーパーユポ』の登場により、使いづらいといった印象を払拭することができた」(細川氏)

 今でこそ選挙ポスターに「ユポ」を使用することは、当たり前のような印象があるが「スーパーユポ」発売前は、他の機能性素材で印刷されていたケースもあったという。しかし、耐水性や耐久性に優れ、かつ紙用油性インキで問題なく印刷できるというメリットから、屋外で使用される選挙ポスターの印刷資材は、一気に「スーパーユポ」に移行していく。さらに、その機能性は業界内でも評価され、「ユポ」を使用する印刷会社も増加していった。

 また、この成功は同社内のモチベーションアップにもつながったと細川氏は振り返る。

 「それまで印刷会社様からは、厳しい意見が寄せられることが多かったが、『スーパーユポ』発売以降は、好意的な感想を頂けるようになった。これにより部署を問わず、全社的にその成功の喜びを分かち合うことができた」

両面対応という壁〜原点に戻り開発を継続

 「スーパーユポ」の発売により、同社が目指してきた一般の紙同等に扱うことができる合成紙の開発というゴールが目前に見えてきた。しかし、片面対応であること、用紙厚のバリエーションなど、その用途として考えると、まだまだ乗り越えなければならない壁が立ちはだかっていた。

 実は「スーパーユポ」は当初、両面対応として発売を予定していた。しかし、どうしてもクリアできない問題があり、苦渋の決断ではあったが片面対応として発売することとなった。

 市場からは、片面対応が可能となったことから、両面対応へのニーズも高まっていく。ユーザーからも「片面ができたのなら両面もすぐにできるはず」といった声も多く寄せられた。しかし、両面印刷で安定した印刷品質を担保する、という技術的なハードルは予想以上に高く険しいものであった。

 加えて同社内では、「片面対応だけで目的を果たせたと言えるのか」という意見があったという。

 「両面でも問題なく印刷できて、初めて一般の用紙と同じであると言える。それができて初めて市場から『ユポ』が紙として認められるはず」(細川氏)

 同社は、改めて原点に立ち返り、技術開発を継続。そして2002年の「スーパーユポ」発売から約18年の歳月を経て、遂に紙用油性インキで両面印刷が可能な合成紙「スーパーユポダブル」が完成する。

 「スーパーユポダブル」は、「ユポ」の持つ優れた耐久性、耐水性、印刷再現性といった基本特性をそのままに、専用の合成紙用インキを使用せずとも、紙用油性インキで両面印刷できる画期的な合成紙。また、同製品はバイオマス樹脂を一部配合したユポグリーンシリーズであり、CO2排出量削減にも貢献できる。


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印刷品質はコート紙とほぼ同等