新社長インタビュー|石川特殊特急製本(株)石川 敬一 社長
製本の「駆け込み寺」に 〜 技術収集し、製本以外の加工にも着手
「製本の『駆け込み寺』を目指したい」。このように語るのは、今年10月に石川特殊特急製本(株)(本社/大阪市中央区龍造寺町7-38)の代表取締役社長に就任した石川敬一社長だ。同社の正社員は現在300名以上いるが、これに対してパート社員は10名以下。「当社では規格外のサイズや製本ラインでは難しい加工が多く、手作業による特殊技術が求められる。これに対応するには伝統技術の伝承が不可欠であり、そのため基本的には正社員の採用が前提という方針だ」。製本以外の加工にも技術収集しながら徐々に間口を広げ、将来的には、あらゆる後加工に1冊からの極小ロットかつ超短納期で対応できる企業を目指す。
社員とその家族を幸せにできる会社に
大学卒業後、4年半の富士ゼロックスの営業を経て2011年10月に入社した。先代の石川彰一会長より、3年ほど前から社長を交代する打診はあったのだが、今期のタイミングで交代となった。300人以上の社員とその家族を幸せにしていかなければならない重責を感じている。
新社長に就任して2ヵ月だが、取引先の皆様からも多くのお祝いの言葉をいただき、改めて会長が長年にわたり会社の信頼を築いてきたことを実感した。コロナ禍で大変厳しい状況であるが、社員からも、そして取引先からも、より信頼・安心していただける会社にしていきたい。
会社の特性と社員の個性をマッチングした商品を開発
御朱印帳やコースターなどの商品は、役員や幹部社員はノータッチで若手社員が自発的に作り上げた商品。当社には、営業・現場の社員でも器用な人間がたくさんいるのが特長。ボール紙で棚を作るなど、驚かされることも多い。技術力はあるので、会社の特性と社員の個性・アイデアをマッチングさせた商品を今後も作り上げて市場に提案していきたい。社員が個性を伸ばしていける会社にしていきたいと思っている。
規格外のサイズ、小ロットに強み
昨今の受注の傾向としては、上製本で100部以下の小ロットという仕事が圧倒的に多く、世の中のニーズはここにあるのではないかと感じている。昨今、1冊からニッチな本を作りたいという顧客が多いなか、当社は極小ロットを強みとしているため、むしろ1冊から作りたいというのが当社の気持ちである。
また、印刷できる企業は多いが、加工できる企業は限られているということを感じており、これが当社の選ばれている理由だと感じている。規格外のサイズは手作業するしかないので、製本ラインでは生産できないような加工の依頼が当社には多い。また、それができることが当社の強みであると再認識している。技術を伝承された職人の手による作業と豊富な機械設備による生産性の高さを融合させ、これまで以上に加工に強い会社になり、より良いサービスを提供していきたい。