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いこい、ビビッドインクによるRGB色域の再現性で受注拡大[HP Indigo 7900導入事例]

[HP Indigo 7900導入事例]同人誌に写真クオリティ - メディア対応力で新たな可能性も

ダウンタイムは最大の敵

 Indigoで生産する受注ロットは30〜50部程度。多い時には2台で月間5,000ジョブを3交代制でこなし、200時間の連続稼働も珍しくない。この状況に対し、繁忙期の瞬発力と機械の堅牢性にも緒方氏はIndigoに高い評価を示している。

 「我々にとってダウンタイムは最大の敵。Indigoは、その堅牢性はもちろん、メーカーのメンテナンスサービスに依存せず、トレーニングによって資格を得た従業員が自らブランケットやドラムのフィルムの交換ができる。結果、オペレータの急な残業も発生せず、労務的にもメリットがある」(緒方氏)

 今年5月に開催予定だったコミックマーケット98が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて中止されたことで、経営に多少の影響を受けた同社だが、10月には前年並みの受注を見込むまでに市場が回復。すでに2台のIndigoはキャパいっぱいの状況にあるというから驚きだ。

 一方、様々な用紙や素材に印刷できるというメディア対応力も高く評価する緒方氏。クリアファイルやキャンバス地、パール系など、HPのワールドワイドでの認証メディアからおもしろいものがあれば積極的に取り寄せて採用し、同人誌はもちろん、グッズやノベルティの展開の可能性を常に追求している。

 「トナー機が『サービス』であるのに対し、Indigoは『製造』。よって、そのオペレータも生産機として真剣に向き合える人材が必要になる」と訴える緒方氏。人材育成にも注力する一方、HPのビジネスパートナーとしての対応も高く評価している。

 「サービス、提案、要望への対応など、HPは機械の納入後も、我々と一緒になって市場やビジネスをともに作っていこうという姿勢がある。単なる納入業者ではなく、ビジネスパートナーとして大きな期待を寄せている」(緒方氏)

BtoBを次の成長エンジンに

 今後同社では、生産機であるIndigoを核とした自動化を進めていく方針を打ち出し、入稿後のプリフライトチェックおよびPDF化を自動化するとともに、ホットフォルダー運用による印刷指示の自動化にも着手する考えだ。

 その背景について緒方氏は「当社は、まだまだ若い会社。企業の成長をさらに高めるためには、1人あたりの労働生産性を最大化する必要があると考えている。結果、そこで生じた余剰労力をクリエイティブや企画の分野に適正配置することで、次の時代の成長エンジンにしたい」と将来の方向性を明確に語っている。これは、現在、営業部隊を持たず、受注は100%オンラインである同社にとって、法人営業の可能性を示唆するもので、さらなる事業拡大に向けて、BtoB事業への備えでもあるようだ。

 「ある調査機関によると、同人誌の市場規模は、小売金額ベースで820億円程度(2019年)とされているが、我々の印刷ビジネスに当てはめると150〜200億円程度だろう。現在、当社の売上はおよそ6億円だが、現状の印刷通販によるBtoCの同人誌印刷事業でも10億円の売上は可能だと考えている。その先の成長を考えると、やはりBtoBに着手する必要がある。そこでも生産手段として中核を担うであろうHP Indigoに、今後も期待している」(緒方氏)