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日本HP、次世代モデルを市場投入:デジタル印刷を新たなステージへ

 (株)日本HP(本社/東京都江東区、岡隆史社長)は4月9日開催の新製品発表会において、印刷業界における「アナログtoデジタル」を支援するデジタル印刷機10機種を発表した。今回、その中で大きな注目を集めた、毎時6000シートの高速印刷を可能とするHP Indigoデジタル印刷機の第5世代(シリーズ5)の「HP Indigo 100K デジタル印刷機」、毎分120mという驚異的な生産速度を実現する第6世代(シリーズ6)の「HP Indigo V12 デジタル印刷機」、そして対応アプリケーション用途の強化を図ったインクジェット輪転機「HP PageWide Web Press T250HD」を中心に紹介する。


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左から、森氏、土田氏、田口氏


デジタルによるノンストップ印刷への挑戦

 HP Indigo 100K デジタル印刷機は、第4世代(シリーズ4)のHP Indigo 12000 デジタル印刷機をベースとしてさらなる生産性を追求し開発されたもの。シリーズ4についても、生産性を重視した印刷機となっていたが、HP Indigo 100K デジタル印刷機は、その機能をさらに進化させ、印刷スピードの30%向上を実現している。具体的には、毎時6000シートというオフセット印刷機に匹敵する生産性を誇る。その要因の1つが、電子現像のイメージングプロセスの向上だ。


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HP Indigo 100K デジタル印刷機


 同社・デジタルプレスビジネス事業本部の森真木氏は、「シリーズ3の電子現像速度は2m/秒、シリーズ4で2.3m/秒、そして今回の第5世代では、3m/秒の高速化を図っている。この電子現像速度の向上が、今回の生産スピード30%向上につながっている」と説明する。

 また、高速化を図るために用紙搬送機構を刷新し、新たな用紙搬送システムを開発した。具体的には、オフセット印刷機のようなグリッパー搬送を採用することで高精度な高速給紙を可能としている。

最大で50%の生産性向上を実現

 ノンストップ印刷を支えるもう1つの機能が、自動印刷用紙排出機能「ノンストップスタッキング」だ。この機能は、印刷中にデリバリー部の印刷用紙の量を検知し、許容量になると自動でスタッカーを排出し、新たなパレットに自動交換する。これにより、印刷機を停止させることなく、パレット交換作業を行うことができる。

 「従来、スタッカーがいっぱいになるとオペレータは、印刷機を停止してスタッカー部のドアを開けて、印刷用紙を取り出し、また、ドアを閉めて印刷機を再稼働させる、といったタイムラグが発生していた。しかし、HP Indigo 100K デジタル印刷機では、これらの作業負担をなくし、真の連続デジタル印刷が可能となっている」(森氏)

 さらにHP Indigo 100K デジタル印刷機では、搭載している分光光度計が印刷中でも自動でカラーキャリブレーションを実施、加えてオプションで最大5箇所の給紙ユニットを装備できる。これらの機能をフル活用することで、最大で50%の生産性向上を実現できる。

 標準モデルは4色機だが、オプションで5色まで搭載することが可能。5色目については、シリーズ4で使用できるインクの中から選択することができる。また、これまで同様プライマー処理を施すことにより、オフセット印刷で使用する用紙全般に対応することができる。

 今回の新製品発表では、バージョンアップした「PrintOS x」も紹介している。

 これまでのPrintOSは、主にオペレータの作業を支援する機能が中心であった。今回、発表したPrintOS xでは、支援対象をオペレータだけでなく、生産管理者やビジネスオーナーにまで広げている。生産管理者には、リアルタイムでの生産状況の確認や、設備総合効率(OEE)による詳細な分析を通じて、生産のボトルネックを抽出し、改善を促すなどの機能を提供する。

 また、ビジネスオーナー向けには、世界の成功事例の紹介や各種印刷デザイン素材の無償提供で新たなビジネス創出を支援している。

「破壊と創造」と具現化した第6世代モデル

 「HP Indigo V12 デジタル印刷機」は、ラベル・パッケージ向けに開発された第6世代プラットフォームのデジタル印刷機で、最大色数12色に対応する。HP社では、デジタルプレス事業の戦略として「破壊と創造」を掲げているが、このシリーズ6は、その方針を具現化した新機種で、これまでの印刷機構の見直し(破壊)、新たな技術(創造)を開発・採用している。


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HP Indigo V12 デジタル印刷機


 同社・デジタルプレス事業本部の土田泰弘氏は、「1993年に発表したIndigoデジタル印刷機の初期モデル以来の最大のブレークスルー」と説明する。

 まずは、印刷スピードの変化だ。「今までは4色印刷で30m/分、5色印刷で25m/分の生産性から、一気に6色印刷で120m/分、さらに最大で12色印刷にも対応できるようになっている」(土田氏)

 これを実現したのが、湿式電子写真(LEP)の技術を活用した新たな印刷プロセス「LEPx」である。