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ホリゾン・ジャパン 宮﨑進社長に聞く|新しい時代、新たな挑戦〜箱売りからソリューション提供へ

ホリゾンの強みと課題

 ホリゾンの強みの1つは、商品ラインアップの多彩さにあると改めて実感している。後加工ジャンルを中心に、印刷事業者向けや一般企業内で使用される事務機用など豊富な商品を有している。ここまでラインアップが拡充した背景には、個々のお客様のニーズに対して真摯に耳を傾け、ものづくりを基軸に企業活動をしてきたからに他ならない。個別のカスタム対応を含め、市場と密接な関係を構築してきた歴史こそが、ホリゾンの強みといえる。

 課題については、やはり「単品売り」が主体となっていること。現状の印刷業界は、産業自体が低迷傾向にある中、デジタル化の進展や原価アップ、雇用問題など、これまでにない問題に直面している。そのような環境の中、単品でモノを販売して課題を解決することは難しい。だからこそ、印刷のワークフローを一緒に組めて、そして、お客様の課題を解決できるアライアンスパートナーとともに、ソリューション提供することが重要となる。

 課題解決とは、その一歩先を行くということなのかもしれない。ニーズに応えるだけでなくシーズに対しても、どれだけ新しい提案ができるか、ということが今後、さらに求められていくはず。

東西販売会社を統合した狙い

 地域密着型の営業が実践できたというメリットの反面、別会社として展開してきたことでデメリットも生じていた。その1つとしてサービスの問題がある。これまで日本全国で展開している企業や代理店様の場合、均一の対応がしづらいケースがあった。また、政策制度の不一致が東西で生じることもあった。

 この問題を解消するために、新会社では日本全国統一のサービス、また、代理店様に対しても政策制度を統一していこうと計画している。

印刷業界におけるデジタル化の現状

 デジタル化への取り組みについては、現在、当社は、第2ステップ目に移行したと考えている。第1ステップは、2004年JDF drupaからのデジタルを活用した印刷の仕組みの研究や検証の段階であった。しかし、近年では、各メーカーが自動化をはじめ、連携可能な仕様を搭載した製品が提供できるようになってきた。実用化・実例が多数増えてきており、10数年前と比べ、大きな進歩だと思う。

 また、製本加工機械を取り扱う競合メーカーは多数存在しているが、ホリゾンが当時からデジタル化を見据えた展開をしてきたことが今後の戦略を考える上でも大きい。

 多くの企業が雇用など経営課題をお持ちだが、なかなか良い人材を採用できない。人件費は高騰している。また、外国人労働者が採用できても言語やスキルの問題が生じる。

 究極の目標は、「無人化」であるが、現時点では、「省人化」の実現に向けてアライアンスパートナー各社と真剣に取り組んでいる。各社と協力関係を進めながら、新たなイノベーションや新しいサービスをお客様に提供していきたい。

新イベント「TSF2019」開催の意義

 これまで印刷業界に携わってきた経験から、1社だけで勝ち残っていくことは難しい時代になったと実感している。

 今年11月に開催する「TSF2019」では、市場の課題解決に向けた提案を行っていく。

 昨年開催された「IGAS2018」においても、連携しているアライアンスパートナーとともに印刷の仕組みを提供するソリューションを提案してきた。「IGAS2018」では、セミナーを中心としていたが、「TSF2019」では、実機展示とデモを通して、様々なソリューション提案を行っていく。これにより、より実務に近いソリューション提案ができるはず。

 また、セミナーについても16セッション程度を用意し、国内外の成功事例などを中心に多彩な情報発信を行っていく。

 さらに展示エリアでは、ソフトウェアメーカーからプリンターメーカーなど14社が参加し、実機によるソリューション提案を行っていく。このエリアの最大の特徴は、メーカーの垣根を外して、各ソリューションを紹介していくこと。従来型の展示会では、各メーカーが主張したいことが全面に出てしまうが、今回のイベントでは、出展各社が協力して、様々な提案を行っていく。そのため、見た目は、印刷工場を想定した内容となっている。

 このイベントは、TSF2019実行委員会という14社で構成する委員会主催で開催される。

 来場者数については、国内外から約3,000名を想定している。イベントの詳細については確定次第、随時発表していくので、ぜひ多くの方の来場をお願いしたい。