コダックジャパン、全国47都道府県・450社がSONORAを採用
無処理版の課題を克服〜機能性と使いやすさを市場が評価
人手不足の問題にも貢献
SONORA導入のメリットは、現像レスによる時間、消耗品コストの削減などが一般的であるが、それ以上に印刷会社が期待しているのが「省人化」だと畑氏は説明する。
「近年の印刷産業は、他の産業と同様に人材不足という大きな課題に直面している。そのため現有の人員で工場を稼働させることは、印刷会社にとってもはや必須の取り組みだ。あるユーザーでは導入以前、6名の刷版スタッフで作業を行っていた。しかし、SONORA導入後は半分の人員での運用が可能となった。また、最近では印刷機のオペレーターがプリンター感覚でプレートを出力し、印刷を行うといった事例もでてきている。これは無処理版だからできること」
プレス部門の効率化にも着手
同社では、SONORAを販売するにあたり、その導入メリットとして、現像機やそれに関わる消耗品の削減、人員配置の最適化などを想定していた。もちろん導入企業のすべてが、これらメリットを享受しているのは言うまでもない。導入が進む中で見えてきたのが、現像に関わるすべてのプロセスをなくすことで、見えてくる新たなメリットに気付くことができたという。それは無処理版の採用によるプリプレス部門の効率化という、今までの概念から一歩踏み出し、無処理版の採用によるプレス部門の効率化だ。
「印刷機の稼働率を高めることは、各印刷会社の売上に直結すること。無処理版と印刷機の稼働率は関係ないと思われるが、現像時に生じる品質のバラツキを抑制できるので、印刷機の停止要因を最小限に留めることができる。これにより、印刷機の稼働率は向上し、結果として売上につながるはず」(郡氏)
昨今の印刷業界では、用紙やインキなど資材コストの値上げにより経営が圧迫されている。印刷機の停止要因を最小限に留めることは、稼働率を上げるだけでなく、無駄な消耗品コストの発生を未然に防ぐことができる。これがSONORAが実現するプレス部門の効率化といえる。
印刷は、SONORAをはじめ、様々な資材が組み合わさって生産されるもの。その組み合わせの中で、いかにSONORAの特性を最大限に発揮させるかが同社の使命である。しかし、資材と簡単にいっても、インキや湿し水など、メーカーや製品も様々あり、さらには印刷機もメーカーや機種によって特性がある。そのため印刷というプロセスを細かく分析すると、各印刷会社によって膨大なバリエーションが存在することとなる。そのため、テストの結果、採用を見送るユーザーも少なくない。しかし、同社ではこれら個々のプロセスを検証し、SONORAの運用に最適な手段を導きだすことで課題解決の方法を提案してきた。
「現時点で、すべてのニーズを満たしているわけではない。しかし、一歩ずつではあるが着実に課題解決に向けた挑戦を続けている。その挑戦がSONORAのさらなる進化へとつながっていく」(中川氏)
さらなる「視認性」の向上など、SONORAに寄せられる要望は数え切れない。その中で同社は、UV印刷における耐刷性のさらなる向上を第一優先の開発項目として掲げている。
「UV印刷の市場は拡がりを見せており、さらに発展途上の分野も数多くあることから、それらニーズに対応した製品開発を進めていきたい。また、成長市場と位置付けられているパッケージ印刷業界への特色でも安心して使用できる無処理版を開発・提供することで、当社のさらなる成長が期待できる」(郡氏)
トータルソリューションで効率化・省人化を提案
短期間で採用実績を着実に伸ばしてきたSONORA。市場における認知度を確立したことから、同社では、次のステージへの移行を検討している。
そのため同社では、ワークフローをはじめとするトータルソリューションで、さらなる効率化、省人化を提案していく方針だ。その中核となる製品としてSONORAを位置付けている。
「多くの産業では、RPAなどを活用した自動化・効率化の構築を視野に入れている。印刷産業でも、RPAとワークフローを連動させることで、プリプレスやプレスといった部分的ではなく、全体の最適化を構築できるはず。この全体最適化が実現すれば、働き方改革につながり、さらには、若者からも魅力ある産業として認知してもらえる。導入しやすいSONORAは、その全体最適を実現するための中核となる製品である」(中川氏)