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コダックジャパン、全国47都道府県・450社がSONORAを採用

無処理版の課題を克服〜機能性と使いやすさを市場が評価

 コダックジャパン(藤原浩社長)が販売する完全無処理サーマルCTPプレート「SONORA」は昨年10月、47都道府県・450社での採用を達成した。2015年の発売から2度にわたる技術改良を経て、「SONORA」は「視認性」や「耐刷性」の向上など、さらなる進化を続けている。その原動力となっているのが、市場ニーズへの対応だ。そこで今回、中川武志氏(上席常務執行役員プリントシステム営業本部 本部長)、畑信雄氏(上席執行役員 プリントシステム営業本部販売推進統轄部 統括部長 兼 プレート販売推進部 部長)、郡正也氏(執行役員 プリントシステム事業部PSD製品統括部長)の3氏に、導入が加速するSONORAの優位性や今後の技術開発の方向性などを聞いた。


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左から、中川氏、郡氏、畑氏

 SONORAは、海外での4,000社を超える豊富な導入実績をベースに、日本のユーザーニーズに適応すべく、コダックジャパンの群馬事業所の研究開発部門で開発され、2015年6月に日本市場向けに最適化した製品としてリリース。以来、LED-UVやH-UVといった省電力UV印刷機ユーザーはもちろん、オフセット枚葉・輪転印刷機、減感インキを使用するビジネスフォーム印刷機、平台校正機、さらには新聞印刷やパッケージ印刷にいたるまで広範囲で活用されている。2016年秋に視認性を1.5倍にまで高めたSONORAを発表、さらに2018年2月には耐刷性を従来の2倍にまで高め、耐傷性も従来の現像有りプレートと同等のレベルを実現した改良品「SONORA CX」を発表している。SONORA CXは、視認性、耐刷性、耐傷性の向上によって印刷市場における約8割の印刷アプリケーションに柔軟に対応できる。

 このほか、新聞印刷用の「SONORA NX」も、昨年から全国紙をはじめ、多くの新聞社で採用されるなど急速に導入実績を伸ばしている。

 「無処理版は、テストすることにリスクが生じない。簡単に言えば、印刷機に版をセットして印刷するだけでテストが完了する。さらに新たな設備を導入することなく、現状の印刷環境で使用できる。また、現像機が不要となることから、その設置スペースや現像液などの消耗品コストを削減できるなど、これらの点が評価されたと思う」(畑氏)

 同社のCTPプレート出荷量の約3割がSONORAであるという。当初は、2019年から2020年にかけて、CTPプレート全体の出荷量のうち、約3割をSONORAという目標を掲げていたが、この目標を前倒しで達成することができた。この点からみても市場がSONORAの機能性や導入の容易さを高く評価していることがうかがえる。

情報共有で無処理版に最適な印刷環境を構築

 発売から約3年で450社での採用と驚異的な成長を遂げているSONORAであるが、同社が販売開始から徹底して行ってきたのが「情報共有」だ。

 「採用されたユーザーでは、その活用実績を、また、採用に至らなかったユーザーについては、その理由を明確にし、それら情報を営業だけでなく全社的に共有することで、今後の技術改良に役立てていく。この積み重ねが、今日のSONORAを支えている要因といえる」(中川氏)

 また、中川氏は「見える化と言える化」を意識し、共有した情報を部門や役職などの垣根を越え、自由に意見交換できる環境を構築したこともSONORA躍進の原動力になっていると振り返る。

 同社の現像有りプレートを使用しているユーザーはもちろん、発売当初から他社プレートを使用しているユーザーの採用も非常に多かったという。その際も、この「情報の共有」が大きな効果をもたらしている。

 「これまでコダックのプレートを使用したことがないユーザーの場合でも、そのユーザーが抱えている課題などを収集・分析し、情報共有することで、迅速にその解決策を提案できる。47都道府県で450社に採用というのは、それだけの膨大な実績データを蓄積している証しである」(郡氏)

 この取り組みは、同社内だけではなく、販売パートナーである代理店、さらには印刷機械をはじめとする印刷関連資機材メーカーなどとも連携することで、よりユーザーが安心してSONORAを使用できる環境を整備している。

蓄積されたデータの活用で無処理版運用を支援

 無処理版は、新たな設備導入の必要もなく手軽に導入でき、現像機に関わるコストを完全に削減できる。

 有処理版を使用する印刷会社にとって、得られるのはメリットばかりである。しかし、印刷会社によっては、それらメリット以上に気にしていることがある。それは「変化」だ。

 「今まで何の支障もなく運用していた版を、なぜ変える必要があるのか。版を変えることで問題が起きないか、ということを心配するお客様も多い」(畑氏)

 SONORAを評価するも実運用時に何か問題は起きないか、ということを懸念する印刷会社も少なくない。そんな時に役立つのが、全国各地でSONORAを採用したユーザー事例だ。

 「枚葉印刷機やオフ輪、また、省電力UVや油性など、様々な設備で使用されているSONORAの導入事例を紹介することで、採用を検討している印刷会社も安心してもらえる」(郡氏)

 このデータは、単なる成功事例だけではなく、トラブル発生やその解決策など、様々なケースにおけるSONORAの運用方法を蓄積している。これにより何らかのトラブルが生じたときに、このデータから対応策を検索でき、また、これまでにないトラブルであれば、新たな事例としてデータ化し、今後の製品開発に役立てていくことができる。販売開始から約3年で飛躍的に導入が進んだ背景には、SONORA自体の優位性だけではなく、最適運用を支援するための同社のサポートがあったといえる。