ハイデルベルグ社、バーサファイアがもたらす可能性
日本の品質要求にも対応 〜 真の生産機として全世界で稼働
ハイデルベルグ社(ドイツ)が提供するデジタル印刷ソリューションの一翼を担う「Versafire(バーサファイア)」は、多品種小ロット生産やパーソナライズ印刷といったPOD機の特性に加え、ハイデルベルグ独自のデジタルフロントエンド「プリネクトDFE」を搭載したことで、オフセットとデジタルを融合した真のハイブリットワークフローを提供するデジタル印刷システムとなっている。このほど、ハイデルベルグ社のバーサファイア製品担当であるマーク・イーレンフェルト氏とマーク・シュミッツ氏が来日し、同機の特徴や日本市場における展望などについて語った。
グローバル市場におけるバーサファイアの位置付けをどのようにとらえているのか。
イーレンフェルト ご存じの通り、印刷のロット数は、今、世界中で小ロット化が進んでおり、それにともない、極小ロットに強みが発揮できるデジタル印刷機の導入は、ますます魅力的な存在になっていると思う。そうした流れの中、オフセット印刷を核として長年、世界の印刷業界の発展に貢献してきたハイデルベルグがデジタル印刷市場に提供する柔軟性の高い「バーサファイアCV」とパフォーマンスクラスの「バーサファイアCP」は、間違いなく世界の印刷会社に貢献する印刷機であると確信している。
そして、これまで1,500機以上のバーサファイアが世界のグラフィック市場に導入されたことは非常に画期的な事実であり、これは、デジタルとオフセット技術の絶妙な相互作用が、我々のユーザーの利益になるということを証明している。
数あるデジタル印刷機の中でバーサファイアシリーズの特長は。
シュミッツ 広範な色域と低融点トナーを搭載したデジタル印刷は、バーサファイアシリーズの要となる特長である。これにより、例えばオフセット印刷が適していた画像や色を使った耐熱合成繊維のような幅広い素材への印刷が可能になる。5色の印刷が可能な「バーサファイアCV」は、間違いなく他社とは一線を画すデジタル印刷機である。「バーサファイアCV」はCMYK、ホワイト、クリア、ネオンイエロー、ネオンピンク(日本では今年12月より販売予定)での印刷が可能で、これは同クラスでは唯一である。また、バーサファイアCV、バーサファイアCPの両機は、印刷する材質を選ばない柔軟性が特長である。さらに、当社独自のDFE(デジタルフロントエンド)「プリネクトDFE」をワークフローソリューション「プリネクト2018」に統合することにより、デジタルとオフセットのジョブを、一つの生産ワークフローに統合することができる。この本格的なオフセット・デジタルハイブリッドワークフローがまさに、他社製品にはない強みといえる。
日本市場におけるバーサファイアに、今後どのような成長を期待しているのか。
イーレンフェルト 日本のユーザーは、世界の中でも特に品質に厳しいと聞いている。だからこそ、これまで多くのユーザーに、高品質な印刷が実現できるハイデルベルグのオフセット印刷機を利用してもらっていたのだと思う。ハイデルベルグのデジタル印刷機バーサファイアも、オフセット印刷機同様、そうした日本のユーザーの厳しい要求にこたえることのできるデジタル印刷機である。5色目で可能となるスポットカラーや、メディアの柔軟性という特長を生かすことで、他社との差別化ができ、ユーザーのビジネスの成功に貢献できると信じている。そして、ハイデルベルグのデジタル印刷機でユーザーの成功が、我々の成長につながっていくと思う。
リコー社が同様のデジタル印刷機を販売しているが、ハイデルベルグのデジタル印刷機を購入することは、顧客にどのようなメリットがあるのか。
シュミッツ 最大の違いは、当社のプリネクトソフトウェアである。日常の生産をより効率的かつ柔軟にするツールとして、プリネクトDFEとプリネクトPDFツールボックスを提供している。プリネクトDFEをオフセットワークフローに統合するハイブリッド生産でも、このツールを使用すれば、わずか1回のクリックで操作は完了する。また、最新のバーサファイアシリーズは、業界でも突出したワークフローソリューションである「プリネクト2018」に統合することもできる。最新バージョンのプリネクトは、モンタージュエディターやプレビュー機能、またユーザーインターフェースが改良されたが、これらの改良には、ユーザーのフィードバックが随所に反映されている。
オフセット印刷会社がデジタル印刷機を導入することで生まれる価値とは。
イーレンフェルト 小ロットでの費用対効果に優れているということだけでなく、デジタル印刷は、ポストプレスの工程や在庫にかかる費用の削減ができるという利点がある。丁合出力など出力順をコントロールできることで、デジタル印刷機は、オフセット印刷機以上のことができる場合があり、また、パーソナライズされた印刷やナンバリング印刷をすることも可能である。バーサファイアのようなデジタル印刷機が提供できる、こうした新しい生産プロセスや、そうした特長が生み出すビジネスチャンスに、ぜひ注目をしてもらいたい。
海外でのバーサファイアの導入例について。
シュミッツ 言うまでもなく、多くのユーザーがバーサファイアを小ロットの仕事に活用している。とくに、オフセット印刷機と組み合わせ、ロットによって使い分けることで、うまく活用しているユーザーが多いのではないかと思う。また、繰り返しになるが、バーサファイアCVのホワイト、クリア、ネオンイエローと最新のネオンピンクなどの5色目の特色は、とても印象的な印刷物を製作することができるので、そうした点を活かして顧客のプロモーションツールとして提案ケースが最近増えてきている。また、バーサファイアは、最大700mmの長尺に対応できるので、A4サイズ6ページ分の印刷にも多く使われている。
デジタル印刷機の展望として、今後の成長に欠かせない要素は何か。
イーレンフェルト バーサファイアのようなデジタル印刷機は、使いやすさ、メディア柔軟性、特色の数、安定性や処理能力向上といった要素がさらに求められてくるのだと思う。インクジェットの技術は、ますます一般的になるだろう。そして、今は考えつかないような、様々な要素がさらに加わることで、デジタル印刷分野の印刷用途そのものにも、思いもよらない趣向を加えることができるようになるはず。
ハイデルベルグ社内のチーム、例えばプリネクト、枚葉印刷機、ポストプレスや印刷必需品担当部署は、顧客に利益をもたらすために、互いにどのように関係しているのか。
イーレンフェルト ハイデルベルグは、「Heidelberg goes digital」というテーマの元、印刷業界における先駆的な地位をより一層強固なものにすべく、すべての部門が常に連携しながら、「ユーザーにトータルな最高のソリューションをお届けする」という目標に向かって、弛まない努力を続けている。実際に、社内の強い連携が「プリネクトインテグレーション」の成功の鍵となりましたし、「Simply Smart(シンプリースマート)」というdrupa2016で発表したコンセプトは、ユーザーの間だけでなく、先に述べた目標達成のために社内でも広く定着している。