モリサワ、「印刷・出版」に軸足、コア技術活かして新市場へ
新たなブランド戦略へ 〜 台湾、韓国、米国の海外事業も本格化
韓国、台湾、米国でEC販売事業展開
同社は2014年に韓国、台湾、米国に海外現地法人を設立し、活動を開始している。「海外マーケットにおいても当社の一番の強みは日本語であること。今まではどの分野でその強みが活きるのかを市場調査することが主な活動となっていた」(森澤社長)
具体的な事業内容としては、基本的にEC販売が中心となっているが、日本の同社営業部門、法務部門との連携を密にとり、現地の企業からの個別要求にも対応できる体制を取ることで徐々に案件を獲得している。
とくに一昨年10月に米国のAdobe MAXで、Typekitへの同社及びグループ会社のフォント提供を発表して以降、欧米圏からの引き合いが増加している。米国での案件が増えたこともあり、急ピッチでTypeSquare、およびデスクトップ利用のためのフォントダウンロードサービスを立上げ、昨年10月にスタートした。このデスクトップフォントのダウンロードサービスは韓国、台湾でも12月から開始されている。
CSR活動とトピックス
同社はJPSA(日本障がい者スポーツ協会)のオフィシャルパートナーとして昨年もJPSA主催の競技大会の観戦活動を通じ、とくに同社社員に向けて障がい者スポーツに対する理解を深める活動に取り組んできた。
「障がい者をきちんと理解し、共生社会を実現することは、まさに多様性を認め合うことに繋がる。世界では排他的な方向に向くことが危惧されるような結果がいくつも出てきているが、自分と異なるもの、異なる世界、異なる分野を理解し、製品にフィードバックすることが今後、我々企業にも求められるのではないか」(森澤社長)
その他のトピックスとしては、「モリサワタイプコンペティション2016」の開催がある。
タイプデザインコンペティションは、1984年に初めて開催した「モリサワ賞 国際タイプフェイスコンテスト」以来、30年以上にわたり、各界を代表する多彩な審査員とともに、新たな表現力とチャレンジ精神に溢れたタイプフェイスデザインの追求を目指して開催されているもの。和文部門と欧文部門それぞれに世界中から応募があり、リニューアルして開催された2012年と2014年のコンペティションでは、世界の20を超える国と地域から、あわせて1000点あまりの作品が寄せられた。
また、昨年末には「タイプデザインコンペティション2016」の審査結果も発表され、今回は世界49の国や地域から、前回を大幅に上回る739点(和文部門205点、欧文部門534点)の作品が寄せられた。
審査の結果、和文部門、欧文部門とも、独創性や審美性を追究した作品に贈られる「モリサワ賞」として、金賞、銀賞、銅賞各1点ずつと佳作各3点、モリサワからの製品化にふさわしい優れた作品に贈られる「明石賞」として各部門1点の入賞作品が選出された。また、「ファン投票」では、一般からのWeb投票で得票1位・2位の作品が決定した(詳細既報)。
また、「第4回Webグランプリ 企業グランプリ受賞」も同社のトピックスである。
一昨年リニューアルした同社コーポレートサイトが、公益社団法人日本アドバタイザーズ協会が主催する第4回Webグランプリで企業グランプリのBtoBサイト賞を受賞した。
「現在の当社は新たなマーケットに向けてフォントの価値をどのように届けるべきかを探っているところ。今回の受賞は、当社を伝える上で大きな役割を持つコーポレートサイトが、グランプリをいただけたことは、社員一同の大きな励みになった」(森澤社長)
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