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モリサワ、「印刷・出版」に軸足、コア技術活かして新市場へ

新たなブランド戦略へ 〜 台湾、韓国、米国の海外事業も本格化

 「文字を通じて社会に貢献する」--基盤ビジネスとしての印刷出版業界に軸足を置きながら、コア技術を活かして新たな市場や新製品に向けた取り組みを加速させる(株)モリサワ(森澤彰彦社長)。印刷出版業界やデザイナーの世界で培ってきたモリサワブランドがほとんど通用しない新市場において、新たな価値観によるブランド戦略に乗り出している。一方、2014年に設立した台湾、韓国、米国の現地法人も市場調査の段階からフォントビジネスを中心とした事業化へと歩み始めた。そこで今回、昨年末に森澤社長と森澤武士常務取締役が出席のもと開催された事業報告会から、モリサワの事業環境や実績、重点事業の展開などを紹介する。

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森澤彰彦社長(右)と森澤武士常務

新規顧客創造に向けたブランド戦略を

 同社は2014年から3年間の第二期中期計画を実行しており、今年度はその最終年度にあたる。「基盤ビジネスとしての印刷出版業界に軸足を置きながら、コア技術を活かして新たな市場や新製品に向けた取り組みを継続する」というのが大枠の方針である。

 新市場への展開について森澤社長は「最大の課題は、印刷出版業界やデザイナーの世界で通用していたモリサワブランドがほとんど通用しない点。既存ビジネスの価値観とはまったく異なる発想が必要」とする一方で、既存市場についても「技術革新が急速に進み、フォントをはじめとした我々の強みが現状のまま続くとは限らない」とし、新規顧客創造に向けたブランド戦略の必要性にも言及している。

 同社の2016年2月期の売上高は129億5,000万円(前期比2.7%増)。事業別で見てみると、まずプリンティング事業では、国の予算(補助金制度)を利用した設備投資の継続、一部マイナンバー制度の導入によりまとまった台数のデジタル印刷機納入など、特需により目標を大幅に上回った。また機材販売における利益率向上の取り組みが実を結び、収益面も改善している。

 一方、フォント販売事業では、提供開始12年目に入ったモリサワパスポートが現在も契約台数を伸ばしており、同社の収益拡大に大きく寄与している。

 なお、2017年2月期の売上高は130億円を見込んでいる。