「Kodak」ブランド復活へ 〜 BtoCビジネス期の資産活用
「Sonora XJ」倍増の拡販へ 〜 国産化の体制整え、製品競争力を強化
コダックジャパン 藤原浩社長に聞く
完全無処理サーマルCTPプレート「Kodak Sonora XJ」の拡販で昨年、大きな成果を挙げたコダック(同)(藤原浩社長)。検版における視認性を高めた新バージョンのリリース、さらには国産化の体制も整い、今年はさらなるシェア獲得を見込んでいる。一方、コンシューマビジネスで培った資産を活用した新たなブランディングのもとで、今年同社は「Kodak」というブランドイメージの「復活」を賭ける。今回、2017年の幕開けに際し、藤原社長にインタビューし、その具体的なソリューション展開について聞いた。
![kodak_fujiwara17.jpg](https://www.pjl.co.jp/feature/images/kodak_fujiwara17.jpg)
「5倍成長」達成した完全無処理版
2016年の印刷産業における最大のトピックスは「drupa2016」。ここでのコダックブースについて、多くのメディアやユーザーから「ストーリー性のある展示だった」と評価いただいた。コダックが印刷業界に広いポートフォリオでコミットしていることを実際のデモを通じて訴求したことが、業界に大きなインパクトを与えたと思っている。
さらにdrupaでは、トッパン・フォームズ様に5台目のProsperプレス(日本市場初のProsper6000C)をご成約いただき、世界最大のプロスパーユーザーが日本から誕生したほか、サーマルイメージング技術の発表21周年、CTPの累計販売実績2万1000台達成、さらには、Flexcel NXデジタルフレキソシステム販売実績500台達成といった記念セレモニーも実施した。drupaで発表した数々の新製品も、今年後半ぐらいから日本市場に投入できる見込みである。
一方、昨年の当社における最大のトピックスは、やはり2015年に発売した完全無処理サーマルCTPプレート「Kodak Sonora XJ」の急伸である。年初から、Sonora XJの拡販に注力していく考えを表明し、「5倍成長」という目標を思い切って公言。結果、顧客数ベースでほぼその目標値を達成できた。
Sonora XJのユーザー数が増加する中、昨年後半のひとつの傾向として、多くの版を必要とするユーザーでの採用が増えてきたことが挙げられる。ある顧客では月産1万平米を越える使用量も出てきた。これは本格的な生産工程においてプロセスフリープレートが使えるようになった証拠である。
Sonora XJ好調の要因は、端的に言うと、現像有りプレートと同様の使用感で刷れるという点。現像機が不用なことによって、人、スペース、エネルギー(電気)、ケミカルがいらない。これは「究極の自動化」である。しかも「従来よりも刷り上がりがきれいだ」というフィードバックもいただいている。
もうひとつの大きな要因は、高いUV適性にある。我々は、世界に比べて省電力UV印刷で先行する日本市場において必須であると考え、発売を遅らせてまでそのUV適性を高めた。
現在、省電力UV印刷機でのSonora XJの使用比率は、従来品の無処理版であるサーマルダイレクトからの切り替えユーザーを除外した昨年からの新規ユーザーを対象にすると約3割だ。市場の省電力UV印刷機がおよそ1割程度であることを考えると、Sonora XJがUV市場に浸透していると言えるのではないだろうか。
さらに作業性という面では昨年、視認性を1.5倍に高めた新バージョンをリリース。これまで検版における視認性の面で躊躇されていたユーザーの要求を満たし、これが大きな追い風となっている。
また、オフ輪での採用も増えている。当社でも実績を積み重ねながらかなりの耐刷力を確認。オフ輪における「刷り出しの早さ」は損紙の削減につながる大きなメリットが享受できる。
「UV適性」技術は世界標準へ
Sonora XJの国産化の体制づくりはほぼ完了しつつあり、今年からは「Made in Japan」のSonora XJを群馬工場から供給できる。
国産化のメリットは、やはり「日本製」という安心感だ。実際、コダックのプレート製造工場は世界に4ヵ所あるが、ベンチマークの結果、品質、効率ともに群馬工場がトップである。
さらに、開発面でも有利になる。日本に中核となる研究開発者がいるため、日本のユーザーの声を素早く製品に反映できる。外資系メーカーでは製販一体のサポートは難しいところがあるが、我々はその環境が日本企業と何ら変わらない。昨年、視認性を高めた新バージョンを発表したが、こういう製品力強化は今後も柔軟に行っていく。drupa2016では、ワールドワイド製品として「Sonora UV」が発表された。これには先行したSonora XJの技術が盛り込まれており、その「UV適性」の技術は世界標準として輸出されていくことになる。その面でも継続的な開発に自信を持っている。
![](https://www.pjl.co.jp/pr/files/3s_machinery_ad.jpg)