全印工連、令和版構造改善事業「印刷産業DX」の開発に着手
全日本印刷工業組合連合会(全印工連、臼田真人会長)は5月13日、日本印刷会館において記者会見を開き、令和版印刷産業構造改善事業として準備を進めてきた「全印工連デジタルトランフォーメーション(DX)プロジェクト」の概要について発表した。
会見には、全印工連から臼田会長と江森克治常務理事、そして同プロジェクトに参画する富士ゼロックス(株)の真茅久則専務執行役員、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)の辻重紀社長、リコージャパン(株)の髙橋卓也執行役員、(株)SCREEN GP ジャパンの木谷活社長、(株)小森コーポレーションの梶田英治常務執行役員が出席。会見の冒頭、臼田会長は「中小規模の製造業では、収穫逓減構造が加速し、現在も多くの企業が生産性の向上を実現できず、逆に市場縮小や同質化による価格競争などがあいまって、低収益の悪循環に陥っている。この構造からの脱却を目的に全印工連では、中小・小規模事業者向けの印刷産業DXの開発に着手する」と同プロジェクトの目的について説明した。
印刷産業DXは、協業による「生産集約」を推し進めることで効率的な生産体制を確立し、供給過剰による低収益構造から高収益構造にシフトしていくことを支援するプロジェクト。これにより参加企業は、オープンプラットフォームによる生産管理システムと受発注マッチングシステムを共有することで、より効率的な生産体制を構築できる。具体的には、主に印刷製造を担う「ファクトリー」機能と付加価値提供を担う「サービスプロバイダー」機能を印刷産業DXの基幹システムでつなげ、稼働状況やエリアや納期などを情報などから最適な「ファクトリー」に発注する。これにより産業全体の生産性を向上させ、その効率化によって発生した余力を付加価値創出にシフトさせ、印刷製造以外の付帯サービスへの取り組みによる収益向上につなげていく。
全印工連では、この印刷産業DXの基幹システムの開発を目的に国が公募している助成金事業への申請を行うとともに、同プロジェクトの本稼働に向け、協議・検討を進めていく。