キクラ印刷、海外製断裁機2台を勝田断裁機に切り替え〜POD用紙の断裁に絶大な効果
オンデマンド印刷の品質が大幅に向上
「断裁刃を降ろした時に、トンボの断面が上から下まで綺麗に見える爽快感が素晴らしい」。勝田断裁機の精度の高さをこのように評価するのは5年前から勝田断裁機を使用するキクラ印刷(株)(本社/富山県高岡市)の木倉雅彦社長だ。とくに、針・咥えのないPOD用紙の断裁に効果を発揮しているようで、「用紙の精度がそのまま表裏の見当精度に直結するオンデマンド印刷の品質が大幅に向上した」と木倉社長。印刷を途中で止めるようなこともなくなり、スムーズに流れるようになったことから生産性向上にもつながっているようだ。

キクラ印刷は昭和40年に創業。当時から頁物の仕事が多かった。「当時創業した人は同業者からの独立がほとんどだったようだが、私の両親は異業種からの脱サラ。母が和文タイプライターを打てたこともあり、夫婦で完結できる仕事として印刷業を選んだようだ。40年前に電算写植の入力機、数年後には出力機を購入したが、当時電算出力機は県内に1社しかなく、金額も含めて我が父ながらよく決断したと思う」(木倉社長)。
文字モノに強い印刷会社であることは県内でも有名になり、同社よりも大規模な印刷会社がフロッピーを持って助けを求めに来たこともあった。そのような中、ある時にエポックとなる受注が舞い込み、これにより同社は次への階段を上ることになる。
「知り合いの印刷会社がベンチャーの出版社から名簿作成の仕事の打診を受けたのだが、その印刷会社は商業印刷をメインとしていたため、その名簿の仕事を直接引き受けることになった。それがブレイクしたのはよかったが、製本を内製化しなければ納期を守れないという事態になった」(木倉社長)
そして、30年前には製本工程を内製化。木倉社長が20代半ばで修業先の印刷会社から戻ってきた時には、折り機、無線綴じ製本ラインと三方断裁機が契約寸前まで交渉されており、先代からは「お前、全部覚えろ。三方断裁は手伝ってやる」のひと言。しかし、この時の経験が社長になった今でも活かされているようで、「製本現場は、本当に困った時は私に頼ってくる」(木倉社長)。
さらに、その2年後にはCEPSを導入してカラー製版を内製化。メーカーからは「4色機を持っていないのに、このシステムを導入したのはキクラ印刷さんが全国でも初めてです。本当に大丈夫ですか?」と心配されたほどだという。
現在は、菊全4色機2台と四六半4色機1台を含むオフセット印刷機5台とオンデマンド印刷機5台を使い分け、得意とする製本に加えて封入封緘機を導入。「製本のその先」へ事業展開し、個人情報を扱うためプライバシーマークを取得。さらに、環境対応からの品質改善を追求してエコアクション21を取得している。近年はデジタル部門の営業にも力を注いでおり、ホームページ、AR、デジタルカタログ、動画制作からのeラーニングなどをクライアントに提案している。

営業・サービスマンの誠実、親切、丁寧な対応に魅力と安心感
同社が勝田断裁機を導入したことは、偶然と勝田の営業力が重なったタイミングのなせるわざである。同社は、先代が購入した海外製の中古のオーバーホール断裁機2台を長年にわたり使い続けてきた。老朽化が進んでいたが、「壊れているわけではないのでなかなか決断できず、他のすべての設備の更新が終わってから更新しようと考えていた」(木倉社長)。そして、印刷機や封入封緘機などの更新や新設を終え、いよいよ断裁機を更新しようとしたところ、長年付き合っていた海外製断裁機の社長兼技術者が年齢により廃業を示唆。その絶妙なタイミングで、たまたま飛び込んできたのが、勝田製作所の営業マンであったという。
「その営業マンに、各断裁機メーカーの違いを聞いたところ、基本的には大差はないとの返答が返ってきた。その後、導入まで何回か会ううちに、営業マンの説明の分かりやすさや誠実さ、また海外メーカーの断裁機についても分かる範囲で見てくれるなど、サービスマンの丁寧な対応などにも魅力と安心感を感じ、基本的には変わらないのなら『人』で選ぶことを決めた」(木倉社長)
数十年に一度であろう断裁機の更新というタイミングで、これまで付き合いのあった海外製断裁機の業者が廃業。そして、そのタイミングで飛び込んできた勝田製作所の営業マン。この偶然のタイミングがなかったら、いかに勝田断裁機が優れていても、営業マンが優秀であったとしても、同社が勝田断裁機を導入することはなかっただろう。そして、同社は2016年2月、海外製断裁機との入れ替えで勝田断裁機を初めて導入。その翌年の2月には、もう1台の断裁機も勝田断裁機に入れ替えた。