広瀬鉄工、枚葉グラビアで付加価値を〜「HGCシリーズ」デモイベント開催
2024年11月15日
「パッケージ印刷の前後工程に付加価値と利益の源泉がある」─広瀬鉄工(株)(本社/大阪市東成区東中本3-12-31、広瀬安宏社長)は10月7日から31日まで、本社工場内において高速枚葉グラビア印刷機「HGC-41」(菊全判)のデモンストレーションイベントを開催し、パッケージ印刷分野における「付加価値の創造」を訴求した。会期中は、オフセット印刷会社やインキメーカーらが資材を持ち込み、実機でのテスト検証も行われた。
実機テストも行われた高速枚葉グラビア印刷機「HGC-41」
グラビアによる金、銀パール、メタリック印刷は、パッケージや商業美術印刷分野において、その高濃度と独特の輝度、隠蔽性によって高い評価を得ている。また、紙塗工用として水性ニス、UVコートなどのパターンコーティングに利用され、その光沢と平滑性も注目されている。
そんな中、「HGCシリーズ」はこれらを背景に薄紙の美術印刷から厚紙のパッケージ印刷までをこなす高速枚葉グラビア印刷機だ。高速オフセット印刷機用のフィーダーを採用し、ダブルグリッパーによる搬送によって、紙厚にかかわらず用紙を安定かつ高速で搬送。高い生産性を誇るとともに、新型フロントレイとサイドレイによる見当装置の採用で高速見当性にも優れている。
開発当初は、表面加工やスポットコーティング用途で導入が進んだが、ここ最近は、加飾による付加価値創造を目的とした用途での引き合いが多く、小ロットの金・銀・パールの加飾を、フレキソやオフセットでは再現できない輝度で内製化するケースが増えているという。また、従来の繁雑でベテランが必要であったグラビアプレート版(板グラ)交換作業を、グラビアロール交換方式にすることで、見当合わせを含めた版替え時間を大幅に短縮できることや、資材の改良にともなう環境性能の向上、スキルレス化などによって、更新需要はもちろんのこと、新規での採用も増えており、さらに枚葉ラベル印刷後の表面加工・加飾といった分野でも引き合いがあり、オフラインによる枚葉グラビアの新たな需要が生まれている。
版はシリンダータイプ
一方、シリーズ累計200台に迫る納入実績を誇るオフライン式枚葉印刷検査装置「SKSSP-40」も、本格両面検査のニーズが高まるパッケージ印刷分野で注目されている。
グリッパー搬送と胴巻付方式を採用し、高速で高精度な印刷紙面検査を行う「SKSSP-40」は、本格両面検査仕様もラインアップしている。
これまで同機がパッケージ検査工程で担っていた多くのケースは、表面をシリンダー上で検査し、裏面は搬送部で汚れを見る程度の簡易両面検査が主流だったが、近年では、パッケージの裏面にもベタ印刷や加飾、さらには文字情報まで印刷されることが多くなり、「裏面も汚れだけでなく、表面と同レベルで文字欠けなどを検査したい」というニーズが高まっている。この本格両面検査のニーズは、とくに化粧品や医薬品関係で高まっているという。
このような需要に対し、本格両面検査仕様機は、渡し胴を含めた3胴によってオフセット両面印刷機と同様の機構で裏面も高精度で検査するというもの。0.9ミリ厚までの用紙を検査胴に着実に巻きつけるため、最高毎時1万2,000枚の高速検査が可能で、従来のコンベア式での用紙のバタツキ、蛇行、薄紙のジャミング、高額なベルトメンテナンス、広い設置スペース等々といった問題を一挙に解決し、厚紙においても用紙のバタツキや反り返りによる反射光が原因となる検査誤認が生じないという特長を持つ。
搭載されている検査装置(カメラ)は、ダックエンジニアリングの最新検査装置「Prenity(プレニティ)」シリーズ。未検査エリアの少ない高精度の全面検査や重要部分のポイント検査設定など、様々な検査ニーズに対応する。