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富士フイルム、TOKYO PACKでブランドオーナーにデジタル印刷活用促す

2024年11月15日

規格袋に直接印刷〜小ロットパッケージ製作事例紹介


 「もっと自由にパッケージ・オンデマンド」─富士フイルムグループは、10月23日から開催された「TOKYO PACK 2024(東京国際包装展)」において、富士フイルムが独自開発した幅広いラインアップのデジタル印刷技術を活かした様々なパッケージサンプルを展示。その活用事例を通してパッケージ・オンデマンドの可能性を訴求した。今回、展示会場の富士フイルムブースで、FFGSグラフィックサプライ(株)パッケージセールス&マーケティング部の大西敏治統括部長と、富士フイルムグラフィックソリューションズ(株)特殊印刷統括部パッケージ営業部の小林高男部長に話をうかがった。


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大西部長(左)と小林部長

 パッケージ分野においても即時性やニーズの多様化にともなう小ロット多品種化が進むなか、デジタルプレスの活用が注目されつつある。今回、富士フイルムブースでは「必要な時に」「必要な分だけ」の生産を可能にするデジタルプレスのメリットや活用事例を、実際に使用された印刷製品や多数のサンプルで紹介するとともに、POD機のエントリーモデル「Revoria Press SC180」の実機展示を行い、規格袋にPOD機で直接印刷する稼働デモで、効率的な小ロット生産とデザイン性の両立を紹介した。

 その他にも、軟包装用水性インクジェットデジタルプレス「Jet Press FP790」や「高画質・高生産性・低臭気」を実現したUVインクジェットデジタルプレス「Jet Press 540WV」の活用も、実際に使用された豊富な実サンプルで紹介。富士フイルムの幅広いデジタル印刷技術を活かした小ロットパッケージ製作の提案が行われた。

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TOKYO PACKの富士フイルムブース

 TOKYO PACKの出展コンセプトについて小林部長は「モノ売りではなく、とくにブランドオーナーに対して『デジタル印刷活用』を促すことに軸足を置いた展示を目指した。いわゆる『パッケージ印刷分野におけるデジタル印刷の普及活動』で需要喚起を試みた」と説明している。

 ブースでは、トナーPOD、水性インクジェット、UVインクジェットの3つの製品軸で、それぞれ実際に同社のデジタル印刷機ユーザーが製作したパッケージサンプルが展示されていた。

 まず、トナーPODのサンプルとしては、クラフト紙やONYフィルム、エンボス紙などのチャック付きスタンド袋(規格袋)が展示されたほか、ブース内で「Revoria Press SC180」による印刷デモも行われ、大きな注目を集めた。

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チャック付きスタンド袋の印刷製品やサンプルを多数展示

 企業内印刷やオフィスユースにも適応する同POD機は、毎分80ページの高生産性と高画質を両立し、用紙の厚さは52g/平米の薄紙から400g/平米の厚紙まで、サイズは98×148ミリから最大330×1,200ミリの長尺用紙まで対応する。さらに、エアーサクション給紙トレイにより、紙粉の多い用紙やパウダーを使用したプレプリント紙、凹凸用紙や密着しやすいコート紙など、給紙のストレスになりやすかった用紙も安定した搬送が可能だ。

 ブース内の印刷デモでは、封筒用を規格袋用に改造したフィーダーを搭載し、チャック部の厚みに対応するようにローラーの熱や圧などを調整した特別仕様機で印刷が行われ、あたかもコピー機で紙を通すような「簡易性」をアピールしていた。

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規格袋用に改造したフィーダーをRevoria Press SC180に搭載

 来場者の反応について小林部長は「ブランドオーナーからも印刷会社からも『こんなことができるんだ』という大きな反響があった」とし、ブランドオーナーの商品開発部から「包材サンプルを送るから印字のテストをしてほしい」という依頼もあるなど、テストマーケティング用途を含めたブランドオーナーからの関心の高さを強調。実際、会期中にも印刷会社とのマッチングを進めたケースもあったという。

 また、大西部長も「全国展開しているあるショップでは、地域特別仕様の極小ロットの袋に悩まされていたところ、『こういうのを探していた』という声もいただいた。在庫レスや新商品展開に対する瞬発力、また季節性を加味できるパッケージ・オンデマンドに手応えを感じている」と語る。

 今後は、5色仕様の上位機種のリリースを控えており、「特色を付加したパッケージ・オンデマンドの魅力、インパクトに期待している」(大西部長)としている。

 一方、水性/UVインクジェット機による軟包装印刷のサンプルとしては、Jet Press 540WVで印刷したレトルト殺菌・電子レンジ調理対応の耐熱・高強度パウチや小ロット・可変デザインのホテルアメニティパッケージ、錠剤のアルミ箔への印刷、さらにJet Press FP790で印刷したチャック付きスタンド袋などが展示されていた。

 大西部長は「水性インクジェットへの関心は非常に高いと感じた」と述べ、環境、小ロット、多品種対応を同時に実現するJet Press FP790への期待も語っている。

 「いずれのサンプルも、印刷業界ではある程度知られた技術で印刷されているものの、最終クライアントであるブランドオーナーの反応は『ここまでできるのか』という驚きの声が多かった。まず、この現実を知っていただくことが今回の展示の目的。そして新しいジョブ、あるいは市場を創り出す。TOKYO PACKの出展は大きな自信に繋がった」(大西部長)

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