「プロに選ばれるパッケージ会社に」〜日版プリント 竹内信裕新社長に聞く
通販サービス「SPRIQ」で新領域に挑戦
(株)日版プリント(本社/大阪市生野区新今里1-18-19)は、パッケージ印刷ならびに厚紙印刷によるディスプレイPOPなどを中心に事業展開する企業。企画・デザインから製版、印刷、トムソンまでを自社グループ内で一貫生産できる体制を構築しており、これによる短納期対応と低価格、長年のノウハウによる品質により、「プロの同業者に選ばれる協力工場」としてクライアントからの信頼を築いている。そんな同社では9月上旬、竹内泰秀社長が退任して取締役会長に就任。後任の代表取締役に竹内信裕氏が就任した。世代交代による新体制のもと、昨年に立ち上げた通販サービス「SPRIQ(スプリック)」による従来にないサービスの提供をはじめ、新たな領域への挑戦を開始している。
同社は昭和53年4月に竹内泰秀会長が厚紙を主とする印刷会社として創業。以降、クライアントニーズに対応しながらCADや製版、CTPなどの設備を充実させ、4年前にはトムソン抜き加工・貼り加工のグループ会社「N-PACK」を設立した。これによりパッケージ・販促POPを一貫生産できる体制を構築し、同業者をはじめ、印刷設備を持たないデザイン会社や広告代理店などを中心に受注を拡大させている。
今年1月には、4台設備するオフセット印刷機の1台である5色印刷機を2ヵ月かけてフルオーバーホールし、UV印刷機としてリノベーションした。竹内新社長は「UV印刷機による速乾性とパウダーレスにより、さらなる短納期対応とパウダーに起因する様々な課題を解決できた。検査装置も搭載したため、品質管理も行えるようになった。先代が創業した当初は刷り専門の会社であったが、これからは厚紙の印刷会社としてクライアントから求められる会社になるべく、様々な構造改革に取り組んでいきたい」と話す。
その場で見積り可能な通販サービス「SPRIQ」
〜市場になかった小ロットパッケージを業界最安値で提供へ
一方、パッケージの小ロット・多品種化が顕著になる中、昨今注力しているのが昨年に立ち上げた通販サービス「SPRIQ」だ。同サービスを運営するスプリック事業部(大阪市東成区東小橋1-18-26 NPビル2F)にはこれまで、竹内新社長は直接的には関わってこなかったが、「今後は私自らが通販サービスの統括として指揮を執っていく」(竹内新社長)という力の入れようだ。
「SPRIQ」は、「紙箱・販促POPを身近に!」を合言葉としており、親しみやすいサイトの構築により、これまで紙箱やパッケージを作ることに意識を持っていなかったユーザー層の開拓を目指している。スマートフォンやタブレット端末からの注文による気軽さはもちろん、パッケージの注文が初めての企業、一般生活者でもストレスなく発注できるようにユーザビリティを充実させ、パッケージ・POPを身近に感じられる通販サービスとしてユーザー層を拡大している。
とくに、初めてのユーザーに試作品のサンプルを無償提供するサービスは好評を博しているようで、「初めてのユーザーにも安心していただき、少しずつではあるが、ユーザーを増やしている」(竹内新社長)。納期については3〜4日が中心であるようだが、それ以上の短納期であっても要望があればコールセンターでの相談が可能であるとのことだ。
竹内新社長は「SPRIQ」について、「デジタル印刷機を活用することにより、小ロット・多品種のパッケージ、販促POPをこれまでにない低価格と品質、短納期で提供している。表面加工やPP、ニスなどの加工も要望により選んでいただくことができ、ユーザーはその場で見積り金額を確認できるなど、今の時代に合ったパッケージの売り方であると自負している」と自信を示しており、安心できる高品質と低価格での小ロットパッケージを求めるユーザーには必見の通販サービスと言えそうだ。
「2020年度にはSPRIQで売上1億円を目指す。将来的には日版プリントの売上の2割をSPRIQで達成していきたい」(竹内新社長)
パッケージ、販促POPで地域・社会に貢献できる企業へ
同社の従業員は現在45名(平均35歳)。グループのN-PACKは15名(平均45歳)。竹内新社長は、自社のこれまでの社風について、良くも悪くも「大きな家族感のある会社であった」と話す。その理由は「とくに明確な方針や理念などは掲げることなく、日々の仕事に努力していく中で、課題が見えてきて、それを改善・クリアし、必要な設備が出てくれば、その設備を導入していく中、自然と現在の規模の会社に成長してきた」(竹内新社長)からだという。
しかし「今後は時代も激しく変化していくため、新社長に就任するにあたり、自社は何のためにあるのかについて、今一度自身に問いていくことを始めた。その結果、会社を通して社員とその家族を幸せにすること、そしてパッケージ、販促POP印刷サービスで社会・地域に貢献していくことが自社の使命であることに気付かせていただいた」と竹内新社長は話しており、そのためにも今後は従来の自社の良いところは踏襲しながらも、SPRIQを中心に新たな市場の創出に努力していく考えだ。
今後の抱負として竹内新社長は「パッケージを作りたいという時に相談してもらえる会社を目指したい。現在のクライアントは関西中心だが、近い将来の東京進出も見据えながら、さらなる事業拡大を目指したい」と話す。新しい領域への挑戦を開始した2代目社長の手腕に注目したい。
1979年生まれ。40歳。趣味はゴルフ、水泳。